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【読書記録】そして生活はつづく 星野源

星野源の今回とは別のエッセイ「蘇る変態」を何年も前に友人に借りて読んだことがある。

内容はぼんやりとしか思い出せないのだが、声に出して笑ってしまうようなところがいくつかあったのは覚えている。

星野源、歌もお芝居もやってもの書きもやっているなんて、天は二物を与えず都会けど、二物どころか三物も与えているじゃないか!?と思った。


今回読んだ「そして生活はつづく」は星野源の処女作。

小学生に言えば喜ぶようなお下品さ、酔っ払いの大人が居酒屋で言い合うようなしょうもない下ネタさで笑わされたと思っていたら、

考えさせられるような言葉に胸を打たれたりと、とてもバランスが取れていて面白かった。


『おじいちゃんはつづく』

私は、このお話が一番好きだ。

これは、あだ名が「おじいちゃん」だった作者本人と、作者の「おじいちゃん」のお話である。

作者のおじいちゃん(これからおじいちゃんは作者のおじいちゃんを指す。)は、幼い頃に両親をな亡くし、愛する奥様も早くに亡くしていた。

80歳を過ぎても、掃除洗濯をして、ご飯を食べて。

息子や娘には頼らない、ちゃんと自分の力で生きていくおじいちゃんだったそうだ。

そのおじいちゃんが、作者がアルバムのレコーディング中に亡くなる。


そして、作者が亡くなったおじいちゃんのおでこに触って、


「生きたいぞこりゃあ。」


とポジティブな発想になる。


身近な人の「死」というつらく落ち込む状況の中で、この「とにかく生きたい」という気持ちが出てきた作者にすごく親近感が湧いた。




私もつい先月、最愛の「おばあちゃん」を亡くした。

おばあちゃんは、2歳のときに母を亡くし、30歳くらいで父を亡くし、50代で夫(私のおじいちゃん)を亡くしている。

おばあちゃんも病気になるまで、身の回りのことは全て自分でやっていた。

潔癖症に近いレベルの綺麗好きだったので、部屋には塵一つなかったし、洗濯機も一日に何回も回すほどだった。

きれいな部屋を保てるように、子どものころ外から遊んで帰ると、お風呂場で手足をしっかり洗うように言われていた。(夏は冷たくて気持ち良いけど、冬は寒くて地獄だった。)


なにより、おばあちゃんは料理が上手で、作ってくれた料理は全部美味しかった。

おばあちゃんが作ってくれた料理で嫌いなものはなかった。

特にイカの煮付けやさつまいもの天ぷらが大好きで、おばあちゃん家から帰るときにお土産で持たせてくれた。

旬のモノは食べるようにと、遊びに行くと季節の果物を必ず用意してくれた。

一緒に小麦粉で練った生地であんこを包み、おまんじゅうを作ったり、蒸しパンや揚げドーナツも作った。

車の運転は出来なかったが、自転車でどこまでも行ってしまうだったし、山登りや川遊びもたくさん行った。


器用な人ではなかったけど、何でも出来る人だった。


おばあちゃんが身体が悪くなり、施設に入って、入院して、回復してきていたが急に亡くなってしまった。


79歳。あと数日で80歳だった。


最期の方は口からの食事が出来ず、回復したら胃ろうにするかどうかというところだった。

おばあちゃんは食べることが大好きだったから、何か食べさせてあげたかったなぁ。

私は、おばあちゃん子だったと自他ともに認めている程なので、本当に信じられなくて、つらくて落ち込んだ。


でも、やっぱり「生きたいぞこりゃあ。」と思った。


きっと、私が80歳になったとしても、おばあちゃんのようにたくましい女性にはなれないと思う。

でも、近づきたいと思った。

自分の身の回りのことをきっちりこなして、粛々と生きていけるような、そんな心も身体も強い女性(ひと)になりたい。

今の私は、自分の身の回りのことすらちゃんと出来ないのでまずはそこから。


おばあちゃん、見守っていてね。


そして生活はつづく…




そして生活はつづくそして生活はつづくそして生活はつづ 

く…そして生活はつづくが裏テーマの本作。

読めばその意味がわかります笑

(感想というか、おばあちゃんとの思い出話になっちゃった。でも、書き直さずにこのまま残したいと思う。)



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