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足元にある幸せ

ところどころ雪が残る山深く先、沢の流れる森を進む。

雪解けが間近であることを、小さな姿形で伝えてくれるものがある。
北海道で暮らす人たちにとっては、長い冬が明けた証のような存在。

蕗のとう。

水が豊富にあり、風がそこまで強くない山の傾斜なんかで
豊富に咲き誇ると言われている。
北海道ではそれはもう、至る所で自生し、
春の訪れを皆に、謡うように教えてくれる。可愛い。


これくらい傾斜の大きいところはふきのとうの群生地


これまでの私は、
蕗のとうをはじめとするわらび、筍、ギョウシャニンニクなど
山菜と呼ばれるものをを自分の手で採り、料理するなんてことを
したことがなかった。去年、職場の敷地で採れた筍を譲ってもらい、
大鍋で仕込みをして煮物や炊き込みご飯にして
食べたという特例はあるものの、
パッキングしてあるものを買う、外で誰かが調理してくれたものをいただく、大抵はこの二択。

それが北海道に来て、雪解けの足元を彩る蕗のとうを目にするうちに
「自分の手で採って食べたい!」と思うようになった次第。

「そんなの雑草だよ」
「こっち(北海道)のはアクが強くて食べられないよ」
私がせっせと腰を落として採っている様子を見て
そんなことを言う人がいた。近所のお爺さんである。
教えてくれてありがとう、でも食べる。


近くを通るとスーッと爽快感のある香り


私のような半ば都会からやってきて、
道のほとんどがアスファルトで覆い固められたような
そんな場所で育ってきた身からすると
土があることも、山菜が顔を出すことも、全部すごい。

もしくは、以前暮らしていた場所にも
探せば咲いていたかもしれないけれど
気が付かなかった。目を向けようとしなかった。

あまりにも当たり前に、且つ数多にあるものであればあるほど、
見ようとしなければ、あることにも気づけない。

今は、そうした時間を取り戻すべく
自転車を漕ぎ、町を歩き回り、土に触れている。


春の訪れを、長く厳しい冬を越した喜びを
全身で伝えてくれる小さな蕗のとうは、
足元にある確かなものの尊さを私に教えてくれた。




ここからは、ふきのとうを実際に食べた日の記録

摘むのは小ぶりのもの

蕾が開き、花が咲いているものは苦いので
開く前のものを選ぶのがいい。
アク抜きは、沸騰したお湯に入れて2〜3分ゆがいたあと水にさらして一晩。北海道のはアクが強いといったお爺さんを思い出しながら、念入りに。

5〜6個ほどは天ぷらに、残りはばっけ味噌にした。


ばっけ味噌 (小ぶりふきのとう7〜8個分)

こめ油 大さじ2

みりん 大さじ2
砂糖 小さじ1
味噌 大さじ4

  1. 蕗のとうを細かく刻み、油と一緒にフライパンに入れ、しんなりするまで炒める。

  2. 味噌、みりん、砂糖を加え、みりんのアルコールを飛ばすように炒めたら完成。


ご飯泥棒


新玉ねぎとふきのとうの天ぷら


ふきのとう動画、youtubeで近々公開します。
読んでくれてありがとう!


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