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ダメ人間が戦わずに勝つ方法

みなさんは「自分には得意なことが何もない」「自分は何のスキルもない」と悩んだ経験はないでしょうか?

私は子どもの頃から努力が苦手なダメ人間で、上昇志向や野心などはまるで持ち合わせておらず、とにかく競争を避けてこれまで生きてきました。

そんな私が考える、戦わずに勝つためのスキルの探しかたについて、過去をふりかえりながら整理してみます。

年功序列から成果主義へ

バブル崩壊以降の1993年から2005年頃を指して「就職氷河期」と呼ばれています。私が大学を卒業したのは1998年、ちょうど「氷河期」ど真ん中に社会人生活をスタートしたことになります。

当時は「働き方改革」のような概念はなく、早朝出勤・深夜残業は当たり前。さらに、長らく日本社会の常識だった年功序列制から、業務遂行能力や会社への貢献度が人事評価の基準となる成果主義へ移行していく真っ只中。社会人1年目の私も、当然のことながら成果主義の洗礼を受けました。

上昇志向がない私は、仕事ができないダメ社員でした。そもそも会社の仕組みや数字の意味などをまったく理解しておらず、理解できないから興味が沸かない、興味が沸かないから仕事が覚えられない…という悪循環。上司や先輩には毎日のように叱られ、文字通り「使えないやつ」として、肩身の狭い思いをして過ごしていました。

オフコンからパソコンへ

しかし、2年目ぐらいから職場のIT環境が刷新されはじめ、そこで潮目が変わってきます。

当時の中小企業は、オフィスコンピューター(オフコン)と呼ばれる、オーダーメイドで開発された専用機で事務処理を行っていました。それが、汎用性が高くて安価なパーソナルコンピューター(パソコン)が普及したことにより、職場の基幹システムもパソコンで操作できるものに切り替わっていきました。

たまたま大学時代にパソコンに少し触れていた私は、他の社員よりもパソコン操作に慣れていたため、そのときを境に「使えないやつ」から「パソコンが使える人」にランクアップすることができました。環境の変化が、私のポジションを作ってくれたのです。環境が変わると求められるスキルも変わる、ということを体験した出来事でした。

「ダメ社員」から「デジタル技術の専門家」へ

その体験を経て「先人にないスキルを磨けば、誰にも叱られずに済むのでは?」と考えるようになりました。先人と同じ武器で戦っているうちは、経験者に追い付くのに努力が必要。しかし、新しい武器であれば、先輩も新入社員もスタート地点は同じになる。さらに、そもそも戦う土俵を変えてしまえば、競争相手すらいなくなるのでは?という風に考えたのです。

そこで、「よし、パソコンのスキルを磨こう」と思い立った私は、丸3年間勤めた会社を退職。貯金を切り崩しながらパソコンスクールに通いました。そのときは「システムエンジニア」「プログラマー」といった職業すら知らなかったので、今思えばとても漠とした何かを、手探りで探していたようです。

半年の勉強期間を終えて、「とにかくパソコンのスキルが活かせる仕事を」と転職活動をしていくなかで、中学校のIT非常勤講師、パソコン塾のアシスタント、商社の営業サポートなどを経て、20代終盤からシステムエンジニアに転身。それが今の働き方に繋がり、近年は「デジタル技術の専門家」として、指名でお仕事がいただけるぐらいまでになりました。

最初はとにかく、叱られずに仕事ができるようになりたいという、とても短絡的な理由でパソコンの勉強をはじめたのですが、結果的には、個人レベルの「ブルー・オーシャン戦略」を取っていたと言えるかもしれません。

スキルとは息をするようにできること

戦わずに勝つためのスキルのたねは、その人が「息をするようにできること」のなかにあると思っています。もちろん、一から努力して築き上げていく方法もありますが、せっかくなら手持ちのスキルを伸ばしたほうが、無理なく取り組めるし長く続けられるはず。

私がこれまでこの仕事を続けてこれた理由はシンプルで、飽きずにずっとパソコンを触っていられたから。不得意なことや苦手なことがたくさんあるなかで、これは無理なく続けていられるし、まだまだ興味が尽きることもなさそうです。

ところが、世の中にはパソコンが苦痛で、できれば触らずに避けて通りたいという人も少なからず存在していて、そこを補完する役割が生まれるおかげで、私は仕事を続けることができています。別に唯一無二のスキルでなくてもよくて、誰かの支えになるスキルであればよいのです。

もし自分自身でスキルを見つけることができなかったとしても、私のようにまわりの人からのフィードバックが教えてくれるかもしれません。ぜひ、周囲の声にも耳を傾けてみてください。

では。




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