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燃え尽きウェルネスに終止符を



□ウェルネスじゃないウェルネス業界


先日、施術にいらした方で、
主訴をお伺いすると、
「痩せたいんです。」
とおっしゃっていました。

「どうして痩せたいのですか?」
と聞くと、
「ヨガインストラクターなのですが、
痩せないとピラティスのレッスンなど、
担当させてもらえないんです。」

と、顔を曇らせてお話していました。


「そんな方針を掲げている会社は
そもそも本来のヨガの考え方とは
かけ離れているんですから、お辞めになって、自分自身でヨガを伝えるお仕事を
始めるとかしてみてはどうですか?」と
冗談混じりに言ったら、
パァッと明るい表情をして、笑っていました。

冗談とはいえ、
わたしは結構本気で言いましたが。


自分が今の重さで快適ではないのなら
生活や意識、なにかしらを
変える必要があります。

しかし本来、食べたいものを食べ、
動きたいときに動く、
身体の要求にしたがっていたら
おのずと快適な重さにもなります。
ありのまま生きて命が輝くことが
あなた本来の美しさです。

そんな身心を育てることが、
そもそもヨガの醍醐味だと思うのですが、
その会社は、そういったインストラクターを
育成する気がないのかもしれません。

そんな会社のために働き、
利益をあげて貢献する、ひとの良い人がいては、そういう会社がなくなりません。


□なぜセラピストは疲れるのか?


整体教室にも、施術にも、
セラピストや整体師などの方が
お見えになることが、
実はとても多いです。

どのような施術内容かによって
大きく変わってはいきますが、
ウェルネス業界の多くは肉体労働です。

自分より大きな身体の人の手足を抱えたり
いわゆる「強揉み」希望に応えて腕力で押す。

それでは腱鞘炎になったり、
からだの一部に負担がかかるのも
無理はありません。


また、施術の際に、
施術用ベッドを使用する方も多いと思いますが、そのベッドのサイズ、
ご自身の身の丈に合ったサイズでしょうか?
 

高すぎる、低すぎる姿勢であったり、
幅が広すぎて無理がかかる姿勢になって
負荷がかかっていないか、
チェックしてみて下さい。

ベッドが一概に悪い、
というわけではないのですが、
ベッドの高さ調整ができないのであれば、
自分の立ち位置や、姿勢が最適かを
ていねいに見直すこと
も大切です。


自分自身が楽な姿勢を身につけると、
機能的でかつ綺麗な所作に自然となり、
からだを痛めることを防ぐことにも繋がります。


□ニュートラルを知る観察眼

野口整体では、
知識や手技はもちろん大切ではありますが、
一番重要なのは、観察眼です。

受け手が今、
どのくらいニュートラルな状態から
離れているかを見極める力
です。

そのためには、自分が常に
ニュートラルな状態を知っていなければ、
人の身体を測ることなんて出来ません。


自身の感覚、メモリが
毎回狂ってしまう定規では
使いものになりません。

測りやキッチンスケールって
収納するときなんかに
常に上にモノを置いていると
常に重さを感じ続けていることで
測りの感度が狂って正常な重さを
測ることが出来なくなってくる
んです。

人間の身体も同じです。
常に重み、疲れにさらされていると、
自分のニュートラルな状態を少しずつ
忘れていきます。


道具を長く保つために手入れをする。
自分が快適な人生を歩むために手入れをする。
人間も同じです。

セラピストはその人がいま、
どのくらいニュートラルな状態からかけ離れているかを測れなければなりません。

そのために、自分が正常な測りであれるよう
すこやかでニュートラルである必要があります。


□ニュートラルを取り戻す方法

セラピストの方で、
人の身体を癒すことは出来るけど、
自分では出来ない、自分の疲れは
よく分からない。
と仰る方は、けっこういらっしゃいます。

触らずとも、
ある種の自律訓練法のひとつで、
呼吸を巡らせながら意識を集中することで
自分の余計な力みに気づいて解いたり
偏り疲労がどこにあるかを探ることができます。

また、自身の動きや感触で
たしかめる方法も沢山あります。

◎お腹の腹圧は、みぞおちがやわらかく、
         丹田はパンと張りがあるか
◎ひねる動きはスムーズか
◎呼吸と共に、頭、胸、お腹、骨盤など全身にうきしずみがあるか
◎足の水掻きはやわらかいか
◎頭皮はほどよくやわらかいか
◎手首の可動域はどのくらいあるか
◎脇下リンパの厚みはどのくらいあるか

....などなど。

施術の際に、人の身体を観察しながら
触れてチェックしていることですが、
そのほとんどが自分自身でもできることです。


ただし、
文章で書いたところで、結局
「どのくらいのやわらかさを、
やわらかい状態とみなすのか?」を
文章だけでは分からない
と思います。

やはり直接すこやかな人に触れる経験を積み、その感触を手に覚えさせることが重要です。


わたしの呼吸で
お腹がどのように動いているか
触って確認して頂いています。

また、実は人の身体に触れる前から
観察ははじまっています。

◎扉を開けて入室する際の所作
◎話す声の大きさ、スピード
◎表情、視線
◎荷物を置く動作
◎歩き方、足音

....などを観ていても、
骨盤の締まり具合や頭、目の疲れ、など
ある程度分かります。


会場にパッと入ってきた時から
観察は始まります。

言葉で語るよりも、
その人自身の何気ない行動に
『その人自身』がすでに表れています。


□自分の身を守る術を楽しんで学ぶ


いかがでしたでしょうか。

セラピストや整体師の方が、
せっかく好きで始めたのであろう仕事で
からだや心をすり減らし
燃えつきたような顔で退職していく
という様子を何度も目にしてきました。

また、セラピストの仕事現場も、
老老介護のような、
疲れた人が疲れた人をみるなんていう構図には
終止符をうちましょう。

自分でどこでも自分の身体をケア出来るって、
当たり前のことであり、
とっても心強いことでもあります。

お気に入りの道具や楽器を手入れするように、
自分のからだを愉しく手入れする。
そんな術を真摯に学び、
痛めないからだを育てていきましょう。

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