見出し画像

『シティーハンター』を初めて読んだけど、男尊女卑にトランス差別と相当ひどかった

北条司『シティーハンター』第5巻収録
第45話 哀愁のギャンブラーの巻

 たとえどんなに相手が女性としか認識できなくても、隠されていた男性器が露わになれば、それはおぞましく吐き気のする怪物でしかない。そういった価値観を、少年たちは社会からこうして叩き込まれ、そしてそのまま大人になっていったのです。


 というわけで、先日『シティーハンター』をキャンペーンで1巻から8巻まで初めて読んだのですが、男尊女卑やら何やらでかなりひどかったです。

 ちなみに、『シティーハンター』という漫画は連載の移籍があったみたいで、最初に単行本化したのはジャンプ・コミックスのようですが、私が読んだのは移籍後に発売されたゼノンコミックス版となります。一応確認してみたところ、ジャンプ・コミックス版にはゼノンコミックス版と違って「第◯話」のような各話のナンバリングが存在していないようですが、本記事ではゼノンコミックス版を基準とするので、その点はあらかじめご承知願います。

 1985年~1991年に週刊少年ジャンプにて連載された漫画で、その時代だからなのか、それとも今でもそう大して変わらないのかは、何とも言えないところですが、とにかく女性に対して「Hしたいか、したくないか」の男尊女卑的二択の判断ばかりなので、ひたすら疑問でした。

 主人公の冴羽獠は「大の女好き」と呼ぶには度が過ぎるだろうという色情魔であり、いくら作品がギャグとして扱ってるにしても、病院に行くべきレベルとなると笑うに笑えなくてやはりきつかったです。

 病院に行くべきレベルと言えば、『ドカ食いダイスキ! もちづきさん』も早急なレベルで危ないのですが、ぶっちゃけこっちは本人が早逝するだけなので、立ち会ってしまった人に後片付けの迷惑が1度かかるだけです。(どっちにしろ、多くの人間は最期に迷惑かけるものです。)

 しかし、冴羽獠の認知の歪みは性被害者を生み出す構造があり、多くの場合は常習性もあるので、洒落にならないものがあります。別の人間に被害があるものをギャグにしてしまうのは、やはり笑うに笑えないのです。

 もちろん、『シティーハンター』は1980年代後半あたりに連載された漫画であり、2020年代とは社会全体の考え方もかなり違うのは確かです。同時代の作品に目を通せば、他にも男尊女卑の強いものが多いのですから、『シティーハンター』だけの問題にするのも酷でしょう。

北条司『シティーハンター』第8巻収録
第78話 意外な黒幕!!の巻

 ちなみに「オカマ」という言葉の使用に関しては、他の漫画作品を見渡しても再販の際に修正されてたりそのままだったりと同じ出版社内の漫画でも対応がまちまちなので、おそらくは著者の意向で修正する・しないが決まることが多いのではないかと思います。とりあえず『シティーハンター』は上のように修正する気はないようです。


北条司『シティーハンター』第7巻収録
第62話 空とぶオシリ!の巻

 さてところで、私が読んだ範囲内で『シティーハンター』は女子高生以下は性の対象外という扱いで描かれていました。最初は。

北条司『シティーハンター』第7巻収録
第62話 空とぶオシリ!の巻

 ところが、どうしたことでしょう。「おっ! よく見たら女子高生も行けるやんけ!」と謎の開眼を果たした冴羽獠は女子高生相手にも興奮しまくりおじさんになってしまいました。連載時期にそういうブームでもあったのかよくわかりませんが、「最近は女子高生もイケる!」という回が『シティーハンター』に存在しているのは確かです。

北条司『シティーハンター』第7巻収録
第63話 とんでる博士!の巻

 女子高生の登校時間を狙って用のない電車に乗り込む成人男性。やばい、やばすぎます…。この漫画の展開、時代と言ってもいくらなんでもなあと思うことしきりです。


 以上のように、いろいろと書いてしまいましたが、絵が上手くてとにかく読みやすかったところは非常に良かったです。



この記事が参加している募集

マンガ感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?