見出し画像

尾瀬の魅力

尾瀬に住んでいたわたしが感じる尾瀬の魅力 -1-


尾瀬の魅力。

みなさんはなんだと思いますか?

わたしはこの質問をされるといつも答えに困ってしまいます。
だって全てが好きだから。

そこにある自然、そこにすむ生き物たち、そこに関わる人々。
そしてあの素晴らしい景色と流れる時間。

「尾瀬って平坦でつまらないよね」

と言われることも結構あります。

でもわたしにとってはそれがいい。
ただ、ゆっくり歩いて尾瀬を感じるのが好きでたまらないから。


尾瀬の魅力の一つ、夕方の静けさ

昼間にたくさんの人が訪れる尾瀬。

わたしはその人たちが帰っていく姿を見送り、散歩に出ます。

あんなに聞こえていた話し声も夕方にはすっかり聞こえなくなり、
鳥たちが鳴く声、風が吹く音、川が流れる音が聞こえてきます。

ビジターセンターで働いていた時は
早番の仕事が16時に終わると「夕方の散歩」によく出て
この特別な時間を味わいました。

夕焼けに染まる空と燧ヶ岳

生き物たちがのんびりとしている姿

風でさわさわ揺れる植物を

ただぼーっと眺める。

なんて素晴らしい場所にわたしはいるんだろう

散歩に出るたびにそう思わされていました。

尾瀬 夕焼け


月夜と星空

こんなに月明かりって明るいんだ。

街で生活すると気づくことのないことを
尾瀬で初めて気がつく

こういうこと、結構あります。

尾瀬の夜は山小屋のあかり以外
外を照らすのはヘッドライトの明かりか懐中電灯だけ。

山小屋に泊まった人の中には
「こんなにまっくらになるなんて思いもしなかったー」
とびっくりされている方もいらっしゃいました。

確かに街灯のある場所で生活する私たちにとって
ほんとうに”まっくら”な場所にいることなんてあまり経験がない。
びっくりしますよね。

でもその”まっくら”に目が慣れると
満月の夜には月の明かりだけで木道を歩くことができる。

山小屋が消灯になっても月明かりで山小屋の中が明るかったり
意外と電気がなくてもいろいろ見えるんです。

そして、街灯がない場所で見る星空の素晴らしさ。
こんなに星が存在しているんだと、感動させられます。

”東京の空には星はない”

と言われますが

いつも見えていないだけで

実はたしかにわたしたちの頭上で毎日毎日輝いている。

流れ星だって、毎日流れています。

尾瀬 月 満月


太陽のあたたかさに気がつく朝

わたしの一番大好きな尾瀬の時間。

だから日の出前に起きて、散策に出かけたい。

とっても寒い日もあるけど
そんなことは”あの素晴らしい景色”のためならいくらだって我慢できる。
自分でも不思議です。

間に合うかな、と小走り気味に
日の出を見るためのスポットに急ぎます。

余裕を持って散策に出ることができた日はゆっくり周りの景色をみながら。
鳥たちの鳴き声も確認しながら歩きます。

「おはよう!ホオアカ、アカゲラ、カッコウ!」

と心の中でつぶやきながら。

聞き慣れた鳴き声だけれど
声を聞くととっても嬉しい気持ちになります。

そして日の出の時間。

顔に太陽の光があたると本当にあたたかくて。

朝露がついた植物たちも太陽の光できらきら光っています。

霜の降りる季節は太陽の暖かさで植物や木道についた霜がどんどん溶けていく。

日が昇ると”太陽ありがとう”と自然が言っていると感じられるくらい
目の前にある全てがいきいきします。

日の出の瞬間を味わった後の楽しみは生き物たちの活動の観察。

早朝はまだまだ人もまばらで
尾瀬にすむ生き物たちをゆっくり観察するのにとても良い時間となります。

昼間には気がつくことができない小さな音に気がついて珍しい場面に遭遇したり。

いろいろと観察していると、あっという間に時間が経ってしまいます。

尾瀬 日の出 早朝


尾瀬が一番賑わう時間、そして山小屋の古き良き日本の生活

もちろん、昼間にも余裕があったら散歩に出かけます。

この時間からは澄み切った青空や
雨の日だと植物たちの潤いをみるために出かけたくなります。

登山客や観光客で賑わう昼間の時間。
と言ってもわたしにとって尾瀬の昼間は朝9時くらいからのことを指します。

木道を歩く人たちが話す
「ねぇねぇ、あれってなんて植物かな?」
「この池の中にいるのってイモリ・・・?」
など、いろんな会話も聞こえてきて
騒々しいと言ってしまったらそれまでですが
これはこれで聞いていると楽しい。

そしてここからは山小屋の忙しい時間。

宿泊客を見送った後の山小屋はまさに大忙し。

掃除を済ませ、軽食営業のある小屋は昼間のお客さんの対応をする。

そうこうしていると
今日の宿泊者がまだ午前中にも関わらず
荷物を置かせて欲しいとやってきたり。

わたしは山小屋のアルバイトもしていたことがあるので
この時間がとっても忙しいことを知っていますが
あえてその忙しさを外から観察します。

洗濯物を干す人

窓を拭く人

部屋の中でせっせと布団を畳む人

この様子を見ていると
なんて平和な光景なんだろう、と思ってしまう。

やっている本人たちにとってみたらすごく大変なことなのだけれど
この光景は”古き良き日本の生活”を見ているような気がして
なんだかほっこりした気持ちになります。

尾瀬 賑わう時間 昼間 木道 尾瀬ヶ原

尾瀬の魅力とは

わたしが思うに
尾瀬の魅力はそこにある全てです。

だから、通えば通うほどいろんなことに気がついて
全てを見ておきたくなる。

尾瀬に通い続けて数十年という方が

”尾瀬にいると寝る暇がないの”

と困ったように言っていました。

それを聞いた瞬間
まさにこの一言が尾瀬の魅力を表している!
と強く感動しました。

この一言とこのときの表情を
わたしはきっと、忘れることはないと思います。


※「尾瀬日和」としても情報発信をしていきますので、
尾瀬日和のnoteもよかったらご覧ください!


この記事が参加している募集

一度は行きたいあの場所

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?