パンが主食であるわけ―あるいは砂糖の歴史―
主食と副食が分かれているのはコメを主食としている日本人など少数派で、ヨーロッパでは主食と副食は分かれていない――というのは今や定説で、尊敬するヨーロッパ史家・川北稔氏も『砂糖の世界史』でそう述べられている。
ところがその川北氏が訳したシドニー・ミンツ『甘さと権力』には異なる記述がなされている。少なくとも中世ヨーロッパの庶民においては「肉・乳製品・野菜・果物など、他の食品は何であれ、穀物の補助でしかなかった」のである。小麦など炭水化物が主食で、タンパク質が副食だったのは栄養学的