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Dream Theater / The Astonishing (完璧な演奏、完璧な暮らし:The Astonishingからの旅)

Dream Theater のThe Astonishingに関する記事ですが、内容は、音楽の消費行動の変化とそれに起因するコレクションの売却(要は、最近ハマりまくっている断捨離)のお話しです。


消費行動の変化(レコードからCD、CDからサブスクへ)

2015年6月30日は、Apple Musicがサブスクリプション(定額制)サービスとして提供されるようになった日です。これ以降、新譜を買うことがほとんどなくなってしまいました。1970年代前後のレコードは、今でも時々買いますが、デジタル配信の時代にリリースされた音源を、レコードやCDなどの固定メディアでコレクションすることの意味はよく分かりません。

そこで、ドリームシアターです。彼らのかつてのアルバムはCDで買っていましたが、2016年のこのThe Astonishingはサブスクの時代にリリースされたものです。こうしたアルバムについては、詳細な説明はすぐに公式メディアやWikipediaで配信されます。歌詞も同様です。昨年からは翻訳もAIがしてくれますから、頑張って英語を読む必要がなくなりました。すぐに音楽が聴けますから、当然、寸評が書かれた雑誌は不要です。

こうして、様々な過去のメディアが淘汰されていく様子を眺めていると、数年先にはどのように変わっているのか、想像が困難です。想像よりも、ここ数ヶ月のITの進化が速いように思います。

The Astonishingの世界観

このThe Astonishingの音楽は完璧です。完璧すぎてちょっと疲れてしまうレベル。そこで、どんな内容の音楽かについてみてみますと、これは、ジョン・ペトルーシ(g)が書いた物語に沿って音楽が展開されるロックオペラ的なコンセプトアルバムです。CD2枚分の時間ということで、超大作になります。集中力が切れるので全部聴くのは大変です。

さて、その内容ですが、昔らからロックのアーチストが書くコンセプトアルバムのストーリーと実に面白いくらいに類似しています。ロックの人たちってやはりかなり単細胞なのでしょうかね。ジョン・アンダーソンのサンヒローのオリアス、ラッシュの2112と基本的には同じです。設定がちょっと違うだけですね。ディストピアを音楽の力でなんとかしようというよくあるヤツです。wikipediaに記載された物語の翻訳を以下に載せます。

#アクト1
2285年、アメリカの北東部は圧政的な大北帝国に支配されたディストピアとなっていた。唯一の娯楽の形はノイズマシン(NOMACS)の電子音だけが存在している。帝国はナファリウス皇帝、アラベル皇妃、ダリウス皇太子、そしてフェイス王女によって統治されている。遠く離れた村、レイヴンスキルでは、ガブリエルという男が音楽を奏で歌う自然な才能を持っていた(「音楽の贈り物」)。彼には兄、レイヴンスキルの反乱軍司令官アリスがおり、彼の亡妻エヴァンジェリンとの間に息子ザンダーがいた(「より良い人生」)。

ナファリウスは、ガブリエルが人々の救世主であるという噂を耳にする。彼とその家族は、自分たちで確かめるためにレイヴンスキルに旅する(「ナファリウス卿」)。レイヴンスキルの街の広場では、ガブリエルが人々のために演奏しているときに王族が現れる。彼は皇帝の要請で演奏を続ける(「広場の救世主」)、彼らを涙ながらに感動させる(「あなたの時が来たとき」)。彼が演奏する間、フェイスは幼い頃に音楽プレーヤーを見つけ、一生の間それを秘密にしていたことを思い出し、彼女とガブリエルが互いを見つめ合い、恋に落ちる(「フェイスの行動」)。ナファリウスは、ガブリエルの歌に一時的に感動するものの、彼を自分の支配にとって脅威と見なし、街の人々に彼らの救世主を3日以内に引き渡さなければ街を破壊すると告げる(「3日間」)。アリスは兄を隠し、彼を渡すことを拒否する(「兄よ、私の言葉が聞こえるか?」)。

皇帝の宮殿に戻ると、フェイスはガブリエルに再び会いたいと決意する。彼女は変装し、レイヴンスキルに戻る旅を始める。彼女の意図を知っていたアラベルは、娘の行動を知らせ、ダリウスに彼女を追いかけさせる。ダリウスは常に父親に妹よりも見向きされていないと感じており、彼自身の目的で町に向かう(「過ぎ去った人生」)。フェイスは町に到着し、彼女を信頼するザンダーを見つけ、彼の父アリスに案内される。フェイスはアリスを説得して彼を助けることができると確信し、彼女をガブリエルの隠れ家に連れて行く。ガブリエルとフェイスは抱擁し、彼女は父がガブリエルの捜索を諦めるように説得できると言う(「レイヴンスキル」)。ガブリエルは、もし自分が皇帝と会えれば、彼の音楽の才能を使って土地に平和を取り戻すことができると彼女に語る(「選ばれし者」)。

一方、ダリウスはアリスの家を見つけ、ザンダーを捕らえる。ダリウスは、アリスがガブリエルを連れてくることを条件にザンダーの安全と富を保証することを約束する。ダリウスは、これによって父親からの尊敬を得ることを望んでいた(「魅力的な提案」)。アリスは息子を守るというエヴァンジェリンとの約束を思い出し、取引に同意する(「Xの側面」)。フェイスは父の宮殿に戻り、彼女の音楽プレーヤーがかつて父のものだったことを知る。しばらくして、ナファリウスは娘の懇願に屈し(「新たな始まり」)、荒れ果てた天国の入り江と呼ばれる廃墟の劇場でガブリエルと会うことに同意する(「革命への道」)。

#アクト2
アリスはガブリエルがその夜天国の入り江にいることをダリウスに伝える(「裏切りの瞬間」)。会合の時間が近づくにつれて(「天国の入り江」)、フェイスは王族の地位の力を使って世界を良く変えたいと決意する(「新たな始まり」)。劇場で、アリスは取引について考えを変え、ダリウスが現れたとき、彼らは戦いを始める。ダリウスはアリスを打ち負かし、彼を殺す(「分かれ道」)、彼が自分が殺したことに気づかずに息子のザンダーが彼らを見ているのを見逃す。ザンダーが父の死体に向かって走ると、ダリウスは自分に近づく誰かのシルエットを見る。それがガブリエルだと思い込み、彼を殺そうとするが、実際にはフェイスであることに気づく(「歩く影」)。ガブリエルが現場に到着し、死んだ兄と傷ついたフェイスを見る。ザンダーの耳を覆いながら、彼は叫び声を上げ、ダリウスを耳を失わせ、ナファリウス、アラベル、そして街の全員が聞いた(「私の最後の別れ」)。

ナファリウスとアラベルが到着し、ガブリエルに彼の才能を使ってフェイスを救うように懇願する(「フェイスを失う」)、しかし、ガブリエルは叫び声を上げた後に歌うことができなくなっている(「風にささやく声」)。叫び声に引き寄せられた人々が現れ、歌い始め、ガブリエルに希望を与える。彼は歌う能力を取り戻し、フェイスを生き返らせる(「千の声の讃美歌」)。ナファリウスは自分がしたことを悟り、ガブリエルとの紛争を終わらせ、NOMACSを永久に停止することを決意する。ダリウスは彼の行動を許され、ガブリエルとフェイスは家族としてザンダーを育てる(「新しい世界」)。ナファリウスは音楽が再び評価される新しい世界で公正な指導者として帝国を治めることを約束する(「驚くべきこと」)。

The Astonishing / Wikipedia

頑張って書きましたねっていう気はしますが、これが書籍になっても読まないだろうなと思います。

The Astonishingの音楽の素晴らしさ

そんな歌詞の内容にどこまで入れ込めるかは横に置いておいて、音楽はヤバいくらい完璧です。文字通り「驚異的」!

作曲はペトルーシとジョーダン・ルーデス(Key)。弦楽と合唱とオーケストレーションはデイヴィッド・キャンベルです。

細分されたそれぞれの曲のアレンジ、演奏、どの部分をとっても、無駄な繰り返しや冗長なメロディーの欠片もなく、凄まじいいテンションです。唯一(というか2点)、苦言をさせてもらうとすると、アルバムが長すぎるということですね。ラッシュの2112は約20分です。この程度が集中の限界じゃないでしょうか。ちなみに、一定の時間内に詰め込まれた音の数は、多分、ラッシュの4倍は超えていると思います。2点目は、ドリームシアター自体が多作すぎることです。どのアルバムの演奏も凄まじいのですが、ここまで多作になると、それを聴いている瞬間はローラーコースター的に楽し目ても、脳が飽和状態で耳に残らなくなります。イメージズ・アンド・ワーズの曲は全て分かるけど、オクタバリウム以降くらいから怪しいなぁと思います。そういう人っていないですかね。私だけかな。

まぁ、そういう話は置いておいて、このアルバム自体がどうかというと、それは大変よくできているんですよ。上記のような切り口で物を言わなければ、ベタ褒めレベルです。

断捨離との関係

ここで、また性懲りも無く最近ハマっている断捨離の話しになるのですが、このThe Astonishingを聴いていて思ったのが、こんなにまで緻密で素晴らしい音楽でさえ、現代では、サブスクで配信されているということです。もちろんCDやレコードも同時に売られてはいるのですが、いちいちレコード屋に行ったり、Amazonで買ったりしなくても、瞬時に聴けてしまうわけです。

つまり、このThe Astonishingですらサブスクで聴いているのだから、これに満たないアルバムを固定メディアで持っておく必要はないのではないか、とふと思ったわけです。つまり、この音楽が、オタ部屋にまだしつこく溜め込んでいる膨大な(と言えるほど多くはなくなりましたが)レコードやCDのライブラリーをどこまで処分できるかのメルクマールになりそうな気がしてきたっていうことです。

最近「えがチャンネル」にハマっていまして(ほぼあたおか)、たとえば「マクドナルドのフィレオフィッシュを100点とした場合に、これは何点でしょう?」という採点法がなかなか冴えていると思うんですよ。

そこで、この完璧な「The Astonishingの音楽とその演奏を100点とした場合に何点でしょう?」という基準で、他の魑魅魍魎的なアーチストのレコードやCDを切り落としていけば、簡単に断捨離ができるのではないかと思ったわけです。つまりThe Astonishingdすらサブスクなので、これに満たない音楽は固定メディアで所持する価値がないというロジックですね。

・・・と、ここまで考えたものの、100点未満を切り捨てることにしたら全部捨てなきゃいけなくなるので、80点ぐらいを基準にしようかな。でも、これを前にすると80点に達するアルバムもないのではないかな。つまり、あまりにも完成度の高いものを基準にすると、全廃の一択になるっていうことです。

結局、レコードやCDを買った時の思い出であったり、そのアーチストへの思い入れを基準にして、捨て難いものだけを残しておくという、音楽とは別の要素で持っておきたいもの、たとえばその入れ物(ジャケット)自体が欲しいかどうかなどを選択するしかないのかな。でも、それを考える際に、「The Astonishingdすらサブスクなんだから」ということは相当、取捨選択に影響を及ぼすと思います。

なんだか、頭の中がスッキリ整理できたような気になりました。

初盤の音が最高とか、セカンドプレスの方がいいんだなどといって、同じアルバムを何枚も集めていた時期もありましたが、幻想です。雑音のないリマスターCDやロスレス音源の方が音がいいに決まっています。ノイズ混じりの初盤が聴きたいかどうか、それを持っているということで嬉しいかどうかだけかなぁと(考え方は人それれぞれでしょうが。)。

さぁ、箱詰め、箱詰め!

今回は3箱出荷します!
また少し身軽になった!

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