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Tattoo.

「側にいて。抱きしめて。離さないで。」
なんて素直に言葉にできるほど子どもになれない。

 日常の中に君がいて、心はとても落ち着いている。なのにありがとうの一つも言えないあたしはきっとずっとズルいままなんだろう。君を利用している事を自分で分かっている。多分君も分かっているんだろう、それでも側に居てくれる君は優しすぎる。いつか損をするだろう、その時あたしは側で支えになってあげられるのだろうか。それまで側に居られるだろうか。

 君はきっと蝶のようにどこかへ飛んでいってしまう。あたしはきっとその時見ていることしかできないことを分かっている。神様はきっとあたしたちを同じ場所へは導いてくれないだろう。だからせめて、今だけはこの幸せな時間を奪わないでほしいと願う。

 あたしはきっと最後まで大切なことは伝えられないだろう。
ならせめて、今ある君への気持ちだけは絶対に手を離さない。心や体で君への愛を伝えられるなら今はそれでいい。いつか離れるときが来たとき、君にとって忘れられない女でありたいと願った。

「側にいて。抱きしめて。離さないで。」
 ズルいあたしは今日も何も言えないまま、君の隣で眠っている。

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