1人カウンセリング

何かを頑張ろうと思うと、心に傷みが宿るのが常で、
どうにもこうにも、なかなか頑張れないでいた。
「私、このまま一生何にも頑張れないのかな」
と不安になった。

そんな心の傷みと向き合うために、
時間をとって心の傷みを書き出していった。

ねえ、お母さん、なんで周りの子のことを、すごいすごいっていつも言うの?
ねえ、お母さん、私はみんなよりも低いステージにいるの?
私はどんなに頑張っても、みんなよりはすごくないの?
がんばっても意味ないの?

少し遅れて6歳から、英才教育でバイオリンを習い始めた。
周りはみんな、親が音大出身で、3歳から英才教育を受けている。
私の母親は音大を出ていなくて、引け目を感じていた。
英才教育の本格的な場に、萎縮もしていただろう。
その空気に母親は完全にまけていた。

お母さん、私はお母さんと一緒に、毎日1時間練習してるよね。
毎日大変だよ。
プレッシャーだよ。辛いよ。
でも、お母さん、私以外のみんなは毎日3時間練習しているんだよね。
私よりも最初からずっと上手だよね。
みんなすごいんだよね。
私は、あんまり練習しない家だし、初めからステージが違うんだよね。

子供の頃の記憶は、刷り込みとなり、無意識層に思考回路がこびりつく。
私は、周りの人間よりもステージが低いと思うようになってしまった。

でも。
過去は変えられる。
今の私は、
母親が周りを過剰に評価していた弱い人間であったこと、
そして、実は周りの子たちが、私と大差ない普通の子であっただろうことを、理解できる。

子供だった頃の私に話しかけてみる。

ねえ。さやか。
お母さんの言っていることは、間違っているよ?
お母さんの言っていることは、違うんだよ?
本当は、周りの子も大してすごくないよ。
みんな普通の子だよ。
全然変わらない。

さやかは上手になるよ。
ちゃんとできてるよ。

お母さんは間違っているよ。
お母さんに、聞いてみようよ。
「なんで周りの子がすごいと思うの?」って。

「なんで周りの子がすごいと思うの?」
「だって、ママはすごくないから。ママは、何もできないから。ママは劣等生だから。何をやっても何もできないから。ダメな子だから。ママは、何もできない子なの。だから怖いの。できるようになりたいの。でもできないんだよ。」

「ママはできるよ。いろんなことができるよ。ビジネスだって成功させた。家事だっていつも完璧。ママ、大丈夫だよ、ママはちゃんとすごいよ。」

そう言ったら、母親はにこっと笑った。そんな気がした。
過去の私の傷みが癒やされる。
ママ、大丈夫だよ。もう苦しまないね。
私も、もう苦しまないよ。


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