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ママたちの圧倒的観察眼は自己分析の最強ツールだった

「自分には何もない……」
「ブランクがあるから仕事するのが怖い」
「周りのみんなは成長していて焦ってしまう」

そんな風に思っているママ(特にワーママ)がいたら、今すぐにその思い込みをエイヤーっと投げ捨てよう。

育児で培った圧倒的観察眼があることにお気づきでないとしたら、それは非常にもったいないことだ。


子育て経験者がナチュラルに身につけている特殊能力について、まずは認知をしてほしい。

そして、その圧倒的観察眼を使って自分自身を見つめてみることを全力でおすすめしたい。


自分には何もない?
ブランク?
成長が止まっている?


大丈夫。そんなことは絶対にない。


圧倒的観察眼で自分を見つめてみると、きっと今よりもずっと楽に呼吸ができるし、人生が楽しくなるはずだ。


親の特殊能力がとにかくすごい!

成長には、大きく分けて2種類がある。
武装的成長と、解放的成長だ。

資本主義において、利益を生み出すために雇われた会社員は、成長を前提とした仕組みの中で生きている。

努力は呼吸のようにしなければならないし、時代の変化を感じ取り、自己を常に高める必要がある(場合が多い)。

努力と成長は会社員の共通言語であり、言語を持たぬものは会話すらままならない。

「“現状維持”の意味を説明せよ」というテストが出たら、戦闘力の高い会社員ならどう答えるだろうか?

そう、「死」だ。

誰しもがこの成長社会で、必死でサバイブしている。

方向性を見誤ると、苦しかったり、健康を害したりもするけれど、基本的には正しい武装的成長には非常に価値がある
できるだけ努力した方がいいことは間違いない。


そうはいっても、一度ビジネスの現場を離れたり、育児に没頭すると、まずこの感覚に違和感を覚えるようになる人も多いだろう。わたしもそうだった。

また、時間に制約のあるわたしたちワーママは、インプットのための時間を思うように取れないことも悩みだ。

子を産み育てるまで信じていた価値観や、必死で身につけてきた武装に疑問が生じると、向かう先が見えなくなってしまう。
そして、成長も実感できずに、とても苦しい。

一方、解放的成長は、自分自身=本質の成長のことである。

強みとか資質才能と表現されたりもする。

前提として、全人類が生命の誕生とともに取得しており、放っておいてもスクスク育ってくれる。


獲得自体は何の苦労もしないのに、自分では気づきにくいのが難点だ。

周りからだとよく見えていても、自分にとっては当たり前すぎて、強みであることがわからない

特に、仕事を頑張りたいと思っているタイプのワーママさんにとっては、積み上げてきたキャリアが断絶することで、自信をなくしてしまうことがあるのではないだろうか。

自分の人生に違和感があったり、武装で苦しくなっている人は、むしろ解放的成長が止まってしまっている可能性があることに気づいてほしい。


解放的成長の根っこ=自分自身の素質
を認識できている人は、人生の手綱を上手に握っていることだろう。

素質が迷子になっているならば、再会し、そっと解放してやればいい。
その再会に、圧倒的観察眼が大いに役に立つのである。


もちろん、先に述べたように、武装的成長も必要だ。
しかし、進むべき方向がある程度見えていたほうが、武装の効率がいい。

「自分には何もない……」と感じている人こそ、まずは解放的成長に目を向けることをおすすめしたいし、その観察スキルが特に高いのが、わたしたち育児経験者なのである。



思い出してみてほしい。

得体の知れない、異星人のような我が子を初めて胸に抱いた日から今日まで、24時間体制で育児をしてきた日々を。

親だけが理解できる、子の発した言葉や仕草の数々。

この親の読み取り力は、対象への圧倒的な興味と、蓄積した観察データの賜物に他ならない。

親は押し並べて自分の子どもの専門家であり、特殊能力をナチュラルに習得しているのである。

これは実にすごいことだと思う。


我が子はどんなものに喜び、怒り、笑うのか。
何が得意で、苦手で、好きで、嫌いなのか。

よく観察していると、個性が見えてくる。
生きているだけで、子どもは勝手に「らしさ」を積み重ねていくものだ。

親は子の得意なことを伸ばしてやりたいし、心地よく感じる空間やコミュニケーションを心がけたくて、ますます観察する。そうしてさらに、観察スキルに磨きをかけていく。

素質をきちんと観察し、認知できると、陽を当ててやることができる。
適宜水をやり、ときに栄養も与えれば、自由にのびのび、育っていくはずだ。

それは、子どもだけでなく、わたしたち自身にも同じことが言える。

だからこそ、自分の人生に違和感を覚えたり、自信を失っているときは、よく自分を観察してみる必要がある。

ポンコツ会社員でもできた、解放的成長

かくいうわたしも、会社員としては圧倒的にポンコツだった。今でもそうかもしれない。

頭の回転がとにかく遅い。
話を一度聞いただけでは理解できず、咀嚼に時間がかかる。
ダブルチェックのチェック側になることがひどくプレッシャーだし、何かトラブルやミスがあれば、だいたい自分が引き起こしている。
算数も苦手で、数値の話や計算が必要なシーンでは冷や汗が出るほどだ。

わたしは、成長できない戦闘力の低いダメな会社員だった。


「成長」は、わたしたちを輝かしい未来に連れていってくれる強力な助っ人でありながら、ときに私たちを煽り、追い立てる。

大好きだった小説は部屋の隅で埃をかぶり、本棚には自己啓発本ばかりが増えていった20代。
焦りを燃料に無駄な努力をし続けて、体からSOSが出て倒れてもなお、止まれなかった。

何者にもなれないまま、見えないゴールに向かって走り続けていた。

成長は苦しい。
そんな思い込みを覆してくれたのが、育児だ。

子どもの成長は圧倒的に愛おしく、かつ劇的である。

先が見えないまま積み上げたキャリアでも、ブツっと断絶するのは勇気がいる。
それでも、ほにゃほにゃした異星人のような、愛おしさが爆発しているイキモノの世話に、わたしはすぐに夢中になった。

マ!マェ
うんうん、そうだね、アンパンマンにも目がついてるね。

マッ!
いただきますちゃんと言えたね。

マッ!
あれ、もうご馳走様なの?

ゴッゴッタイ
お水が飲みたいのね。はいどうぞ。

アイキンマン!
え……それはアンパンマン?バイキンマン?
どっち……?!

「マ」だけで、もっと食べたいのか、もう終わりにしたいのかを正確に把握できることに気づいたとき、わたしはすべての親が身につけているであろうこの特殊能力にとても感動したことを覚えている。

発話から、表情から、仕草から、あらゆることを瞬時に読み取る能力は、強力なスキルである。

しかし、あくまでも我が子だけに発揮するスキルだ(と、そのときは思っていた)。

仕事となると、どうだろうか。

しばらく、武装的成長はおやすみしている。
もともとポンコツなのだ。わたしの会社員としてのスキルは、きっと地に堕ちているだろう。


自分には、何もない。
仕事人としての需要がないのではないか……。


自信がなかった。

この先、どうキャリアを積んでいけばいいのか、わからなかった。


でも子どもたちを見ていると、そんなはずはない! と思えてくる。

人は一様に尊い。
生まれながらのポンコツなんて、いるだろうか……?


ポンコツは、本来力を発揮すべき方向性ではない努力の結果
である。

わたしは、これから進むべき道を探るために、子どもたちに向けていた観察眼で、自分自身を見つめることにした。

気づいたら三児の母になり、フルタイムで働くワーママとなっていたわたしに、時間的余裕はほぼない。

落ち着いて考えるために朝4時に起き、子どもたちが起きてくる7時までの3時間、じっくり自分自身と向き合った。
好きなこと、得意なこと、人に喜ばれること。自分の要素の中で、本質的なものがどこにあるのかを、ひたすら書き出した。
※ブレインダンプという方法がめちゃくちゃよかった。ググリ推奨。


わたしは何を武装し、何を手放してきたのか。
そして、今握りしめている、自分の本質は何か。


一つひとつ丁寧に観察していく。



武装を解除した、すっぴん丸裸の自分との再会は、清々しいものだった。

最後まで握りしめていた自分の核はあまりのシンプルで、あまりに当たり前すぎて、笑ってしまうほどだった。

長く栄養を与えていなかったせいか、かわいそうに、痩せ細って震えている。


そうか、わたしはずっと、ここにいたのか。
やっぱり君が、わたしだったのだな。


小さくうずくまり、所在なさげにキョロキョロしている自分自身を見つめて、わたしは「ごめん」と謝った。

すべての人が最高に素晴らしい素質を持っている

勘のいいあなたなら、すでに気がついているかも知れない。

解放的成長の根っこを見つめる観察眼は、解放的成長に必要なスキルでありながら、武装的成長でもあるということに。

もちろん、育児を経験せずとも、もともと持ち合わせている観察力を駆使して仕事で活躍されている方も多くいらっしゃるだろう。それは強みだし、才能だと思う。

ポイントは、観察の習慣や能力がないタイプでも、親になるとナチュラルに観察スキルが向上しているという点だ。

あとはその観察眼で、自分の強みをちゃんと見つけてあげるだけだ。見つけた先の人生には、希望しかない。


わたしは育児で培った観察眼で「書く」という行為が自分の核の一つだと再認識した。

ずっと好きだったし、仕事でも大いに活かしてきたけれど、真剣に向き合ってくることを避けていた。

メインの仕事をないがしろにしてしまうほど、没頭してしまうからだ。
滞りなく仕事をするために、書きたい気持ちには蓋をし続けた。

でも、本当は逆なのだ。没頭できることを仕事にできるよう、努力すべきだったのだ。

核を大切にしてやるぞ、と決めたあとは、人生がひたすらに楽しい。
努力の方向性が定まると、人はこんなにも頑張れるものなのだと知った。

今でも毎朝4時に起きて、文章と向き合い、学んでいる。
本腰入れて学び始めると、いかに今までベクトルが内側に向いていたかがよくわかる。

これからは外側へ向けて、誰かのためになる文章を書きたい。愛のある、想いのある文章を書きたい。


才能や素質との再会のすすめは、書籍もたくさん出ているし、もちろん誰かと話す中で見つけたり、コーチングを受けたり、手段もいろいろある。

自分に合った方法でもちろん構わないけれど、夢中で育児をしてきたわたしたちが培った観察眼も、しっかり活用してほしい。

観察眼は、親スキルの一例にすぎない。

あなたもわたしも、育児を通して、めちゃくちゃ武器を手に入れているし、成長しているのである。


あなたの核は、きちんと陽にあたっているだろうか?

日陰で寒そうにしていたら、まずはそっと抱き寄せて暖めるところから、はじめてみてほしい。

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すんごいビジネス本っぽくなっちゃった。普段はワーママ視点での日常と非日常をゆるく書いています。

こんなのとか。


最近Xもはじめました。
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