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天才が帰ってきた(2024.02.26)



・僕は出会ったときから彼女のその才能に対して苛立っていた。僕のバンドで彼女はベースを弾く。最初のころは、凡ボーカルが天才に引き立てられているという状況に苦しんだ。彼女こそがフロントマンを張るべきだったのだろうと思うこともある。


・そんな彼女がnoteを始めた。彼女は文章の才にも恵まれている。いよいよ僕はお役御免の無罪放免、日記を書くために入っていた拘留所からぼちぼち出所しなくてはいけない。荷物は少ない。拘留所で手に入れたもののすべてをかき集めても、ウエストポーチにすんなり入ってしまう大きさに留まるだろう。つまりこのまま僕は、素っ裸にウエストポーチを巻いたまぬけな格好で野に放たれることになる。寒いけど仕方がない。彼女の書く文章に比べたら、ぼくのは…ちんけなトイプードルのいびきみたいなものだから。


・自分の書いたもの、作ったものと誰かの作品を比べるのは極めてナンセンスだからやらない方がいいけれど、まあやっちゃう。自分には到底作れないようなすごいものを聴いたり読んだりしたとき、僕は口に出して「あーあ」と言って、目をちょっと下にやる。感嘆と諦めが6:4くらいの割合で入り混じった、どうしようもなく、そして生産性のない「あーあ」だ。この劣等感はたぶん一緒続いていくんだろうな。あーあ。


・今日は別の「あーあ(落胆:8 悲哀:2)」もあった。スプラトゥーンで10連敗くらいしてしまったことが本当に悲しくて、風呂にも入れず、パソコンを開くこともできず、結局眠れずスマホでこれを書いている。


・最近追加されたストーリーモードの「サイドオーダー」を2日間かけてやりつくした。なんかいろいろをすべてコンプしたということだ。だから今の自分は対戦しても最強なはずで、サイドオーダー仕様のセットアップを着込み、ブキだって主人公武器のオーダーマニューバーを手に入れた。「今ならやれる」という勘違いでつけあがり、意気揚々とXマッチに潜ってからしばらくすると、みるみるうちに体中の血液が凍っていくのを感じた。


・主人公気取りの雑魚、その烙印を自分に押したあとの試合は悲惨すぎて目も当てられない内容だったと思う。当たるはずの弾が空を切り、地面に力なくべちゃべちゃと落ちる。あれ…?と思っているうちにやられてリスポーン、あれ…?またリスポーン、その繰り返しだった。


・だから恥ずかしくなっていつもの服に着替えた。僕がまたオーダースーツに袖を通せるときはくるのだろうか。天才が帰ってきた今、僕は何を書くべきなのだろうか。


・僕は凡人らしくお昼にラーメンを食べました。とてもおいしかったのでびっくりしました。またいきたいです。


・また明日〜。


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