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ラックスマンL-305:遺産を守る木箱入りアンプの物語

ラックスマンのお話です。ガキの頃刷り込まれたラックストーン、そのおかげで欠かせない存在となってしまったラックスマンのプリメインアンプについての思い出話です。


ラックスマンのアンプと「ラックストーン」の魅力

ラックスマンのオーディオアンプには、かつて、秘密結社のようなネーミングの「ラックス党」と呼ばれた信者がいました。ラックスのアンプ独特の芳醇な音を指して「ラックストーン」と呼んだりもしていました。秋葉原がアニメやコンピューターの街ではなく、オーディオ街だった1970年代〜1980年代頃の話です。その残党の人たちは、今でも、ラックスなしじゃダメなんじゃないかなぁと思います。

ラックスマンの歴史

ラックスマンは創業100年以上、紆余曲折を経て現在に至っている老舗ブランドです。その歴史については、すみやサウンドギャラリーさんの「オーディオブランド探求~LUXMAN~」が分かりやすいので、こちらをご覧ください。

アンプの比較体験

ラックスマンのアンプの音がどのように他と違うのかについては、オーディオ・ショップで聴き比べていただく他ありません。しかし、今では、ハイエンドの試聴室にしか置かれていないかもしれないので、簡単に聴き比べられられるところが見つけにくいかもしれないですね。

1980年前後には、ちょっとだけ大きめの普通の電気屋さんにも、アンプやスピーカーを切り替えて試聴できるコーナーがありました。高校生の頃は、カセットテープに聞きたい音源を録音して、試聴室に持って行って、かなりの種類の機器を大音量で聴き比べていたものです。

その帰りには、ひと抱え、オーディオ機器のカタログを貰って帰っていました。当時のラックスマンは、パイオニアやトリオと比べるとちょっどだけお高めでしたが、普及価格帯の製品を出していました。

ラックスマンアンプの音質の特徴

そうして聴き比べた中で、ラックスマンの音は、押し出しが強く、引き締まって弾力があり、膨よかでした。ラックスマンを前にすると、他のアンプの音が無機的、金属的に聞こえました。

こういう経験をされた方っているのではないかと思うんですよ。あくまでも、音をどう感じるかなので、感性の問題なのだとは思うのですが、このように感じた方は、その後の人生をラックスマンの呪縛の中で生きていくことになってしまうんですよね。多分。私がそうなので、きっと、そうに違いありません(かなりの断定)。

トランジスター・アンプの変遷

そんなわけで、社会人デビューして最初に買ったラックスマンはL-48Aでした。79800円だったかな。・・・遠い記憶。レベルメーターは、かなり音量を上げないと点灯しないので、実際には、スピーカーで音楽を聴いている時には点灯しているのをみたことがありません。ヘッドホンをつけると点灯させられましたが・・・。

オーディオの足跡さんから拝借

その後、このシリーズの最高機種、L-58 Aなどを使いました。この横に動くスイッチのデザインは最高ですね!ラックスマンのアンプのもう一つの魅力は、この木箱入りの美しいデザインでした。

L-58A

他のオーディオメーカーで、ここまで、デザインが洗練されたアンプって見当たらなくないですか?
筆記体の社名もオシャレですよね!

トランジスター・アンプの変遷

ところが、いつ頃からか、ラックスマンのトランジスター・アンプは木箱入りではなくなってしまいました。大きな針式のレベルメーターがついた、アキュフェーズを翻案したようなデザインに変わり、さらに、躯体の大きさが著しく大きくなりました。特に奥行きは40cm超えじゃないですかね。そうなると、置き場所に困りますよね。パネルデザインも美しくないし。(趣味の問題ですが)木箱入りの重厚な調度品の風格のアンプが、なぜか、工事現場の機能最優先の機械になってしまったみたい。

機械臭くて見た目がイマイチすぎる!

木箱入りアンプは、お高い、一部の真空管アンプだけになりました。

こんな感じ!でもデザインは最高ですね!美しい!

そんなある日、2012年、1980年代を席巻した(ってほどじゃないか)デュオβサーキットのアンプの流れを引き継ぐ木箱入りのトランジスター・プリメイン・アンプが発売されたのです。それが、L-305です。

美しいですね!

1970年代暮れのSQシリーズのデザインをもとにした木箱入りアンプです。

そして、アンプに必須だと、私が勝手に考えている機能があります。
それが、トーンコントロールのターンオーバー周波数切り替えです。

そのほか、ローカットフィルターやモノラルモードなども搭載!

プリメインアンプで重要な、音質のコントロールが、細かく切り替えられるのは必要ではないですか?

一昔前は、山水もヤマハもソニーもトリオもパイオニアもローディーやオプトニカやオーレックスだって、ミドルクラスのアンプになるとそうしたトーンコントロールがつけられていました。

現代のアンプと機能性

こうしたトーンの切り替えは、最近のアンプでは壊滅的ですね。酷いものになると(それをよしとするオーディオファンの方たちが多いからなのかもしれませんし、または作ってやった音だけ聞いてりゃいいんだよというメーカーの押し付けかもしれません)ボリュームだけでトーンなしというものもある始末。面白くなくないですか?

せっかく高いお金を出して買うんだから、各種フィルターやラウドネスや左右リバースモードなど、機能はわんさかとついていた方が楽しいじゃないですか?

現在、ターンオーバー周波数切り替えがついている機種は、ラックスマンの木箱入り真空管アンプだけなのではないかと思います。

ラックスマンの美学を再評価

実は、このL-305ですが、発売直後に入手して長年使っていました。約2年前に、ラックスマンの整備済みビンテージアンプを販売している業者を見つけまして、そうした旧機種や他社のデジタルアンプなどに、しばらく現を抜かしていました。
そうしている間にL-305の後継機種が出るのではないかと思っていたのですが一向に発売される気配がありません。

もうラックスマンは木箱入りのトランジスター・アンプは作らないのでしょうかね?

そうして悶々としていたところ、かなり程度の良さそうな中古(前にうちで使ってたものより綺麗そう)を見つけまして、迷わずポチってしまいました。

最近では、ローエンド・オーディオでどこまで鳴らせるかとか、ローエンドでも十分音が出てるじゃん、とか言いながら、DENONのRCDーM41というレシーバー(オタ部屋のサブシステムです)を使っていたのですが・・・。

流石にラックス党の残党ですからね。もう発売されないのなら、最後の木箱入りトランジスターアンプであるL-305は、比較的綺麗なものを押さえておきたいって思ったのです。

そういうわけで、オタ部屋に、再び、L-305が復帰いたしました。前よりちょっとだけ(プラシーボか?)美しい光沢で・・・。

・・・さて、往年のプログレでもかけてみるかな♪

こうした人生のフルサークルにぴったりなメリーゴーランド的な曲を貼りますね。 Yes / Roundabout

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