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#小説
📕小説(ショート)【ノスタルジー】 794
出席番号だって、血液型だって、誕生日だって、実家のある場所だって覚えている。
なのにLINEもメアドも電話番号も知らない。
出席番号19番も、B型も、7月24日も、今では何の役にも立たない。
あのとき、もし同窓会に合流していたら?
「写真ありがとう。筆跡で判ったよ」
と伝えていたら?
マサミとは中学2年の1年間、同じクラスになっただけの間柄。
特に何かがあった訳ではないけれど、どちらかとい
短編小説 | バースデーバルーン | 創作大賞2024
妹の頭が徐々に大きくなっていく。病気じゃない。
わかっているんだ。家族の誰もが。だけど何も言えやしない。
傷ついても、恥ずかしくても、怒っても、どうしたって、妹の頭は大きくなって、その成長を止めることは出来ない。
(一)
妹は僕の八つ下で、ぼくにとっては目に入れても痛くない存在だった。だけど、そんな例えですら口にするのも憚られるくらい、妹の頭は大きくなっていた。
その始まりはた
犬に似ていた人生だった。
昔から、鏡がきらいだ。
映るもの、写すものが苦手なのかもしれない。
高校生の時もほとんど鏡を学校にもって行ったことがない。
白雪姫の継母の気持ちが今一つわからない。
高校生の時、調理実習の授業の時に、私たちのチームだけ包丁が一瞬、消えた。
先生、包丁がありませんって言っていたら、
チームにひとつずつ用意してあるよって
言われて探していた。
同じチームのヤマシタが窓際の灯りのそばで
その包丁
エッセイ | noteで個人企画に参加するということ。企画への愛を語りたい。
なぜ今なのかは自分でも不明ですが、偏見たっぷりに語ってみたいと思います。
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はじまり
わたしが自分で書いた文章を、恐れ多くも〝作品〟などと呼び始めたきっかけは、超ショートショートを書いたことでした。
初めは自分で考えた〝お題〟で書きました。それに飽きてきた頃、知人から〝お題〟をもらうようになりました。
それが楽しくなって、5作くらい出来上がったところでnoteにやって来ました。そ
📕小説(ショート)【チェンジ】 785
いつの間にかアジサイがこんなに咲いてたんだね。
毎日通っているのに気がつかなかったな。
アジサイの花言葉は確か
「移り気」「浮気」「変節」
青色なら
「冷淡」「無情」か……
俺が変わったって思ってるんだろうな、きっと。
そう思わせた俺が悪いの?
そんなつもりはなかったんだけどな。
これってさぁ、俺が悪かったって思わなくちゃいけないことなの?
「ごめん」
とかいわなくちゃ駄目なの?
どうして謝
ショートショート_明日
金魚鉢の透き通る印象は夏の季節を思い起こさせる。とうとう台風1号が発生し、夏だとは思うのだが、もうひとつ、大切な季節を通り越さねば本物の夏はやって来ない。それは、梅雨という季節である。
梅雨というと、長雨、ジメジメ、憂鬱などという感じがするのだが、雑草を含めて植物性の花粉症の私にとっては、ようやくマスクがとれる季節を意味する。確かにうざったい感じもするが、ようやく夏を感じる季節でもある。
沖縄
致死量の悔恨 第1話 かまくらの中
あらすじ(300文字)
※あらすじは全話終了後に更新します。
まるでかまくらの中に居るように、外界と遮断されていた。左肩にのしかかる人の様な黒い塊を担いで、啓太郎は闇の中から出ることができるのか。
付きまとわれたはずの千花が、イチョウに載って晋太郎を追いかける。千花が感じていた「怖い」は、今、晋太郎が感じている怖いになった。晋太郎はこの恐怖から逃げ切ることができるのか。
本文
プロロー
📕小説(ショート)【フォール】 775(ヘッダー画像差し替え5/22AM)
私への関心が恋ではないことなど、最初から判り切っていたのに。
好きになったのは私の勝手。
まさか恋におちるとは思ってもいなかった。
今頃、あの人はこの「誤算」を悔いているかもしれない。
後悔。
共通点なんかまるで無いのに、不思議と気になる存在だった。
調子の良いときには応援したくなる。
落ち込んでいるときには
「そんなに自分を責めないで」
と慰めたくなる。
「私はいつでも味方です」
と