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島根県民なのにガイナーレ鳥取を愛好する偏屈なおっさんの話

この記事は島根の鳥取サポ、悟りきったような独特の味わいのあるサッカー観を持つKAZZさん(Twitter)に寄稿して頂きました。OWL's Forestのメンバーによる寄稿ということで無料公開させて頂いております。


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SC鳥取から始まって18年以上を捧げた島根県民の話

「OWL magazineでShort Letterを書いてみませんか?」

ある日突然、そんな誘いを代表の中村慎太郎さん( @_Shintaro_ )から受けた。こんな話はなかなかないので、受けたいと思った。

さて、何を書こうかと思案する。自分は島根県民であるにもかかわらず、ガイナーレ鳥取を、前身のSC鳥取時代からサポートする立場であることを、個人のnoteにさんざん書いてきたことを思い出した。

しかし正直なところ、50歳を過ぎた偏屈なおっさんが、鳥取県という田舎のサッカーチームに魅了されて偏愛していく様子なんか見たくないだろう。書いている自分ですらわざわざ読みたくないと思う。

とはいえ、書くことが実際に乏しいのだから、このチームについて書いていくしかない。なので、繰り返しにはなるが、この場を借りて書かせてもらいたい。

何度も話しているが、ガイナーレ鳥取が、まだ前身チームのSC鳥取だった頃の、時期は定かでないにしろ2001年に、テレビのローカルニュースでたまたま見たことがきっかけだった。

JFLというカテゴリは知っていたものの、そんなチームが鳥取県にあるのすらこの時初めて知った。

試合を観に行ったのは、その翌年のことだった。だから、自分はSC鳥取がJFLのテールエンドにいてメチャクチャ弱かった頃を知らない。その頃を知っている人たちが羨ましく思えてくる。

まあ、それはともかく、だ。2002年8月、鳥取県米子市の東山公園陸上競技場に初めてSC鳥取の試合を観に行った。この会場は、自分が昔一年足らず住んでいた場所に近い、ということを後日知った。

この時、米子市では夏の恒例である「がいな祭」が行われていた。で、その様子もちょこっと観に行ったが、メインイベントは祭ではなくこちらの試合。

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SC鳥取vsFC京都BAMB1993。

FC京都BAMB1993というのは、今で言えばおこしやす京都ACの源流に当たるチームである。

今思うと、そこまで驚くほど強い、という印象は薄かったような気がしたが、試合はSC鳥取が僅差(ウノゼロ)で惜敗した。

普通なら「何だ、弱えじゃん」で終わるはずだった。自分も最初はそのつもりだったはずだ。だが、この後、もう2試合を見た。特にその年の最終節である、昨今何かと話題の、あのユナイテッドしてしまったチームの前身でもある横河電機戦も観ている。

結果としてその試合には敗れたが、他力の影響もあり、JFLからの降格という事態は免れた。自分はここで何人かのサポーターと知己を得た。それは、その後しばらく、このチームの応援活動に加わる端緒となった。

これ以降18年以上、そして今でさえも、自分はこのチームのケツっぺたにくっついている有様だ。

SC鳥取は、ガイナーレ鳥取と改称改組し、やがて紆余曲折を経て2010年にJFL4位以内という成績条件を達成し、Jリーグ参入を決定づける。

更にその後に同年シーズンの優勝を果たしたことで、弾みがついた。そして、2011年からは晴れてJリーグチームになり、J2リーグへと籍を置いた。
その後、2013年に不成績が祟り、カマタマーレ讃岐との入れ替え戦に敗れたことにより、ご存知の通り、2014年シーズン以降、2021年現在はJ3リーグに籍を置いている。

そんな中で自分は、昔は応援活動に勤しんだ。今は、大病の影響もあり、楽しみに行く、というスタンスで試合に行っている。

一言でガイナーレ鳥取の魅力を伝えろ、というのは、いつも困る。

自分の語彙力があまりにも乏しいため、その魅力を端的に説明する言葉を持たない、ということもあるが、自分如きがくどくど説明するよりも、実際に試合を観てもらって判断してくれた方が良い。

自分は、Jリーグ入りを表明してからは元Jの選手を多数入れるなどプロとしての精神性が背景にあるガイナーレ鳥取と、選手集めは元Jはきわめて少なくアマチュアとしての精神性が背景にあるSC鳥取とは、全く別のチームだと思っている。

今、後者の精神性を持っているのは、ファミリーチームであるSC鳥取ドリームスだと思う。

どちらが良いとか悪いとか、そういう話ではない。自分はどちらも好きだし、楽しめる。だから自分はガイナーレ鳥取の試合にも、SC鳥取ドリームスの試合にも、顔を出している。

ドリームスの試合では特に感じることだが、やっている選手たちが、とにかく楽しんでいる。それはアマチュアだからだろう、と言われたら身も蓋もないけれど、そうした理由を抜きにしても、観ていて楽しそう、というのは感じる。

ガイナーレ鳥取だと、結果を求められる側面がどうしてもあるので、楽しそうというのはなかなか表出しにくい面があるが、折に触れて表に出て来ることはある。勝った試合では特に。

2002年からの足かけ18シーズン、彼らの試合を自分でも覚えてないほど見てきた。意に沿わない結果が出ることが多かったが、自分はそれでも彼らの試合に行った。そうしたかったからだ。

勝てば楽しいのはもちろんだ。一方、負けても楽しむことは、たぶん難しいだろう。敗北では、とかく負の感情が喚起されやすいものだ。自分だって負けたら悔しいし、腹も立つ。

自分は島根県中部に暮らしていて、昔は鳥取まで自分で運転して行っていたが、その長い道程を勝利後はまだしも、敗戦後に自力で運転して帰るのは、なかなかしんどい。苦行と言っても良いだろう。

今は自動車専用道路がそれなりに長い区間あるから良いが、自分で運転していた2012年頃は、まだ自動車専用道路がない部分も多かった。今は自分で運転せずに列車を利用するが、列車で行くにしても、鳥取は遠い。

ともかくだ。自分がそんな辛い思いをしても鳥取に行ってガイナーレ鳥取の試合を観たがるのは、つまるところ、あのチームに恋い焦がれているからだ、としか申し上げられない。

その根源は何処にあるのか?

明確には言えないが、ともかく、カネと手間を惜しむことなく、つきあいたくなる友達というのが、人生には一人ぐらいはいるような気がする。

その一人というのが、自分の場合はSC鳥取~ガイナーレ鳥取だったという、それだけのことだ。そりゃ、米子在住歴とかあるけど、それはそれ。そんなことは動機にすらなっていない。

今季も自分は彼らとつきあい続けるだろう。良い思いをするかもしれないし、残念な思いをするかもしれない。が、どちらにしろ、彼らとのつきあいは当分止めないことだけは間違いない。何故なら、ガイナーレ鳥取というチームに惚れているからだ、としか言えない。

長々とあれこれ書いたが、自分にとって、ガイナーレ鳥取とは、人生の大切な一ページなのだ。

そして、このチームを好きでいることは、自分の中にある抑え難い何かを再確認することだとも思う。


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