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わたしのらしさのたなおろし

株式会社Solarusさんが主催する「ソララスバー」『ゲストをお呼びして創り手トーク』にお呼ばれしてきました。

「ソララスバー」は、小さなデザイン事務所 ”Solarus”のおふたりが、毎月第二・第四月曜日の夜に、山口県宇部市にある配信ができるライブハウス、LIVE & BAR Room61からお送りするYouTube Liveコンテンツです。

第四月曜はゲスト会ということで、私がクリエイティブな仕事に携わるようになったきっかけや、創り手マインドを醸成してきたものについてお話ししてきました。

今回はその補足的なテキストを書いていきます。よろしければ本編のアーカイブとセットでご高覧ください。

そもそも自分はクリエイターなのか?問題

最初にお話しをいただいたとき、そもそも自分はクリエイターなのか?という疑問が浮かびました。会社はデジタルクリエイティブを軸として事業展開していますが、私自身はさして創作意欲が旺盛なタイプではありません。

そのくせクリエイターという生き方に対する憧れはずっとあって、東京のギャラリーをはしごしてアート作品を見まくったり、美術学校の願書を読みふけったりしていた時期もありました。

ただ、リサーチはすれど手は一切動いていませんでした。憧れはすれど何も創作していないということに気付き、自分の属性はクリエイターではないと考えるようになりました。

別の投稿でも書きましたが、クリエイターの資質とは?という問いを立ててみたときに、私は「作業量が多い人がいい作品をつくる」という考え方に共感しています。

世の中には、たとえ誰に望まれていなくても、対価を得られなくても、自発的に創作できるタイプの人がいます。私が考えるクリエイターはそういう人たちです。

現在はクリエイターの皆さんとチームを組んで、自分の手が動かなさを補完してもらいながら、仕事を進めるという働き方をしています。最終的に良い成果物ができれば、自分が創作したかどうかはどうでもよいと、今はそんな風に考えています。

ずっと同じことをやっているのでは?問題

自分の記憶に残っている初めての創作体験は、小学3年生のときに描いた漫画雑誌だという話をしました。このとき「自由帳を埋めたいから、短編ではなく雑誌にしたのではないか」「さっさと一冊仕上げたかったのでは」とコメントしました。

当時使っていた自由帳が何ページあったのか、もはや知る由もありませんが、例えば現行の『ジャポニカ学習帳』は30枚60ページです。自由帳の容量が60ページあるので、それを埋めるために複数のマンガを描く必要がある。そんな順序で考えていたのかもしれません。

これは、メディアがカセットテープになっても、CD-Rになっても同じで、46分あるからこれだけ録音する、80分録音できるからこれだけの曲を入れる…というように、クリエイティブよりもメディアの空白を埋めることのほうに意義を見出していたように思えてきました。

Webサイトを制作するときも、先にサイト構成やコンセプトなどの外枠を決めてから、それを埋めるコンテンツを用意していきます。どうやら最初にフォーマットが用意されていたほうが作りやすいタイプのようです。

そして「さっさと一冊仕上げたかった」のは、おそらく自分の創作意欲が長く続かないことを、本能的に知っていたからでしょう。自分が作業量が多い人ではないというのは、実は小学生のときに既に判明していたようです。

その人の「らしさ」というものは、小学生ぐらいで既に出来上がっていて、そこからあまり変わらないものなのかもしれません。

素敵な働き方ができない問題

これは本編では触れなかった話題ですが、自分の創り手マインドを刺激してくれた作品のひとつとして、noteの初回投稿でも紹介した「自分の仕事をつくる」という書籍を挙げました。

この本を読んで、登場するデザイナーやクリエイターの方々に触発されて、「自分もこんな素敵な働き方がしたい!」と強く考えるようになりました。

実際に創業当初は、アーティストトークイベントを主催したり、働く女性にインタビューする「美人哲学」という連載を担当したりと、実際にそのような働き方を実践していた時期もありました。

ただ、年月を重ねていくうちに、気が付けばいつのまにか「おもしろ」を最優先するようになっていて、目指していたはずの素敵な働き方が、全然実践できていないのです。こんなはずではなかったんだけどなあ。

今でも心のどこかに、素敵な働き方がしたいという願望があるのですが、どうやったら実現できるんでしょうか?

まだまだ会社は続いていく問題

アワセルブスという会社は来月から10期目に突入します。それなりに長く続けてきたこともあって、近年は総括的なお話をさせていただく機会も増えてきました。

ただ、これからも私たちの人生は続いていくわけで、その糧としての会社をまだまだ成長させていきたいです。

組織で仕事をするメリットは、自分の苦手を補ってくれる人が側にいることだと思います。私のように、自分がやりたいことと資質とが一致していなかったとしても、チームだったらやりたいことを実現できる可能性がぐっと高まります。

それが、会社という形態で仕事をしている最大の魅力です。メンバーそれぞれの「らしさ」の集合体が組織の個性となり、私たちの魅力になっていくと良いなと思っています。

10年目もよろしくお願い致します。

では。


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