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DX(デジタルトランスフォーメーション)する診療所

 おうちの診療所では、院内外のコミュニケーションを多く取ることを目指しています。院外事業者さんとの連携は、診療の質や患者・家族の納得形成に大きく影響すると考えています。しかし、患者数が増えるにつれ、細かな連絡の時間を取りにくくなり、コミュニケーションが減ってしまう状況に陥ることを危惧していました。


 そこでおうちの診療所では、ICTツールを積極的に導入。効率化して時間をつくり、電話やFAX以外の手段を増やすことで、患者数が増えてもコミュニケーションを取り続けられる体制をつくっています。

おうちの診療所が導入しているICTツールの一例

テキストで迅速に対応

 例えば、特にやりとりの多い事業所とは、チャットツールの「Slack」を使い、情報連携をしています。

 多くの事業所と同じように、当院にも1日に何十件もの電話がかかってきます。その半数は、医師や看護師でなければ正確に返答できません。できる限り診療所に看護師が待機し、すぐお答えできるようにもしていますが、緊急出動などで医療職が出払っている場合には、対応が午前か午後の診療終了後(緊急の連絡は随時対応)になってしまうこともあります。そんなとき、Slackでの情報連携であれば、診療の合間に医療職が直接確認し、チャットでお答えすることも可能です。事務を介した伝言による連絡手段に比べると、直接やりとりできるので、伝え間違いのリスクも減らせます。

データベース化して情報共有

 また、新規患者のご相談でもICTを活用しています。電話を受けた人は、個人が特定されない範囲でSlackのフォームに電話内容を記録。すると、相談内容が「Notion」というデータベースツールに記録されるようになっています。電話の内容をフォーム形式で記録することによって、項目の聞き漏らしを減らし、電話を受けた人以外にも情報を共有して誰でも同様の対応ができるようにしておくことで、円滑に患者紹介をしていただけるよう努めています。

 Notionは、ゼロからデータベースの構築や整備が必要です。しかし、土台となるデータベースが完成すれば、いつでもフィルターなどの追加や削除が可能なため、状況に応じてカスタマイズできる利便性があります。当院では、職種ごとのタスク管理やマニュアルの整備にもNotionを活用しています。様々なデータをNotionに集約すべく、院内プロジェクトが進行中です。

エンジニアがいる診療所

 現在、新しいシステムの導入や管理の要となっているのは、2023年4月に入職したエンジニアの宮﨑です。当院は開院時と比べると、従業員が増加し業務も多岐に渡るようになったため、当初の方法では機能しない場面も増えてきました。業務改善を進めるためには、現状の業務整理が必要です。そこで白羽の矢が立てられたのが、石井医師がゲーム開発を行った際にプロジェクトマネジメントを行った宮﨑でした。業務内容をヒアリングし上手くいかないポイントを探り、どこをICT化すればスムーズに動くようになるのかを考えて、新しいシステムの提案やシステムの浸透のためのレクチャーを日々行っています。いまは業務整理が最優先ですが、将来的には新技術と医療を掛け合わせたサービスやプロダクトの開発を目指しており、外部からの情報収集にも励んでいます。


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