オトゥン

いくつかのレコード会社や、フリーでアーティストビジネスに携わった目線から音楽について気…

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いくつかのレコード会社や、フリーでアーティストビジネスに携わった目線から音楽について気ままに思ったことを書きます。ジャンルはクラシックから最新ポップスまで。ピアノなどの音楽教育についても書いていきます。現在はフリーでぽちぽちです。

最近の記事

アーティストビジネスの役割について考える (2)

今回も記事にアクセスしてくださりありがとうございます。 「アーティストビジネスの役割にについて考える(1)」の続きとして、早速次の仕事のエピソードに移ろうと思いましたが、前回のアイドルの仕事の説明があまりに概念的すぎていたので少し補足させていただきます。 求められる役割にフィットできなかったことは先述の通りですが、 では実際に自分がやった具体的な業務はなんだったか、少し触れます。 ⓪アーティストの再ブランディング(やろうとしただけ) ①ウェブニュースの作成と送付、掲載後の効

    • アーティストビジネスの役割について考える (1)

      この文章にアクセスしていただきありがとうございます。 もとレコード会社社員としてフリーに転身後、アーティストとの仕事を通じて経験したこと、主に失敗談から学ぶ今後の役に立つ考え方などを書いていきます。 実際にはこういったテーマの内容がどの程度世間の人の興味を引くものなのかわからないですが、1エピソードを出来るだけ短くして、少しずつのブロックで書いていきたいと思います。 一つ目のエピソードに入る前に筆者のレコード会社時代の略歴に少し触れさせてください。 新卒で日本の、特にドメ

      • 音楽の習い事で月謝を無駄にしないためのマインドセットを考察

        音楽の習い事において、どんなレッスンを求めますか? 熱い指導ゆえに厳しく叱られることもあり、時には涙してしまうような、でもその分努力に対する手応えをしっかり感じられる、緊張感あるレッスン。 生徒のペースに合わせたゆとりある指導で、前回のレッスンから進歩していなくても、今ある中から良いポイントを見出してくれる褒めて伸ばす型のレッスン。 結論、今の時代に選ばれるのは後者でしょう。 ただ、昭和生まれだと、少数ながら前者派もいるのではないでしょうか。 筆者の場合は年代も考え方

        • Number_iという神輿が日本のエンタメ界を活気づける

          元旦、「GOAT」がリリースがされてから、まだ4ヶ月ちょっとしか経過していないのか…と感じるほど、Number_iに始まり、早くもNumber_iで終わりそうな予感がする2024年。 説明する必要もないほどの破竹の所業を少しおさらいしつつ、Number_iが日本のエンタメシーンにもたらしているものなどに触れつつ、タッキープロデュースについて個人的な思いを馳せたいと思います。 まず最初に結論を言うと、Number_iの現在の功績の軸になっているのは「GOAT」という楽曲とM

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          日本でも注目集まる「Tiny Desk Concerts」の楽しみ方

           10日ほど前、「Tiny Desk Concerts」の日本版に藤井風が出演したというニュースを目にした。 実際にNHKで放送がなされたのはその数日前ということだったが、3月20日にYouTube公開された【tiny desk concerts JAPAN】藤井 風「満ちてゆく」〜は、すぐさま急上昇動画トップ10前後にランクイン。これをきっかけに「Tiny Desk Concerts」そのものを知ったという人も多いのではないかと推察する。 ただし日本版のYouTubeで

          日本でも注目集まる「Tiny Desk Concerts」の楽しみ方

          『理想の中年』という雑誌の編集スタッフが、全員20代だったら?

          『理想の中年』という雑誌の編集スタッフが、全員20代だったら?

          『さよならマエストロ』が面白い!”のだめ超え”を予感させる、特大クラシックエンタメ作品に期待

          先週末、日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』第二話目が放送されました。 前評判も上々で、一話目放送後から反響が大きかった本ドラマ。 キャストが豪華であったり、東京音大監修で本格的であったり、とにかくキャストが豪華であったり…と、予告の時点ですでに注目作。ホームドラマとしてのテクスチャも良好で、なんとなくヒットしそうな雰囲気に包まれていました。 第二話まで見進めたところで、このドラマに注目する理由は、まず三つ。 ・主演の西島秀俊×芦田愛菜のキャスティング

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          巷に溢れる美容情報から「自分だけの基準」を導くには

          今や、一億総美容インフルエンサーの時代。 お悩み解消テクニック、使用感レビュー、成分分析…と、日々SNSまわりでは美容情報が溢れている。筆者を含め、従来そこまで美容全般に興味がなかった生活者も大いに巻き込まれてるのではないでしょうか。 大昔…2000年代くらいまでは、美容情報って普通の記事もタイアップ広告もほぼほぼ雑誌に詰まっていたと記憶しています。特に女性誌の巻末には本誌と同じ厚みで広告が掲載されてるなんて割と普通でした。 今は出版社もハイブリッドになり、雑誌名を冠したY

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          『ナイゼリヤ』を求めて〜Familyで行く ナイスなサイゼリヤ探報〜

          世の中に美味しいお店は数あれど、ファミリーの求める要素を、異常にバランスよく満たしてくれるレストランがサイゼリヤの他にあるだろうか? 本稿は、そんな「サイゼリヤー」(サイゼリヤを偏愛するユーザー)が訪れた「ナイゼリヤ」(ナイスなサイゼリヤ)を不定期に紹介していく徒然なる手記である。 ・サイゼリヤ 日暮里東口店は絶景の◯◯ビューだった 12月某日。土曜の午前に 千駄木にて子供の習い事を終えて、母1名子供2名のパーティで臨む。 西日暮里の駅ほぼ真隣という好立地ではあるが、一

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          令和のポップシーンにもっと変態性ある音楽を!SSWアツキタケトモの魅力に迫っていたら「Habit」を思い出した件

          以下は、シンガーソングライター・アツキタケトモはもっと売れていいんじゃないか?という個人的な思いから書いた単純なガチレビューです。 アツキタケトモの初めて聴いた時の印象は、詩の世界観に昭和歌謡の影響を濃く受けつつ、打ち出しつつ、令和アーティストならではのライブラリーを生かしたサウンド、を両輪稼働させている佇まいだった。 こう手法だけ書くと、令和ポップスを一望する限りそこまで珍しいタイプではないと思われそうだが、肝心なのはその両輪稼働のハイクオリティさにあり、かなり変態的な仕

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          ピアニスト近代史(1)ピアノは俗世のものにあらず 意識高い習い事の時代 (~1990年代)

          イントロはこちら→https://note.com/otoon1142/n/n28730c720239 言うまでもなく、現在もピアノはもっともポピュラーな習い事の一つです。最近はリトミック人気もあり、「音楽教室」の方が主語になることも多いですが、子供に習わせたい楽器の第一選択肢としてなかなかその座を降りることのないピアノ。 90年代であっても2020年代であっても、「ピアノという習い事の需要」はあまり変化していないと思います。 ただ、ピアノの習い方や姿勢は確実に変化をしてい

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          今後の「とべばん」に期待するいくつかの些細なアップデート

          11/25に配信された「とべばん」を観ました。 旧ジャニーズ事務所を辞め新組織「TOBE」でスタートを切ったタレント/アーティストたちが、これまでメインのフィールドとしていたテレビではなくYouTubeで初っ端から大きなスポンサーをつけての特番。 それらが意味するもの=芸能業界と放送業界の夜明け。 この配信番組の影響力や意義については、最近公開されたYahooエキスパート・徳力基彦さんの記事をお読みになるとわかりやすいと思います。 ここでは「とべばん」を観た一視聴者として

          今後の「とべばん」に期待するいくつかの些細なアップデート

          AdoのFNS歌謡祭シルエット歌唱を観て思い馳せる、期待以上の期待への期待

          先ほどオンエアされた「2023 FNS歌謡祭」でAdoのシルエット歌唱をリアタイしました。 ちなみにこれについては先日配信されていたYahooでの徳力さんの記事(https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/1cacfc581ef5f379676001f2541355d154c4f798) に影響を受けたから、というのが理由として大きく。 記事内で言及されていた”「口パク」と「顔出しなし」はどちらがリアルか"というテーマがこれまでの自分の価

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          藤井風「花」MVを観て思う、曲に第二の命を与えるアーティストと監督のリレーション

          藤井風「花」については、コメントすることはないだろうと思っていました。 初めて聴いたのは確かドラマの放送開始タイミングでの、YouTubeトラック公開だったと思います。なんとなく、ドラマ合わせでざっくり作ったような、フワッとした楽曲だなあという印象でした。単純に自分の理解度が足りないせいかもしれませんが、「ファン以外にはスルーされそうな楽曲」という風に感じたのが、正直なところです。 そんな諸印象が180度書き換えられたのは、数日前、YouTubeでミュージックビデオを観た瞬間

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          落ちこぼれ音大卒が書く、独断と偏見のピアニスト近代史〜エピローグ〜

          『ピアニスト』についてのシリーズ記事をスタートします。 ここ数年、ピアニスト人気は毎年上昇傾向。角野隼斗さんのような新たなスターが現れ、YouTubeからは個性的なラインナップが続々と…… かつてのようにクラシック/ピアノジャンル、と分類して語るのでは物足りない、一つの注目エンターテインメントとして受け入れられていると感じています。 このムーブメントの原動力はどこにあるのだろうか? そこで、 エンターテインメントシーンにおけるピアニスト近代史 を紐解いていきたいと思います。

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          AIはaikoを超えられるのか?

          先日、NHK-FMでaikoの歌手活動25周年を記念して「今日は一日“aiko”三昧」という特番を放送していた。 その番組でOAされた数々のヒット曲を振り返りながら、aikoにずっと感じていた一つの印象が明確になった。 番組によると、aikoの歌唱には、aikoリズム、 aikoブレスと称されるほど独自性があるということで、非常に同感だなと思うと同時に、個人的には「aikoピッチ」が一番気になっていたことを思い出した。aikoの楽曲はサビで「行き切らない」印象があるのは何故

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