大月書店

1946年創業の社会科学出版社、大月書店の公式アカウントです。新刊の部分公開やweb限…

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1946年創業の社会科学出版社、大月書店の公式アカウントです。新刊の部分公開やweb限定の連載など、紙の本から一歩はみ出て読者の皆さんと出会える場を作れたら嬉しいです。

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  • 先生が先生になれない世の中で

    雑誌「クレスコ」に好評連載中の教育研究者・鈴木大裕さんの教育事情レポート。

  • あっと驚く刑務作業の世界

    家具や雑貨、文具にお茶――。全国各地の刑事施設のユニークな刑務作業を紹介するシリーズです。

  • 君も本棚を作ってみないか?(田野大輔)

    君も本棚を作ってみないか? 研究者のための本棚自作マニュアル 田野大輔(たの だいすけ)1970年生まれ。甲南大学文学部教授。専攻は歴史社会学。著書『ファシズムの教室――なぜ集団は暴走するのか』(大月書店)、『愛と欲望のナチズム』(講談社選書メチエ)、『魅惑する帝国――政治の美学化とナチズム』(名古屋大学出版会)ほか。

  • 大月書店×ジェンダー×多様性

    2021年夏から順次刊行するジェンダー・多様性に関連する新刊の情報をまとめます。

記事一覧

【大月書店通信】第182号(2024/3/29)

「大月書店通信」第182号をお届けします。 春、卒業式~入学式、入社式の季節になりました。春は、新たな「学び」を始めてみたくなる季節でもあります。 今月の新刊『 大…

大月書店
5日前
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【大月書店通信】第181号(2024/2/29)

「大月書店通信」第181号をお届けします。 この2月でウクライナ戦争の開始から2年。そして昨年10月からのパレスチナ・ガザでの戦闘はまもなく5か月になろうとしていま…

大月書店
5日前
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【大月書店通信】第180号(2024/1/31)

「大月書店通信」第180号をお届けします。 今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」で、注目が集まる、紫式部と藤原道長ら平安朝の人々。 道長といえば、「この世をば わが世と…

大月書店
5日前
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【大月書店通信】第179号(2023/12/30)

「大月書店通信」第179号をお届けします。 今年最後の配信となりました。 読者の皆さんにとって今年はどんな年だったでしょうか。 終わらないウクライナ戦争に続き、パレ…

大月書店
5日前
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【大月書店通信】第178号(2023/11/30)

「大月書店通信」第178号をお届けします。 「大月書店通信」は今号で第178号目です。毎月1回の配信で、約15年間にわたって皆様にメールマガジンをお届けしてきました。メ…

大月書店
5日前
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【大月書店通信】第177号(2023/10/30)

「大月書店通信」第177号をお届けします。 大手デパートでは61年ぶりとされるそごう・西武労働組合のストライキで、久々に労働争議が全国ニュースになりました。 本来、働…

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5日前
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先生が先生になれない世の中で(32)  ~マニュアル化する社会の中で②:『不適切にもほどがある!』~

「おい、そこのメガネ! 練習中に水飲んでんじゃねぇよ! バテるんだよ水飲むと! けつバットだー! 連帯責任!!」 時は昭和61年(1986年)、中学教師で野球部顧問の小…

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3週間前
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先生が先生になれない世の中で(31)  〜マニュアル化する社会の中で:奈良教育大附属小学校「不適切指導」事件~

「奈良教育大学附属小学校では、今年1月に、学習指導要領に基づく授業時間が不足するなど、不適切な指導が明らかになりました」――あなたもネットやテレビでそんな報道を…

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1か月前
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先生が先生になれない世の中で(30)~高知 教職員と議員のつどい②~

教員の労働環境は子どもの学習環境であり、学校における働き方改革は、国、行政、議会、教職員、そして保護者が同じ方向を向けないわけはない。昨年12月、『高知(若手)教…

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2か月前
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先生が先生になれない世の中で(29)~高知 教職員と議員のつどい~

「もし機会があるならば、教育現場の声を直接議員に伝えたいと思いますか?」――そんな私の一言から、あるイベントが昨23年8月に高知市で実現した。その名も、『高知(若…

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3か月前
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先生が先生になれない世の中で(28) いち教員である「わたし」にできること②

この社会は「わたし」たちの集まりによって構築されている――それに気づくことにこそ希望がある。そう言うのは、前回も取り上げた文化人類学者の松村圭一郎氏だ。文化人類…

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4か月前
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先生が先生になれない世の中で(27) いち教員である「わたし」にできること

文化人類学者、松村圭一郎氏のこの言葉に共感する教員は少なくないのではないか。この連載でも、大きなテーマを扱ってきた。資本主義の影響による教育における「構想」と「…

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5か月前
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あっと驚く刑務作業の世界(2)鹿児島刑務所のお茶づくり

霧島山麓に広大な茶畑が出現!鹿児島刑務所(湧水町)が位置する霧島山麓。敷地内には茶畑と茶工場があり、お茶の栽培から加工までを一貫して行っています。ここでできたお…

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5か月前
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あっと驚く刑務作業の世界(1)刑務作業ってなに?

刑罰であり、出所後のための訓練私が刑務作業と初めて「出会った」のは、偶然通りがかった、ターミナル駅の構内でした。そこでは受刑者が作ったという、木製の家具や、革の…

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5か月前
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「会社」がコミュニズムを準備する?!〜『ここにある社会主義』第1章を無料公開(3/3)

ヘッダー画像:by MEDIUM.COM 前回(第1章前半)はこちら 人間性の開花 では社会主義は、なぜ人々が社交しコミュニケートする社会をめざすのでしょうか。それは、その…

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6か月前
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先生が先生になれない世の中で(26)花火大会は誰のもの②

私が住む土佐町では、花火の有料観覧席などというものは存在しない。全国の主要花火大会で進む有料化、(プレミアムシートの創設などの)「ダイナミックプライシング」によ…

大月書店
6か月前
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【大月書店通信】第182号(2024/3/29)

【大月書店通信】第182号(2024/3/29)

「大月書店通信」第182号をお届けします。

春、卒業式~入学式、入社式の季節になりました。春は、新たな「学び」を始めてみたくなる季節でもあります。

今月の新刊『 大学生が推す 深掘りソウルガイド』は、大学ゼミでの「学び」のなかから生まれた本です。企画の始まりは、2022年秋のソウルでのゼミ合宿。街を踏査(タプサ)しているときに、有名な観光地やその周辺のあちこちに、「日韓」の歴史を知ることができ

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【大月書店通信】第181号(2024/2/29)

【大月書店通信】第181号(2024/2/29)

「大月書店通信」第181号をお届けします。

この2月でウクライナ戦争の開始から2年。そして昨年10月からのパレスチナ・ガザでの戦闘はまもなく5か月になろうとしています。停戦を求める世界の声を無視して殺戮が続くことに無力さを感じている人も多いでしょう。

イスラエルの作家アモス・オズのエッセイ集『わたしたちが正しい場所に花は咲かない』(大月書店、2010年初版。現在品切)を開いてみました。
自分た

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【大月書店通信】第180号(2024/1/31)

【大月書店通信】第180号(2024/1/31)

「大月書店通信」第180号をお届けします。

今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」で、注目が集まる、紫式部と藤原道長ら平安朝の人々。
道長といえば、「この世をば わが世とぞ思ふ」とうたった傲慢な権力者。しかし、史料の再解釈によって、そのイメージが大きく変わりつつあるのです。教科書が書き換えられる可能性もあります。
今月の新刊『深化する歴史学――史資料からよみとく新たな歴史像』は、古代から現代まで、歴

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【大月書店通信】第179号(2023/12/30)

【大月書店通信】第179号(2023/12/30)

「大月書店通信」第179号をお届けします。

今年最後の配信となりました。
読者の皆さんにとって今年はどんな年だったでしょうか。

終わらないウクライナ戦争に続き、パレスチナ・ガザでの目を覆うような破壊。
世界各地で続く自然災害と「地球沸騰」と形容される温暖化の進行。
国内では自民党政治の底なしの退廃と社会システムの劣化が各所で噴出しています。
どこをとっても暗くなるニュースばかりですが、これらが

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【大月書店通信】第178号(2023/11/30)

【大月書店通信】第178号(2023/11/30)

「大月書店通信」第178号をお届けします。

「大月書店通信」は今号で第178号目です。毎月1回の配信で、約15年間にわたって皆様にメールマガジンをお届けしてきました。メルマガにも歴史を感じます。

そんな「大月書店通信」ですが、今月号より、リニューアルいたしました。
前号まではテキストのみのメールをお届けしていましたが、今号からはメールがHTML形式となりました。レイアウトなどが大きく変わり、画

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【大月書店通信】第177号(2023/10/30)

【大月書店通信】第177号(2023/10/30)

「大月書店通信」第177号をお届けします。

大手デパートでは61年ぶりとされるそごう・西武労働組合のストライキで、久々に労働争議が全国ニュースになりました。
本来、働く人が賃金や職場環境を改善するための重要な手段である労働組合ですが、近年は組織率も低下し、存在感をなかなか示せていません。そんな中でそごう・西武の争議は労働運動の意味をあらためて考える機会になりました。

労働組合が誕生したのは産業

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先生が先生になれない世の中で(32)  ~マニュアル化する社会の中で②:『不適切にもほどがある!』~

先生が先生になれない世の中で(32)  ~マニュアル化する社会の中で②:『不適切にもほどがある!』~

「おい、そこのメガネ! 練習中に水飲んでんじゃねぇよ! バテるんだよ水飲むと! けつバットだー! 連帯責任!!」

時は昭和61年(1986年)、中学教師で野球部顧問の小川は、地元では「地獄の小川」として恐れられる存在だ。選手がエラーしたら「うさぎ跳び一周」、体罰は「愛のムチ」、教室でもタバコスパスパ……。そんな主人公がある日バスを降りたら、令和6年(2024年)にタイムスリップしていた……。これ

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先生が先生になれない世の中で(31)  〜マニュアル化する社会の中で:奈良教育大附属小学校「不適切指導」事件~

先生が先生になれない世の中で(31)  〜マニュアル化する社会の中で:奈良教育大附属小学校「不適切指導」事件~

「奈良教育大学附属小学校では、今年1月に、学習指導要領に基づく授業時間が不足するなど、不適切な指導が明らかになりました」――あなたもネットやテレビでそんな報道を目にしたのではないだろうか。国が定めている、教えるべき内容を奈良教育大附属小(以下、附属小)では教えていなかったことが発覚。新任の校長が教職員に是正を求めたが受け入れられなかった……。そんな内容を聞いたら、それはダメだよね、となるのがふつう

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先生が先生になれない世の中で(30)~高知 教職員と議員のつどい②~

先生が先生になれない世の中で(30)~高知 教職員と議員のつどい②~

教員の労働環境は子どもの学習環境であり、学校における働き方改革は、国、行政、議会、教職員、そして保護者が同じ方向を向けないわけはない。昨年12月、『高知(若手)教職員と議員のつどい』の一つの成果として、国が定める標準授業時数を上回るいわゆる「余剰時数」の問題が、高知県内12の市町村議会にて同時多発的に取り上げられた。さまざまな議会の関連議事録からは、今後進むべき道筋が見えてきた。

余剰時数の削減

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先生が先生になれない世の中で(29)~高知 教職員と議員のつどい~

先生が先生になれない世の中で(29)~高知 教職員と議員のつどい~

「もし機会があるならば、教育現場の声を直接議員に伝えたいと思いますか?」――そんな私の一言から、あるイベントが昨23年8月に高知市で実現した。その名も、『高知(若手)教職員と議員のつどい』。当日は、小中学校、特別支援学校、養護、栄養など、若手教職員に加え、高知全域から約20名の議員が参加した。党派関係なく、さまざまな市町村議会から議員が集まり、中には県議会議員の姿も見えた。

前半は、それぞれの立

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先生が先生になれない世の中で(28) いち教員である「わたし」にできること②

先生が先生になれない世の中で(28) いち教員である「わたし」にできること②

この社会は「わたし」たちの集まりによって構築されている――それに気づくことにこそ希望がある。そう言うのは、前回も取り上げた文化人類学者の松村圭一郎氏だ。文化人類学は、一つの部族や集団を長期にわたって調査する。しかし、調査を通して知るのはその「他者」だけでなく、「わたし」であり、自らの社会だ。「他者」と出会うことで自分自身の「あたりまえ」が揺さぶられ、その揺さぶりに身をまかせることで、慣れ親しんだ自

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先生が先生になれない世の中で(27) いち教員である「わたし」にできること

先生が先生になれない世の中で(27) いち教員である「わたし」にできること

文化人類学者、松村圭一郎氏のこの言葉に共感する教員は少なくないのではないか。この連載でも、大きなテーマを扱ってきた。資本主義の影響による教育における「構想」と「実行」の分離。新自由主義化する社会の帰結である公教育の市場化と民営化。そうして起こる学校の「塾」化と教員の「使い捨て労働者」化……。そして、子どもの教育を通して、この「モノ・カネ」の社会のあり方そのものを問い直す必要性を、私はくり返し訴えて

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あっと驚く刑務作業の世界(2)鹿児島刑務所のお茶づくり

あっと驚く刑務作業の世界(2)鹿児島刑務所のお茶づくり

霧島山麓に広大な茶畑が出現!鹿児島刑務所(湧水町)が位置する霧島山麓。敷地内には茶畑と茶工場があり、お茶の栽培から加工までを一貫して行っています。ここでできたお茶は、矯正展などでもすぐに売り切れてしまう人気商品です。

刑務作業としてお茶作りを始めたのは1952年頃から。鹿児島県のお茶の栽培は、ここ湧水町で始まったとの説があり、お茶どころにある刑務所らしい取り組みといえます。ちなみに、日本で農場の

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あっと驚く刑務作業の世界(1)刑務作業ってなに?

あっと驚く刑務作業の世界(1)刑務作業ってなに?

刑罰であり、出所後のための訓練私が刑務作業と初めて「出会った」のは、偶然通りがかった、ターミナル駅の構内でした。そこでは受刑者が作ったという、木製の家具や、革の小物、紙や布の雑貨など、日用品のすべてとでもいえるほどたくさんの製品が並ぶ展示即売会が開催されていました。

ここでまずは簡単に、刑務作業とは何なのかをご説明します。

日本には73の刑事施設(刑務所、少年刑務所、拘置所)があり、収容された

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「会社」がコミュニズムを準備する?!〜『ここにある社会主義』第1章を無料公開(3/3)

「会社」がコミュニズムを準備する?!〜『ここにある社会主義』第1章を無料公開(3/3)

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前回(第1章前半)はこちら

人間性の開花

では社会主義は、なぜ人々が社交しコミュニケートする社会をめざすのでしょうか。それは、そのような社会でこそ人間は自己実現できるからです。自己実現は、潜在能力の自由な現実化と外面化という二つの要素からなります*1。
潜在能力の自由な現実化とは、自分のもてる潜在能力を自由に、納得がいくまで発揮することです。どのよう

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先生が先生になれない世の中で(26)花火大会は誰のもの②

先生が先生になれない世の中で(26)花火大会は誰のもの②

私が住む土佐町では、花火の有料観覧席などというものは存在しない。全国の主要花火大会で進む有料化、(プレミアムシートの創設などの)「ダイナミックプライシング」による有料観覧席の階層化、そしてチケットを購入していない人たちの排除……。もちろんそれらの主要花火大会とは花火の規模も来場者の数も比にもならない。それでも、なぜ土佐町では有料観覧席などできないのか、そんなことを真剣に考えてみた。

人口3600

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