マガジンのカバー画像

エッセイらしきものばかり

505
何がエッセイなのかよく分かっていない人が書いたエッセイらしきものです。
運営しているクリエイター

記事一覧

証拠にならない写真

証拠にならない写真

 その日はしっかり昼寝してしまい、次の日も休みとあって、夜更かしをしていました。それだけ夜更かししてもやることは動画を見たりゲームをやったりと、要は暇つぶししかしていません。だったら寝ればいいじゃないか、と私も思うんですけれども、昼寝が相当効いていて、寝る気にならないんです。

 真夜中も過ぎているとあって、隣の住民も上の住民も静かで、外も音らしい音が聞こえません。壁は薄いはずなのに人の気配がしな

もっとみる
カツアゲが現実を揺るがす

カツアゲが現実を揺るがす

 今でも問題になってると思うんですけど、カツアゲというのがあると思うんです。中高生くらいになると、ちょっと年上の怖い人から「カネくれや」と言われ、お金を巻き上げられる例の犯罪です。

 私も高校生の頃、1回だけ遭遇しました。友人3人と一緒に頭の悪い話を自転車をこぎながら下校をしていたんです。通学路は大きめのチェーン店と住宅地が混ざり合う、車通りの多い道でございまして、地方都市の郊外にありがちな景色

もっとみる
死後の楽園の死後

死後の楽園の死後

 子供の頃、ゲームにハマっていました。特にRPGが好きで、ドラクエやFFといった有名どころから、知る人ぞ知る名作、クソゲーと隣り合わせゆえにカルト的人気を誇る怪作に至るまで、いろいろ楽しんでいました。

 ゲームをしまくる私を見て、母もRPGに若干の興味を抱いたようです。画面を見ては「今は何をやっているの」と聞いてきたり、母自身も攻略本を買って忙しい中、実際にやってみたりしていました。

 そんな

もっとみる
カニとの戦いに備える人

カニとの戦いに備える人

 エビやカニが嫌いな友人がいるんです。ここでは蟹江さんとしておきます。蟹江さんがエビやカニを嫌う理由はアレルギーだからではなく、見た目が気持ち悪いからなんだそうです。蟹江さんが言うには「虫が食べられないのにカニを食べられる人がなぜこんなにも大勢いるのか理解できない」とのことです。

 ネットで軽く検索したら、蟹江さんのような方は他にもいらっしゃるようです。そう言われてみればカニやエビは不気味な外見

もっとみる
猫を眺めるのも気をつけたい

猫を眺めるのも気をつけたい

 仕事先から自宅へ戻る途中で、怪しい男性を見たんです。とあるお宅の庭を、壁越しに見てニヤニヤしているんです。

 当時スッカリ日が暮れて辺りは暗く、男性は街灯の光を背に受けているためか顔が影で見えづらい。それがまた笑顔を不気味にしているんです。ましてや人の庭をガン見しているわけでございまして、不審なこと限りなしです。

 最初は来た道を引き返そうとしましたが、すぐにひとつの予想が思い浮かびまして、

もっとみる
規制線の現実を見た

規制線の現実を見た

 その昔、とある取引先へ打ち合わせに行ったんです。ビルが立ち並ぶ都会でございましたが、近くでは新たにビルを建設している、今なお進化している都市でございました。

 外でサイレンの音がするとは思ってたんです。でも、そんなことはままあることですし、そもそも仕事中でございましたから、そんなに気にしてはいなかったんです。

 打ち合わせは朝に始まり、昼になっても終わる兆しが見られませんでした。もともと長時

もっとみる
よりによって前輪後輪ハンバーガー

よりによって前輪後輪ハンバーガー

 人生には「よりによって」ということがございます。一番失敗してはいけないタイミングで失敗したりする。たまたまそういうことばかりよく覚えているのか、それとも「よりによって」という失敗は他の失敗より多いのかしりませんが、とにかく「よりによって」ということが世の中は起きるんです。

 例えば、私の知人も「よりによって」をやらかしたひとりです。ここでは吉木君としておきますけれども、彼とは小学校から高校まで

もっとみる
食べ物の未来はちゃんと軟らかくなるのか

食べ物の未来はちゃんと軟らかくなるのか

 何かの番組で「最近の若者は硬いものを食べていないから顎がとがっている」というようなことを言っていました。私は驚いたんです。「まだ食べ物が軟らかくなっているのか」と。

 と申しますのも、私も子供の頃に同じことを両親から言われていたんです。硬いものを噛まないから、顎がとがっていると。このままでは親知らずの生えるスペースがなくなって、そのうち抜かなければならなくなると。

 親知らずを抜くのはものす

もっとみる
すげえぜ鴎外パス

すげえぜ鴎外パス

 過去の偉人を冠した記念館が全国に存在しているんです。とりあえず、「記念館」で検索したところ、人名を冠した記念館で最も上に出てきたのは岡本太郎記念館でした。

 このように、記念館の頭にくっつく人名は芸術関係で名を馳せた方が多いようです。具体的には美術とか、あとは文学ですね。

 人名を冠した記念館には、当然ながらその人物にゆかりのある資料が揃っています。簡単なプロフィールから功績の解説はもちろん

もっとみる
アシダカ砲、発射

アシダカ砲、発射

 実家には昔からアシダカグモと呼ばれる大きなクモが生息しています。不意に近くで動かれるとさすがにビビりますが、壁にへばりついているのを見るくらいでは何も思いません。それくらい身近な生き物です。

 家族の間で「クモは益虫」との考え方が根付いていましたから、追い払うようなことはしませんでしたし、殺傷するなんてもってのほかでした。たとえ近くにいても向こうから逃げていきますので、見かけても放置していまし

もっとみる
送迎バスに翻弄される

送迎バスに翻弄される

 街中を走る自動車に、意外と送迎バスが多いんです。学生を送り迎えする学校のバス、近くの自動車教習所が運営しているマイクロバス、商業施設と駅を繋ぐシャトルバスなどが普通に走っている。

 ある時、私がジョギングをしていますと、一台のバスが追い抜いていきました。ボディにはスクールゾーンの標識が描かれていたため、学校の送迎バスだと分かりました。中には子供が何人も乗っており、恐らく生徒を送り迎えしている最

もっとみる
無限の猿と乗り過ごし苦労

無限の猿と乗り過ごし苦労

 「無限の猿定理」というものがあるわけです。まず、おサルさんにキーボードをカタカタ打ってもらう。おサルさんは適当に打つでしょうから、大体は文字が滅茶苦茶に並んだ、とても文章とは言えないものができあがる。でも、滅茶苦茶に打ったとしても、ものすごく低い可能性ではあるが、ちゃんとした文章が出来上がる可能性はある。それこそたまたまシェイクスピアの作品を打つ場合だってありえる。だから、非常に膨大な時間をかけ

もっとみる
音声排便操作法の開発を猛者に託す

音声排便操作法の開発を猛者に託す

 水の音を聞くと尿意をもよおす場合があるそうなんです。

 私は水の音でおしっこがしたくなった経験はございませんけれども、精神状態が尿意に強い影響を与えていることは実感しています。おしっこを我慢しつつも、余裕で我慢できる状態で帰宅できたのですが、トイレに入った途端、尿意がグッと高まりまして、慌ててズボンを脱いだことがございます。もうすぐできると安心したことが、尿意を急激に高めたのだと思っています。

もっとみる
最速挫折じゃ慰めにならない

最速挫折じゃ慰めにならない

 挑戦する人がいれば、諦める人だって当然いるわけです。もちろん、諦めた人の全てが挫折なんて深刻な状況ではないでしょう。他にもっといい道があったからそちらへ進んだみたいな、ポジティブな諦めを抱く人だっているに違いない。ただ、一度挑戦した物事を取りやめたのは事実です。

 わざわざ「挑戦」と銘打って何かをするんですから、その「何か」は困難な目標であることが多い。それでも敢えて挑む。大変な決心です。だか

もっとみる