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自分の中に眠る衝動とは何か?『人生のレールを外れる衝動のみつけ方』

哲学者 谷川嘉浩さんの
『人生のレールを外れる衝動のみつけかた』

という本を読んでみたので感じたことを
記したいと思います。

意識高い系の自己啓発本みたいな題名ですが、
「衝動」という聞きなれないワーディングに心惹かれました。

私自身、衝動的に突き動かされて色んなことに手を出し続けており、1ヶ月、長くても3ヶ月くらいで色んなことに興味が移り変わる人間です。

しかし、私は会社や部活を辞めるといった
所謂「レールを外れる」といった経験は乏しいです。

この自分の中にある2つの認識がリンクするのは
どういうことなのかを知りたいと思い、本を読み進めました。

結論、自分が思っていたものとは違う「衝動」の認識が出来上がり、
キャリアの考え方にも影響を及ぼす本でした。

衝動とは何なのか

この本で「衝動」とはこう書かれていました。

衝動は嵐が全てを巻き上げ吹き飛ばしていくように、
世の中の理屈も、自分自身の予想も薙ぎ倒して、私たちをどこかに連れて行くものです。
衝動とともにある生き方は、自分でも驚くような方向へ運ばれることなのです。

人から見たら
「え?なんでそんなことを、その熱量で?」
と思われることが本書でいう衝動です。

私はこれを「他人に説明できない、何の見返りもないのになぜか自然に行動してしまうこと。」と捉えています。

他人に説明できない私の衝動

衝動を上記の通り整理した時に
自分の中にそれがあるかを考えてみました。

興味に駆られて行動が短期間で変わる際には
「これがおもしろい」
「これが将来に役に立ちそう」
という他人に説明できる言葉で片づけられることが多いです。

そんな中で他人から聞かれても
全然言語化して伝えられないことの
心当たりがありました。

それは「組織から零れ落ちそうな人に
手を差し伸べ続けること」です。

これは学生時代でも社会人になってからも
一貫してやってしまうことでした。
学校や会社に行かなく(行けなく)なくなった人と何度も対話の機会を設けていました。

時には友人が住んでいる駅にまで毎日通ったり、
追い返される時もあるのに毎日友人の家に行ったりしていました。

そして、これはいつも
誰に言われたから始めたことでもない、
何の見返りもない
誰に話しても言語化しきれない
自分でもわからない想いからの行動です。

説明できなくてもやってしまう行動こそ、
「衝動」に駆られている状態なのではないかと思っています。

偏愛こそ衝動を理解するヒントとなる

次に気になったポイントは
衝動の見つけ方について触れられた箇所でした。

本書について衝動は「偏愛」の一般化されたものであると記されています。

ここでいう「偏愛」とは以下のものでした。

二人が価値を置こうとしているのは、
他人に差し替えられないほどの「個人的」であり、
文脈や対象を変えると成立しないくらい、「細分化された」欲望です。
そういう個人的で細かい欲望だからこそ、「偏愛」と呼ばれているわけです。

この偏愛は「好き」を個人化して細分化した時に見えてくるものとも紹介されていました。

偏愛を探してみた

私はサッカーが好きです。
この言葉は個人化も細分化もされていませんので、誰でも言える言葉です。

サッカーで好きなのは、点と点が合ったアシストの瞬間です。
少しだけ細分化された気がします。

点と点が合ったアシストの瞬間に
他者への貢献を感じることができるので、
サッカーが好きです。

背景は端折りますが、細分化された上で個人的な感情も少し混じった気がします。

例えがしっくりこなかったのですが、
偏愛を深め、そこから一般化できそうな言葉に捉え直して行くことが自分で気づいていない「衝動」を見つけるヒントとなりえそうです。

衝動とキャリアデザイン

最後にこの本で印象に残ったのが、
キャリアデザインとの関係性です。

この衝動を元に考えると現在流行っている
キャリアデザインという概念とは対極な場所にあると書かれています。

逆算思考を用いるキャリアデザインには、
計画や事前のルート設定をベースにした「設計的」なところがあるのに対して、
衝動と付き合う生き方には、これまでの計画を捨てて、
平気で別のルートへと踏み出してしまう「反設計的」なところがあります。

たしかに目標からのバックキャストで明日の行動が決まって行くキャリアデザインという考え方と衝動により明日からの行動がガラリと変わってしまうキャリアの考え方は全く別物です。

私はこれでいうと「衝動キャリア」の
考え方がしっくりくるタイプです。

刻一刻と変化する自分自身が
5年後まで今の興味を継続できるようなケースを
自分の中で考えられません。

現に5年前の私と今の私の興味はガラリと変わり、目指したい方向も違っています。
正直、3ヶ月前とも違います。
(といっても、他の本やコーチングを通じて自分の衝動に気づけてきた気もしており、目指したい方向は少しずつ鋭利になってきた感じもあります。)

キャリアデザイン的思考で目指すべきものがあって、
そこに向かって進んでいる人は眩しいです。
そんな他者を羨ましく思う自分もいます。

でも、自分の規定したレールの外にある興味(衝動)をそのままにできるほど心が成熟していません。
(かといって転職とかもしてないけど)

そんな不安定で衝動不審な
自分を肯定してくれているような
本書からの言葉でした。

終わりに

「衝動」という聞きなれない、
定義されにくい概念を輪郭から固めていき、
深掘っていく読書体験は非常に面白かったです。

自分の衝動をまた見つけるためにも
日々の感情の機微にも注目して過ごそうと思います。

P.S.

この本は読んでも全然理解が進まず、
何度も書くのをやめようと思いましたが、
小さな「衝動」に駆られて書いているこの文章を
どんな不恰好な文章でも書き上げたい思いが勝ちました。笑

駄文を読んでいただきありがとうございました。



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