見出し画像

Genesis / Nursery Cryme (怪奇骨董音楽箱)

■ Genesis / Nursery Cryme
■収録曲:Side 1 - 1.The Musical Box(10:26) 2.For Absent Friends(1:45) 3.The Return Of The Giant Hogweed(8:10)  // Side 2 -1.Seven Stones(5:10) 2.Harold The Barrel(2:59)  3.Harlequin(2:55) 4.The Fountain Of Salmacis(7:53)
■パーソネル:Michael Rutherford(b,g,vo) Phil Collins(dr,vo) Steve Hackett(g) Peter Gabriel(vo,flute) Tony Banks(key,g,vo)
■リリース:1971年
■カバー・アート:Paul Whitehead

 「Nursery cryme」、邦題「怪奇骨董音楽箱」です。
 ドラムスがジョン・メイヒューからフィル・コリンズに変わり、ギターがアンソニー・フィリップスからスティーヴ・ハケットに変わったことによって、ジェネシスの表現力が格段に豊かになりました。このアルバムからは、トニー・バンクスのキーボードもフルスロットル状態で、プログレッシヴ・ロック然とした楽曲の数々が耳を釘付けにしてくれます。

 怪奇骨董音楽箱という邦題からも明らかなとおり、冒頭のミュージカルボックスがこのアルバムのハイライトです。何と、9歳のシンシア・ジェーン・ド・ブレイスがクリケットのマレットを振り上げ、8歳のヘンリー・ハミルトン・スミスの首を切り落としてしまう、という残酷物語の歌です。

 数週間後、シンシアはヘンリーの部屋で彼の宝物のオルゴールを見つけます。そして蓋を開けると、「オールド・キング・コール」のメロディーが鳴ると同時に、中から、ヘンリーの亡霊が現れるのですが、亡霊は見る見る間に年老いていき、シンシアに思いを語ろうとする・・・というようなお話です。

 アルバムの原題「Nursery cryme」は、この「オールド・キング・コール」が英国の伝承童謡「Nursery rhyme」の1つであることから、それと、この残酷物語をかけたものになっているという訳です。

 他の曲も、同様に、色々と深い曰くのある曲が続きますが、曲のインパクトや耳に残るメロディという点では、いずれも地味です。実は前作Trespassもこのアルバム同様にすぐに耳に残る曲はナイフだけだったのですけどね。

 他の収録曲もなかなか緻密に作曲されているので、聴き込むと、だんだんと耳に馴染んで来て細かな部分も耳に入って来るのですが、掴みがなんとも弱いんですよね。そうした中、終曲「サルマシスの泉」のキーボードによる神秘的な演出には惹かれるところがあります。泉に入るもの全てを雌雄同体の植物「ヘルマフロディーテ」に変えてしまうという呪いをかけるサルマシスの精の歌なんです。らんま1/2の世界観!なんだか題材がぶっ飛んでますよね。すごくプログレ的!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?