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【CTO&VPoEに聞く】スループットを最大化させる開発組織とは ~開発組織に副業は必要か!?~ vol.3

先日の「スループットを最大化させる開発組織とは(vol.1)」「スループットを最大化させる開発組織とは(vol.2)」に続き、最終章第3弾です。

前回までのnoteでは、弊社の開発組織のあり方と、入社までの選考フロー、実際にオファーしてから入社後の流れについての具体的な業務についてお伝えしました。

本回では、”副業人材の活かし方"に焦点を当てて、副業人材のパフォーマンスを引き上げるために必要なことや、副業転職へのアプローチ方法まで、メンバーのうち副業が7割の組織overflowのCTO/VPoEがお伝えします。

📌本記事のハイライト

  1. 副業メンバーを活かすには情報共有を徹底し、誰もが自走できる環境作りが重要

  2. 正社員と副業の時間軸は違うため、スプリントは別で行う

  3. 副業ばかりを増やせばいいものではない。正社員1名につき、5名を目安に

  4. 副業転職のアプローチは、3ヶ月以内で見極める


以下のような方におすすめです。

  • スタートアップ経営者、採用を担当されている方

  • エンジニア採用を頑張っているが、なかなか採用できないと悩んでいる方

  • 副業人材の受け入れを検討されている方

情報共有が、自主性を育てる

大谷 ここまで読んでいただきありがとうございます。最後に、”副業メンバーの活かし方"や「副業転職」についてお伝えしていきます。

弊社では雇用形態に関係なく誰もが自走できる状態を目指しており、そのためには情報共有が欠かせません。一機能であっても、この機能が必要な背景や実現したことなどを伝えることが重要です。そのため、情報共有を全従業員が徹底するためのフローを構築しています。

例えば、弊社ではJira(アジャイルチームの開発に用いられるタスク管理ツール)と一部notionを使ってタスク管理を行っています。チケット(課題、タスク)の中にミニスペックという要求要件、背景、仕様などが描かれたものが埋め込まれており、タスクを細分化して管理しています。その一つ一つのタスクの中に、なぜそうなのか、どのようなデータから導いたのかをPdMを中心にnotionで管理しています。作業内容はJiraで、アイディアはnotionで管理するという形です。

Jira、notionではそれぞれ規定のフォーマットがあります。例えばタスク管理の中のミニスペックは、

1.  背景のWHY
2.  なぜやるのかのWHAT
3.  それに基づくデータやKPIが書かれているデータソース
4.  非機能要件や機能要件

の4つで構成されています。このように、誰が見ても情報がわかるフローを日常業務のなかで決めておくことが重要です。

またよく副業の方に、whatだけ切り出してお渡ししてしまうケースがありますが、副業の方に情報量が少ない中で、タスクだけ渡していても自律的に動いていただけません。
“whatを完了するのが業務委託のプロ”という解釈もありますが、一つのチームとして開発するのであれば、whyや背景の共有も非常に重要です。

一番最初のPull Requestで早く成果を出していただいて、私たちの開発フローを理解して、最終的には自律的に他のメンバーともコミュニケーションを取ってもらいたい。プロダクトやドメインを理解してもらいたい。そのために、色々な資料で丁寧に説明しています。

副業と正社員の開発サイクルは異なる

大谷 前回でも少しお伝えしましたが、正社員と副業の方は別の時間軸で回っています。正社員の方は基本的にスプリントでのサイクルで、私たちは2週間の開発サイクルを取っています。スプリントは同期的に集まるタイミングが必ず必要です。最初のミーティングで何をやるのか決めたり、スプリントが終わった後に振り返りをしたりします。

副業の方はタイムラインが異なり非同期的なやり取りが中心になるため、そこに参画いただくことは難しいです。そのため、別途メンターとの1on1や定例を基準に、1週間単位や2週間単位の別の時間軸で捉えています。

佐藤 そのため、全メンバーには先ほどお伝えしたチケットのフォーマットを用意し、非同期的にやり取りができるレベルの粒度でチケットをお願いしています。また、慣れてくると比較的大きなタスクでもふわっと投げられることもあります。最初の3ヶ月は特に手厚く、二人三脚で行っています。

副業メンバーが増えると管理工数が増えるのか

大谷 よく副業の方にマネジメント工数をかけられないという話を伺います。ですが、私はマネジメントの観点から見ると、管理コストは変わっていないと考えています。

私たちはチームのマネジメント手法としてタスク管理ベースで進めています。そのため、正社員の方と副業の方、タイムラインのズレはあっても方法は同じなので、管理コストは増えていません。一方で、データガバナンスにおいては、考えなければならないことは増え、フェーズによっては情報管理の整理が必要になります。しかし、一度決めて運用してしまえば管理コストの負荷はほとんどかかりません。

佐藤 ただ管理といってもパフォーマンス管理とピープルマネジメントがあります。ピープルマネジメントは、モチベーションとコミュニケーションに分類されます。

先ほどの話はパフォーマンス管理の文脈でしたが、コミュニケーションコストの面では一定発生します。一方モチベーション管理は、業務委託の方にはしないと決めているため、管理コストで増えるのはコミュニケーションの部分の一点です。

副業ばかりを増やしすぎてもいいのか

大谷 副業メンバーばかりを増やしてもいいのか?というご相談もよく受けますが、そんなことはありません。弊社ではメンター制度を設けていますが、1人の正社員に対して最大5人までと決めています。これは、ピザ2枚ルールスパン・オブ・コントロール(1人の管理職が同時に管理できる部下の人数)といった考え方を元にしています。

佐藤 overflowの場合は副業の方とも1on1を設定しているので、人数が増えすぎた場合は週の時間が圧迫される可能性もあります。ただメンターといっても、監視する訳ではありません。あくまでもプロジェクトマネジメントを行うのみです。

副業と正社員ではコミュニケーションがずれるのは当たり前

佐藤 
副業とのコミュニケーションが遅いとの話も聞きますが、遅いというよりは単純にずれる認識です。本業がある分コミュニケーションの時間帯がズレるため、お互いが非同期に連絡を取り合ってコミュニケーションを取るという了解を取っておくことが大切だと思います。

私は、Slackのメッセージでいうと、24時間以内に返信があると嬉しいくらいの感覚です。GitHubのプルリクエストやイシューのレビューなどカロリーの高いレスに関しては、1週間以内にあればと考えています。

副業に責任感を持ってもらうために

大谷 責任感の定義によりますが、一定の期待値や自律的に動いて欲しいといったことを責任感だとするのならば、オンボーディングの段階での期待値調整や、お互いがやりたいことのズレがないようにすることが大切です。副業の方がやりたいことや成長したい方向性と、私たちが行っていることが合うような仕事の依頼をすることです。

また、自立的に動いてもらうための前提として情報開示も重要です。自分が行ったタスクやプルリクエストが適切にプロダクトの価値につながって、リリースサイクル上の貢献が見えること。つまり、単にタスクを渡すのではなく、何のどんな課題を解決したいのかから共有できている必要があります。管理して責任感を持ってもらう訳ではなく、自律的に何かをしたい欲求が湧くような環境や機会を用意すると自ずとその方のモチベーションや責任感、スループットが上がるという考え方です。

私はもともとフリーランスだったので、副業の方がフリーランスとして参画した場合、プロとして責任感は当然持つべきだとは思っていますが、お願いしたこと以上の成果を発揮してもらうためには、雰囲気作りも重要です。

「副業転職」までの王道な流れ

佐藤 弊社の場合、最初から転職してもらうことを想定してお声かけをすることが多いです。期間の目安としては、3ヶ月以内に転職してもらうかどうか見極めています。

具体的には、まずカジュアル面談など何かしらの方法でコンタクトを行います。話をしてみると、「すぐの転職は考えていないけど副業なら」というケースが多いです。正社員としてジョインして欲しい場合、まずは3ヶ月ほど副業をしてみませんかと提案します。

その3ヶ月の中でパフォーマンスを発揮いただき、overflowのことも知ってもらえるように一人ひとりに合わせて話す内容やお渡しする業務にアレンジを加えていきます。
最終的には①副業で継続、②本業に戻る、③正社員として転職してもらう、の中から選択してもらうといった形です。

実際は個別のケースによるので、エンジニアマネージャーでの会議で、候補者の方にどのようなストーリーで副業で入ってもらうか、どんなポジションをお願いするか、などを話し合い個別でアレンジしています。

副業転職の相談を受ける中で大切だと感じていることは、正社員のことも考えて欲しいといった下心を率直に伝えることです。やはり相手に気付いてもらわないと正社員のことを意識してもらえません。

実際に副業転職した事例

大谷 

これまで弊社では、25名の方に副業転職で入社いただきました。
中でもミドルレベル以上の方でイシュー型でタスクをお願いし、その後副業転職が決まったケースがあります。課題を共有した後プロダクトロードマップを共有して、色々な作業をお願いしていきました。その結果、私たちの行っていることに共感していただき、かつ自分がやりたいこととも一致したので、副業転職が決まりました。

最初は小さいタスクからお願いしていましたが、進める中でイシューを提示していくことでそれがやりがいに繋がっていった形でした。一つ一つのタスクは小さいのですが、その背景にあるプロダクトを通して解決したい課題に共感し、それを本腰を入れて解決したいと思っていただけました。

コミット量で見ても最初は、週2、3でしたがそれでは時間が足りず、結局週4、5に増え、そうするとほぼ正社員と変わらない稼働量になるので、そのタイミングで正社員化の相談をしていきます。具体的な報酬とSO(ストックオプション)を提示し、かつ入っていただくリスクとメリットをお伝えすることで、正社員としてジョインしていただきました。

なので、どのような方でも課題共有をしっかりすることが大切ですね。イシューとして、まずは単発でも良いのでお願いし続けること。お互いに歩み寄っていくことが真っ先に行うストーリー設計だと思います。

以上が、副業人材のパフォーマンスを引き上げるために必要なことや、副業転職へのアプローチ方法についてのお話でした✨ いかがでしたでしょうか。少しでも、副業人材の採用を検討されている方のヒントになれば幸いです!


弊社ではこのように、雇用形態に関係なく人材を受け入れ、事業を創る「フレキシブル経営」を実践しています。もっと詳細を知りたい!どう取り入れていいかわからない!などのお悩み相談も積極的に行っておりますので、お気軽にご連絡ください✨


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