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【大月書店通信】第179号(2023/12/30)

「大月書店通信」第179号をお届けします。

今年最後の配信となりました。
読者の皆さんにとって今年はどんな年だったでしょうか。

終わらないウクライナ戦争に続き、パレスチナ・ガザでの目を覆うような破壊。
世界各地で続く自然災害と「地球沸騰」と形容される温暖化の進行。
国内では自民党政治の底なしの退廃と社会システムの劣化が各所で噴出しています。
どこをとっても暗くなるニュースばかりですが、これらが夜明け前の暗さであることを願うばかりです。

今年最後の新刊は『 Q&A多様な性・トランスジェンダー・包括的性教育』(浅井春夫ほか編著)。
近年ネット上ではびこるトランスジェンダー攻撃やLGBTQに対するデマ・陰謀論は、とりわけ若い当事者への深刻な脅威となっています。
ネット空間の安全性をいかに確保するかという問題としては、これまた近年大きな問題になっている女性権利団体やアクティビストへの誹謗中傷とも地続き。
そして、性の多様性や生殖の自己決定を尊重する包括的性教育を「伝統的家族観を破壊する」「性秩序を乱す共産主義の陰謀」といったトンデモ論で攻撃する顔ぶれは、毎度おなじみ右派・保守論者やカルト教団。
こうした多様な角度から、トランスジェンダーや包括的性教育への攻撃に対抗する確かな知識を74のQ&Aでまとめた1冊です。

「難民・移民フェス」の呼びかけ人である金井真紀さんは、このフェスを「ほしい未来を1日だけ先取りする」空間と表現しています。
暗い時代にあっても、私たちが「ほしい未来」を想像し、それを身近な場で現実化する努力をしていく先に、変化の光は指すと信じたいものです。


【新刊案内】『Q&A多様な性・トランスジェンダー・包括的性教育』ほか12月の新刊4点

●トランス差別言説に対抗し、性教育の指針を示す
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『Q&A多様な性・トランスジェンダー・包括的性教育――バッシングに立ちむかう74問』
浅井春夫ほか[編著]1,870円
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トランス排除を煽るネット上のデマや誤解、陰謀論をファクトに基づき検証。LGBTQへの差別や恐怖を利用し包括的性教育を攻撃する右派のバックラッシュを許さないために、当事者・専門家らが結集したコンパクトなQ&A集。

●ついつい食べてしまう粉ものの魅力と危険性
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たべものの中にいるよ!2 ふわふわ小麦粉にご用心!
パク・ウノ[文]ユン・ジフェ[絵]尹怡景[訳]3,300円
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ラーメン、菓子パン、うどん、ピザ…全部材料は小麦粉。大人も子どもも大好きだけれど、食べすぎると大変なことに!世界の歴史をつくった麦の物語とともに、世界各地でのさまざまな利用、バランスのとれた食べかたも教えます。

●特集=教育DXの光と影
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月刊クレスコ 1月号(no.274)
クレスコ編集委員会・全日本教職員組合(全教)[編]550円
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教育現場で否応なく進むICT化。多様な子どもたちの発達を保障し、教員の柔軟な働き方を可能にする一方で、授業実践の画一化や長時間労働の不可視化、健康被害など、課題も多い。現場の悩みを共有しながら各地の実践を紹介する。

●NHK『松本人志と世界LOVEジャーナル』騒動
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放送レポート 1月号(no.306)
メディア総合研究所 [編]550円
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●ドキュメンタリー台本●番組批評●制作者の素顔●ラジオの現場から●スポーツとマスコミ●映画の中のマスコミ●話題の本から●放送をめぐる動き ほか

【話題の本・本の話題】「紀伊國屋じんぶん大賞」に『〈悪の凡庸さ〉を問い直す』が入賞ほか

『〈悪の凡庸さ〉を問い直す』が「紀伊國屋じんぶん大賞2024」で15位に入賞しました!

今年で14回目を迎える「 紀伊國屋じんぶん大賞」で、9月に弊社から刊行された、田野大輔・小野寺拓也[編著]『 〈悪の凡庸さ〉を問い直す』が15位に入賞しました。
来年の2月24日から「紀伊國屋じんぶん大賞2024フェア」が開催され、選考委員や読者からの推薦コメントを掲載した小冊子が店頭で配布される予定です。
皆様もこの機会にぜひ本書をお手に取ってみてください!

◆田野大輔・小野寺拓也[編著]『 〈悪の凡庸さ〉を問い直す』

『大学生が推す 深掘りソウルガイド』クラウドファンディングで、ネクストゴール達成!

加藤圭木監修・一橋大学社会学部加藤圭木ゼミナール編『大学生が推す 深掘りソウルガイド』刊行のためにおこなってきましたクラウドファンディングで、ネクストゴール200万円を達成!みなさまのご支援のおかげで、総額2,046,000円で終了しました。ありがとうございました。
デザイン性を追求しつつ内容の充実につとめ、宣伝・広告にも有効に活用させていただきます。

◆ 加藤圭木[監]『大学生が推す 深掘りソウルガイド』

最近の新刊の書評掲載

●加藤圭木[監修]『 ひろがる「日韓」のモヤモヤとわたしたち
『hana』 50号
『月刊イオ』1月号
『週刊読書人』12月15日
「四国新聞」12月12日
「東京新聞」12月12日夕刊
「神戸新聞」12月14日夕刊

●田野大輔・小野寺拓也[編著]『 〈悪の凡庸さ〉を問い直す
『EYESCREAM』1月号

●渡辺考[著]『 沖縄 戦火の放送局ーー軍隊に飲み込まれたラジオ
「琉球新報」12月27日

●風巻浩・金迅野[著]『 ヘイトをのりこえる教室ーーともに生きるためのレッスン
『月刊イオ』1月号
『信徒の友』1月号

【イベント】『レイシャル・プロファイリング』刊行記念イベントほか

『レイシャル・プロファイリング』刊行記念オンライン・トークイベント「沖縄からレイシャル・プロファイリングを考える」

外見と犯罪を結びつけて警察が職務質問することは、典型的な「レイシャル・プロファイリング」と言えます。
日本におけるレイシャル・プロファイリングの実態を大規模調査によって明らかにしたのが、東京弁護士会外国人の権利に関する委員会が2022年9月9日に公表した「2021年度外国にルーツをもつ人に対する職務質問(レイシャルプロファイリング)に関するアンケート調査最終報告書」です。この報告書によると、沖縄からも人種差別的な職務質問を受けたとの回答が多く寄せられています。
このイベントでは、「ハーフ」「ミックス」の人々もたくさん暮らす沖縄の視点から、警察によるレイシャル・プロファイリングをはじめ、公権力による人種差別について考えたいと思います。(申し込みHPより)

出演者:宮下萌(弁護士)、親富祖愛(「Ai&Dai designs」経営)、下地 ローレンス吉孝(カリフォルニア大学バークレー校)
司会:阿部岳(「沖縄タイムス」編集委員)
日時:2024年1月27日(土)13時~15時
参加費:書籍購入+視聴 4,400円/視聴のみ 1,200円

※後日、アーカイブ動画を配信いたします。

聡子の部屋 第54回(2月22日)『レイシャル・プロファイリング──警察による人種差別を問う』刊行記念イベント

警察から人種等に基づき、その人が犯罪行動に関わったかどうかを判断する職務質問は「レイシャル・プロファイリング」と言われているものです。警察という公権力による人種差別は、差別の中でもとりわけ悪質な差別であり、人間の尊厳を損なう重大な人権侵害です。本イベントでは日本ではじめとなる『 レイシャル・プロファイリング ―警察による人種差別を問う―』(大月書店)を通じて公権力による人種差別であるレイシャル・プロファイリングの問題を考えます。(申し込みHPより)

出演者:梁・永山聡子(成城大学)、宮下萌(弁護士)
日時:2024年2月22日 (木)19時~21時 
会場参加:1,500円/オンライン参加1,500円
※後日、アーカイブ動画を配信いたします。
会場:Readin’ Writin’ BOOK STORE

◆ 宮下萌[編著]『レイシャル・プロファイリング』


KUNILABO冬のブックトーク2『〈悪の凡庸さ〉を問い直す』

『 〈悪の凡庸さ〉を問い直す』はこの〈悪の凡庸さ〉という語の有効性などをめぐって、歴史学と哲学分野の研究者が論じあった著作です。このブックトークでは3人の著者をお迎えして、アイヒマンの悪は本当に〈凡庸〉だったのか、この概念の意義はどこにあり、また限界はどこにあるのかといった問題について考えてみたいと思います。
(申し込みHPより)

出演者:田野大輔(甲南大学)、小野寺拓也(東京外国語大学)、百木漠(関西大学)ほか
日時:2024年1月21日(日)14時~15時30分(予定)
参加費:無料(要登録)

清風堂書店ブックイベント「『〈悪の凡庸さ〉を問い直す』を問い直す」

〈悪の凡庸さ〉を問い直す』刊行記念&紀伊國屋じんぶん大賞15位入賞記念!  編著者であるナチズム研究者・田野大輔さんに加え、対談相手としてアーレント研究者・森川輝一さんをお迎えし、『〈悪の凡庸さ〉を問い直す』をさらに問い直していただきます。
そして、会場にて参加されるみなさまには、SNSで話題のあの「源泉徴収はナチスの発明ではありません」特製ステッカーを進呈いたします!ぜひ会場まで足をお運びください!
(申し込みHPより)

出演者:田野大輔(甲南大学)、森川輝一(京都大学)
司会:百木漠(関西大学)
日時:1月27日(土)15時~16時30分(予定)
来場参加:1500円(特製ステッカー付)/配信視聴:1500円
※いずれも後日、アーカイブ動画を配信いたします。

◆田野大輔・小野寺拓也[編著]

難民映画祭パートナーズ上映&トーク 『ムクウェゲ~「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師』

東京大学の駒場キャンパスにて、不可視化され続けてきたコンゴ民主共和国の紛争下の性暴力を取り上げた映画『ムクウェゲ~「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師』の上映と、トークセミナーが開催されます。

今年7月、コンゴでの組織的なレイプ被害者の治療に取り組み続けている、デニ・ムクウェゲ医師の著書『 勇気ある女性たち』が弊社より刊行されました。イベントでは、本書監修者である米川正子さんがキーノートスピーチを行い、本書の紹介もしていただける予定です。ぜひご参加ください。

日時:2024年1月7日(日)12時50分~17時
参加費:無料
会場:東京大学駒場Iキャンパス18号館ホール

◆デニ・ムクウェゲ[著]

【編集後記】

このメルマガ後記で何度か家の断熱のことを書きました。これまでDIYでやってきましたが、この冬ついに本格的な断熱リフォームに着手……のはずが、資材の手配や業者さんの都合でずれ込み工事完了は年明けに。早くしないと冬が終わっちゃうよ~とやきもきしますが、今の寒さを体で覚えておいて、ビフォーアフターの違いを体感したいと思います。(鰯)

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