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コロナ禍の遠隔介護 テルコさん(母 89歳)の【カクトク】

母、テルコさんは、介護度4で、レビー小体型認知症です。

これだけ聞くとあまり、希望もない話なのですが、
私たち家族の間では【不死鳥のテルコさん】と呼ばれる不思議なヒトであります。

5年ほど前に交通事故にあい、かなりの重症で手術。
そこから寝たきりになり、これで、もう家には帰れないな、と家族も覚悟しました。


が、

『うちに帰りたい』の一心で、リハビリもがんばり、半年後には家に帰ってきました。

家に帰れたのはよかったのですが、庭でよく転げてそのまま救急車で運ばれることも何回か。


転んで寝たりきりになる、は高齢者のある意味パターンなので、その度に『もううちに帰れないカモ😢』と覚悟するのですが、
2週間くらいしたら、何もなかったように家に帰ってこれるのです。

その度に、かわいい詫び状も書いたりする、レビー小体型認知症。


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その後、老老介護の崩壊で、テルコさんは避難入院をします。

そこでは、家に帰りたい気持ちがあふれてくるのと、レビー小隊型の症状、薬の副作用もあり、錯乱、噛みつきあり、暴言と言う認知症の症状が強くでました。

まさしく、家族がみたくない、人格の変わったテルコさんがそこにいたのです。

つらかったな。本人も家族も。

入院中に施設を探し、なんとか施設に入ったものの、食事がとれず、2ヶ月で10キロ痩せました。ちょうどコロナ社会になり、家族にも会えず、施設のスタッフの方々といろんな対策を何度も話しましたが、なかなか、うまくはいきませんでした。

そんなテルコさんに、何かできないか、と家族でやったのは、『回想法』です。

 認知症の方は、最近の記憶を保つことは困難ですが、昔の記憶は保持されているそうです。だから、昔のことを思い出すように言葉にしたり、何か見せたりして、刺激を与えると、脳が活性化し、活動性・自発性・集中力も増してくる、と言うお話。ご存知の方も多いかも。

うちが、回想法で特に使ったのは、昔の写真です。

イチローさん(父 88歳)は、『回想法』を知る前から、たぶん、経験でわかるのかな?なんとなく、昔の写真をテルコさんに見せながら、コミュニケーションをとっていました。

母の昔の写真集を作ったり、施設の母の部屋の模様替えに、昔の写真を貼っていました。

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わたしも、お見舞いに行けない中で、昔の写真を貼ったハガキを送っていました。

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そんな回想法の刺激の中で、『不死鳥のテルコさん』は、本当に少しずつ、少しずつ、本当に少しずつですか、変わっていきます。

・わたしからのハガキをオムツの中に入れ、大切なものアピールを施設のス タッフさんした。

・イチローさんかお見舞いに来たら『さあ、手をつなぎましょう』と手をさしだしてきた。

・誰にでも『ありがとうなあ』『すみませなあ』と言う。

オトハル  の認知症のプロ友 内門大丈先生(湘南いなほクリニック)にこの話をしたら、『お母さんは、"カクトク"したんだね』と言われました。

カクトク?

認知症は、『何も覚えられないヒト』「何もできないヒト』と思い込まれているけれども、認知症になってもすべてが壊れていくのでなく、何かをカクトクすることは、あるんですよ。

そうかあ、そうかあ、テルコさんは、今もカクトクしてるんだ。

親が認知症になるということは、自分もそうなるのではないかと言う恐れをどうしても感じてしまうものです。

が、それよりもたとえ認知症でも、小さなカクトクをし続けることもあるんだ、と言うことを教えてくれた【不死鳥のテルコさん】。その遺伝子が私にも入ってるぞ、とちょっぴりほくそ笑んだりしています。

それも、この5年のいろんな介護葛藤のご褒美のような気がします。


追伸

後日、イチローさんは、テルコさんに『ムスメのお婿さん、こんにちは!』と言われ、落ち込んでいました😅

40代50代のココロとカラダと暮らしの変化を応援する、みよしの活動オトナ思春期をデザインするプロジェクト(オトハル)では、この時期のサポーターをプロ友と呼んでいます。










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