見出し画像

オッペ(しゃ)ンハイマー(2024.04.02)

・映画好きだと自称する人間は、みんな須らく1人も漏れることなく古今東西の老若男女から毛虫に至るまで全員が『オッペンハイマー』を"観なければならない"という責務に強く捉われていて、公開から3日目だというのに強迫観念からノイローゼを発症している人が少なくない。「ノーラン」「アカデミー賞」「待望の日本公開」のような必見要素がパンパンに詰まっている、絶対に外すことのできない1本だ。しかし"3時間"という上映時間や、原爆をつくり、そして落とすことについてという内容を前にすると、どうしたって腰が重くなる。


・僕もそんな人間のひとりだったけれど、昨日の夜中に、重い腰を上げるためのいいアイディアを思いついた。「おっぺしゃん」のラーメンと『オッペンハイマー』のチケットを一緒に写真に収め、「オッペ(しゃ)ンハイマー」というツイートをしたらおもしろいな…!



・この、たったひとつの素晴らしいアイディアに突き動かされ、僕はなんとか映画館へ足を運ぶことができたというわけ。何かものすごく気の進まないことをやらなければいけないとき、裏の目的を設定すると驚くほどスムーズに事が運ぶというわけ。ユーモアこそが人類の叡智であるというわけ。


・映画はよかった…けれど、僕が世界史や科学に疎いせいで字幕を追うのでいっぱいいっぱいになってしまい、映像や音のすごさに身を委ねきることができず不完全燃焼だった。話がわかった上で観たらまた違うと思うので、明日か明後日もう一度観に行くつもり。


・何年かぶりに食べたおっぺしゃんラーメンは記憶の中よりもずいぶん、いや、めちゃくちゃうまかった。脂っこさを気にしていたけれど、食べ始めたら罪悪感なんて感じる間もなかった。


・店から出ると、春の陽光に翳りが交じり始める時間で、さっきよりもくすんだ青空の下を湿った風が吹いている。枝を切られたみじめな桜の、弱々しくうなだれた枝先では蕾が開きかけていた。こんなに気持ちのいい淡い世界の中にいると、店の中では当たり前だった過度に油っこくて味の濃いラーメンが異常に思えてくる。たいらげた自分が、なんだか異物になってしまったような気がした。



・帰りしな、なんとなく散歩して高架下に怖い穴をみつけた。



・中はこんな感じ。覗いたら牢獄にしか見えなくて、背筋がひゅっとなった。向かって右側の壁には「べっちょ」という落書き。こういう場所への落書きって大概センスないよな。景観を損ない、後から訪れる人の「ひゅっ」となる気持ちを邪魔していることをきちんと自覚して反省してほしい。


・ではどんな落書きが適当か?「タスケテ」や「呪」なんかはちょっとやりすぎな感じがするな。想像力を掻き立てるような不気味な文字列…「子巣」とかどうだろう。なんとなく怖い。書いた人の持つ文脈が通用しないという点で、落書きはTwitterと一緒だな。読み手が都合のいいように勝手に解釈してしまう。その結果として



・「クソリプ」が生まれる。空目したのが嬉しくて買った。



・帰宅後、血糖値の上昇に耐え切れず少しだけ眠り、ずっとサボっている日記でも書くか…と思い至る。



・昨日設定したパソコンの壁紙のことを忘れていて不意打ちを食らった。「かわいい」と「おかしい」のダブルパンチだ。この画像については書きたいことが山ほどあるので、後日また触れることになるはず。


・また明日〜。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?