卒制ログ日記-ep3

母の優柔不断な物選びに付き合わされることがよくあります。
今回はストール(?)の色についてどれがいいか相談を受け続けています。
女性らしい肌の白さを持っている母には柔らかい色味が似合うと昔から変わらず思っているので、「リラ」と表記された色のストールを勧めました。

「バイオレット、リラ、ラベンダー。どれも違う紫なんだね。」
と小首を傾げる母でした。

ep:3「花から見た色」にまつわる話

商品の色紹介や表現として何気なく使っている色の名前には、実在する花の名前であることがよくあります。
「紫」・「パープル」
と簡単に表記することもできますが、繊細な印象に名前をつけているのが色を色たらしめている所だと思います。

バイオレット、リラ、ラベンダー。
今回の買い物の中には3つの紫がありました。
スミレ、ライラック、ラベンダー。
どれも実在する花から付けられた色の名前になります。

小首を傾げていた母は「リラ」にはピンときていなかったようですが、ライラックと言う時もあると教えると3つの色が全て花の名前由来であることに納得がいったようでした。

私は花というか植物全般が好きです。
自身の名前を植物から受けているからか、なんとなく愛着があって。
ーー楓の紅葉する前の新緑も素敵だし、紅葉してからの鮮やかな赤やオレンジも素敵だから、いつまでも色があって素敵な人生を。ーー
ロマンチストな母らしい考え方でしたが、春生まれの私に秋の印象が強い名前をつけた理由が思ったより深みのあるもので感激した10歳の頃を思い出しました。
私の誕生日が4月で、楓の花が咲くのは3月〜4月なのでそういうことも考えていたのかなと思っていたら、見頃の時期どころか花が咲くことも知らなかった母はやはり直感で生きているなと思わされます。

そういえば植物由来で色に名前をつけるのは万国共通の観念なんだなと、大学に入ってから気がつきました。

人に色を伝える時は植物に例えてみることが便利なせいかもしれませんが、私は結構ロマンチックな事象にも思えます。ピンときていなかった「リラ」ことライラックは金木犀と同じグループにあるのでいい香りのする植物だし、スミレやもちろんラベンダーもそう。
色に香りという印象までつけられるんだろうな。共感覚と呼ばれるものも見た印象に匂いや音など感じ取った五感のほかの五感でも共鳴するような特殊な現象があります。
一連の優柔不断な母の会話に付き合っていたら段々と私の卒制も共感覚を扱ったものじゃないかと思い出して急に焦りが出てきました。

色と思い出と感覚と。
確かに繋がるものがあって、共感覚のようにカテゴライズされたものでは無いにせよ、程度は違えど、皆が持ち合わせる感覚だろうなと。そんなふうに刺さる作品を作りたいと思っていた卒制の構想段階を思い出せたところでなんだか懐かしい気持ちになりました。
では、おやすみなさい。

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