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手早くざっくりと把握する力

よくわからないことをスピード感を持って理解するには、まず対象を手早くざっくりと把握する必要があります。
あくまでも「手早くざっくりと」です。最初から、ゆっくり細部まで念入りに追求するのは頂けません。まずは大づかみでいいんです。細部を見るのは最後の最後で良いんです。

でも、残念ながら、細かい部分にとらわれて全体を把握するのが遅かったりできなかったりする人って割りといます。


財務諸表の場合


例えば、知らない会社の決算書、財務諸表を初見で検討するとき、ざっくりとした数値で手早く把握する。細かいケタまで気にしないのが肝要です。

どうも「どんぶり勘定はダメ」と言われ続け、刷り込まれているせいか、ことお金の話になると細かく細かく見ていく人がよく居ます。
一見良いことのようですが、最初から細かく見ることは得策ではありません。時間ばかりかかってしようがありません。

まずは手早く大雑把に把握する。おおまかに全体像が描けたら、そこではじめて細かい部分を見る。ですから最初はどんぶり勘定でOKなんです。

企業を買収する場合、競合他社の財務分析をする場合、話題の企業を調べる場合、この姿勢は重要です。

・まずざっくりと大雑把に全体を把握する。
・貸借対照表(BS)をチェックする。(純資産、現預金、自己資本比率など)
・損益計算書(PL)をチェックする。(営業利益は出せているか、収益構造など)
・嘘はないか(在庫、固定資産、売掛金に不審点はないか、同業他社と比較してかけ離れた数値はないかなど)

こんな順番で見ていきますが、ここまで来てもまだ細かく数値は見ません。あまり意味がないからです。というか、最後まで細かく見ないことのほうが多いですね。
だって、企業買収の場合、手早くざっくりと把握した結果、検討に値しないと判断したら、もう細かく見る必要はないですからね。

最初から細かく時間をかけて数字を見ていくのは、人の顔を描くとき目だけ入念にスケッチするようなものです。目だけが異様に細かく描かれていても、絵全体のバランスが悪いだけです。

財務諸表を手早くざっくりと把握するに当たって参考になる書籍


こうした考えで財務諸表を読むに当たって参考になるのが、まずこの2冊です。10年以上前の本ではありますが、現在でも十二分に使えます。
「ここだけ読め!」と挑発的なタイトルですが、税務会計をしたりするのでなければ、本当これくらいで十分です。

また、ざっくりと理解するためには、貸借対照表と損益計算書を図にして可視化することも有用です。

私は、『世界一楽しい決算書の読み方』(大手町のランダムウォーカー)を参考にして、エクセルに数値を入力すれば図式化できるようにしています。
(いつも書籍をおすすめする場合Kindle版が多いのですが、この本は紙のほうが見やすく感じました)

まずウィキペディアでも構わない


また、ある事象を手早くざっくりと調べる場合、ウィキペディアを活用すればいいんです。

「どんぶり勘定は悪」と同じように「ウィキペディアは嘘があるから参考にしたらダメ」とかなり広く言われていますし、多くの人の意識に刷り込まれています。

しかしですね、まず手早くざっくりと調べる段階ではウィキペディアでいいんです。で、より深く調べてみる価値があるとわかれば、そこではじめてより信頼できるソースをたどればいいんです。
最初から信頼できるソースを探して右往左往する必要はないんです。時間の無駄ですから。

何のために調べるのか


何かを調査する場合、何のために調べるのかを忘れてはいけません。
調べること自体が目的になってしまうと本末転倒です。

調べる対象を手早くざっくりと把握した結果、「あ、この案件をこれ以上細かく調べる意味無いな」と解れば調査は打ち切ればいいんです。時間が節約できていいですよね。


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