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気密測定って本当に必要だと思いますか!?

昨日、栃木県ファースの家の会の総会が行われました。

久しぶりに顔を合わせての会合、皆さんの元気な顔を見ることができて本当に良かった。

残念ながら、私は別の勉強会があった為、懇親会の参加はできませんでしたが、オースタム会長は久々に大いに楽しんだのか、本日は半休です。


さて、今回の会合では、ファース工法の開発元である福地建装の社長直々にご参加の上、講演して頂きました。

講演の中で、特に気になった内容は、

「最近、業界がUa値に偏っていないか?」という事。

確かに近年、家を建てるご家族がしっかり予習をしているのだけれど、「Ua値」という「断熱性能」にフォーカスしすぎることにより、住宅建築業界全体がこの部分に偏って発信している状況です。

もちろん、断熱性能を高めることは超重要。

安心・安全な住まいにするための基本の「キ」です。

とは言え、断熱だけで住宅性能が完結する訳ではありません。

ついつい、HEAT20 G2という言葉が一人歩きしていますが、HEAT20基準で設計するためには断熱基準をクリアすればいいという訳ではありません。


断熱外皮性能と開口部だけで完結せず、HEAT20設計ガイドブックには気密、防露、光環境など最適設計しようぜって話をしています。


実際には空気循環、耐震、防湿、その他、設計・施工を含め家づくりには重要な要素があります。

すべてを建てる方が知るのはムズカシイかもしれませんが、それぞれが繋がっているのだけは知っておいて損はないと思います。


ちなみにその中でも特に蔑ろにされつつあるのが「気密」。

先の福地社長の話の中では、大手ハウスメーカーのホームページから気密性の文字がどんどん消えてなくなっているという。

昔は日本にも、C値(気密)の基準あったんですよ。

でも、2006年の改定で基準が廃止されました。

その理由は、当時、「既に多くの住宅で基準値に達していたことで、目的を達した」という事らしいです。

ホント???


C値と言うのは、設計図面では出せません。

現場を見ただけでも、数値はわかりません。

あくまでも、気密測定試験によって、現地で一棟一棟個別で測らないと、数値は確認できません。

施工棟数が多い建築会社からすると、コストがかかる上に、設計や職人の腕の差によって、数値がばらつく可能性があるので、やらなくていいなら、やりたくないものです。


しかし、気密って大事。

この言葉を言うと、「多少の隙間があっても、暖房ガンガンにかければ別にいいじゃん。」

という方、まだいるんです。

もちろん、気密確保の目的って、

①暖冷房の負荷低減と室内環境の向上 です。

でも、これだけじゃあないんです。


②断熱材の性能低下の防止

壁の中に隙間風が入る状態だと、空気が移動します。

よくダウンベストに例えられますが、空気は静止してこそ保温してくれます。

抱え込んだ空気が動く状態だと、断熱材は著しく性能が低下します。

だから、気密を良くして、空気の動きを止めたいんです。


③壁体内結露の防止

夏、冷房で冷やした家の中の空気と、湿度の高い外の暑い空気がぶつかると結露が起こります。

気密性能が低いと、これが壁の中、断熱材の辺りで起こります。

前回のブログでも書いた気がしますが、水は熱を通しやすい物質なので、断熱材が濡れると断熱性能が著しく低下します。

更に、壁の中の結露が続くと、カビや腐朽菌の発生によって、ご家族の健康だけでなく、家の柱などの構造体に影響が出ます。

耐震等級3取っていても、壁体内結露が起こってしまうくらいの気密性では、長期的は安心は得られませんよね。


③計画換気の保持

「スキマだらけだったら換気しなくてオッケーじゃね?」と思われる方。

確かに。

ただ、その換気、計画的には行えません。

風が強い日には、勝手に換気量が増えたり、常に空気が入れ替わる場所があると思ったら、別の場所は全く空気が入れ替わらないのでジメジメ。

家にも人にもストレスです。

気密性能がしっかりとれている場合、機械換気が非常に効率よく動いてくれます。

「2時間に1回、家の中の空気が入れ替わる。」

これが品確法によるシックハウス対策の24時間換気の基準。

入れ替わってるのが、24時間換気扇の周りだけでは、何の意味もありません。

家の中の空気「全体」が入れ替わるように、空気の経路を計画する必要があります。

それを、風が吹いたら勝手にあっちで換気、こっちで換気って、昭和過ぎますよね。


では、気密性能=C値ってどのくらいがいいの?って話ですが、

2006年までの基準だと、2.0㎠/㎡

これ、いまだったら適当に作っても、多分出る数値。


で、ちゃんと性能が出る基準で行くと、

まずは、HEAT20推奨値。

これが、C値=0.7㎠/㎡

「少なくともこのくらいやっとけよ」っていう数値。

HEAT20設計ガイドブックには、

さらに0に近づけて割ることはありませんが、このレベルでの性能競争に意味はなく、0近くを達成するために少なくな労力やコストをかけているなら、その投資を他にふり分けた方がいいのではないかと・・・

なんて書いてあったりします。

ちなみに、換気機器メーカーさんと話したときは、

「0.5㎠/㎡ 出しておいてくれれば、いう事ありません。」

と言われました。


少なくとも、ちゃんと換気を機能させて、湿度管理しやすい状態までもっていくなら、0.5㎠/㎡を切っていれば十分だと、私も思います。

ただ、最初に書いたように、設計だけでなく、施工でも気密性能は変わってしまうため、測定試験を行ってはじめて、数値が確定します。

だから、「測定したことないけど、多分このくらい。」とか、ありえません。

暖かさや涼しさだけでなく、耐震や空気環境にまで、気密性能は影響するからこそ、自宅を建ててくれる建築業者には、ご契約前に気密測定の確約を取られるのがマストです。



安心してください。

もちろん、オースタムは全棟気密測定。

直近で建築した10棟で平均は、C値=0.15㎠/㎡ となっております。

最後に宣伝しちゃうのが、かっこ悪いな・・・



hiroyuki

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