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光る君へ 第七回 「おかしきことこそ」


※敬称略

はじめに

前回の最後、花山帝の最愛の人が亡くなり、宮中には盗賊団が忍び込み、更にまひろ(吉高由里子)の元には道長(柄本佑)からのラブレターと思しき文が届きました。
今回はどんなお話になるのでしょう?
今回も楽しみです。

女御忯子よしこの崩御

懐妊中だった、花山帝(本郷奏多)の最愛の妻であった、弘徽殿の女御こと忯子(井上咲楽)がお腹の子と共に亡くなる。
この時代、死は穢れけがれとされ、帝であっても忯子の遺体に面会することは許されず。
最愛の人を亡くした帝は、悲しみの余り寝込んでしまう程で、その傍らには初夜の時にねやの中で、忯子の手を縛ったあの紐が、彼女の形見として握られている。

直秀達盗賊団は義賊か? 

深夜、内裏で盗みを働いた盗賊団たち。
人目を盗んで河原に赴き、盗んだ高価な品物を置いて姿を消す。
草むらから現れた庶民たち。
盗賊団の裏の顔は、ねずみ小僧のようなものなのだろうか?
直秀(毎熊克哉)の左腕の傷は発熱してしまう程重傷で、跡として残りそうだ。
矢を放った道長の手には、相手に刺さった時の感覚が残っている。
同僚からは「お見事でした」と言われるけれど、本音では納得できていなさそうな様子。

「おかしきことこそ」

縁側で独り考えをめぐらすまひろ。
考えている内容は道長の事ではない。
「おかしきことこそ」と呟くまひろ。
ふと、代筆業の時に世話になった絵師(三遊亭小遊三)の事を思い出す。
「笑って、(日々の暮らしの)辛さを忘れたくて、辻に集まるんだ」と言う直秀の台詞セリフも。
「下々の世界では、おかしきことこそ、めでたけれ」
ふと、以前絵師が描いた、キツネと猿の絵を思い出すまひろ。
散楽のネタを思いついたか。それとも。

呪いに怯える兼家

東三条殿(右大臣家)。
陰陽師安倍晴明あべのはるあきら(ユースケ・サンタマリア)は右大臣兼家(段田安則)に呼ばれる。
「腹の子を呪詛じゅそせよとは言うたが、女御様のお命まで奪えとは言うておらぬ。やり過ぎだ」
「そうでしょうか」晴明の返答。「腹の子と共に女御様が亡くなれば、帝はまつりごとを投げ出すか、または他の女子にうつつを抜かすか。どちらにしても、右大臣様には吉と出ましょう。この国にとっても吉兆でございます」
果たして、兼家はそこまで想定していなかったのだろうか。
「政をなすは人。安倍晴明の仕事は、政をなす人の命運をも操ります」
父と晴明のやり取りを耳にする道長は、思わず足を止める。
「父が失礼なことを言うたようですな」
「私は、お父上とのこういうやり取りが、楽しくてならないのです」
晴明は、道長の事を一体どのように思ったのだろうか、気になる。

夜。
道綱ママこと寧子やすこ(財前直見)のところで休んでいた兼家だったが、悪夢にさいなまれて夜中に目を覚ましてしまう。
飛び起き、怖がって寧子にすがりつく兼家。
まるで幼子の様で、東三条殿にいる時とは様子が違う。
しれっと道綱の事を兼家に話す寧子。計算高いのか、それとも嫡妻ではない故か。

まひろ、散楽の脚本を書く

散楽団員の練習場。
左腕に矢傷を負った直秀はしょんぼりしている。
まひろはキツネに騙されるサルたちのお話を考えて来たと言う。
団員たちの顔つきが変わる。
サルは右大臣家の一族、神のふりをしているキツネに「福をくれ」とすり寄る。

後日。
辻で、散楽が始まる。
キツネ役は直秀。
キツネに騙され、馬糞に見立てた砂袋を頭に乗せる猿役の団員達。
(ラフマニノフのピアノ協奏曲によく似たメロディが流れる)
やがて、辻には散楽を観に来た人々が集まりだす。

散楽で虚構の物語を描いたまひろ。
後年、『源氏物語』を書く彼女の原点は、このようなところにあったと、この大河ドラマの中では暗示しているようだった。

政を放置する花山帝、孤立する義懐

愛妻を失った花山帝は、以前のように政治に積極参加をすることはなく、寝所で寝込みがちになっていた。
政は叔父の義懐に任せっきり。
傍には為時が控えているが、内心義懐を快く思っていない。
それでも、花山帝が信用できるのは根っからの研究者肌で政治下手の為時か、義懐のどちらかしかいない。
陣定じんのさだめ(平安期摂関家の朝議の一つ)の席で、位を気にせず亡き女御忯子を皇后の位に据えるべく意見を出すが、明らかに孤立している。

今日の実資さねすけさん

ここで、実資さん(秋山竜次)が2週間ぶりに登場。
自宅の庭で、蹴鞠けまりの練習中。
練習をしながら、義懐の昇進や除目じもくに対する愚痴を漏らしているが、縁側で双六をする妻桐子きりこ(中島亜梨沙)に「無念だけどくどい。もう聞き飽きたから、日記に書きなさいよ」と呆れられてしまう。
「日記には書かん! 書くにも値しない。下らん!」
その日記とは、恐らく『小右記しょうゆうき』のことか。

道兼みちかねを思いやる兄道隆みちたか

夜。
右大臣家嫡男道隆(井浦新)と、弟道兼(玉置怜央)が晩酌している。
「それよりお前、父上に無理をさせられて、疲れておらぬか?」
「お前は気が回る。その分父上に良い様に使われてしまう」
何も言えない道兼。涙を堪えている。
「私は分かっておる故、お前を置いてはゆかぬ」
泣き崩れる道兼。
良かったね。意外に身近に、理解者がいた。
(様子を見に来た貴子たかこサマ(板谷由夏)は状況を把握してそっと退室)

モヤモヤを抱える若君達

学びの場。中庭で投壺とうこ(投げ矢遊びの事)をしている若君達。
若くして亡くなった女御忯子の事を兄斉信ただのぶ(金田哲)が話す。
入内じゅだいさえしなければ、あんなに若くして亡くなることなどなかったのに」
「父上も俺も反対したんだ。でも義懐に説得されて・・・」
道長は矢を投げながら、「俺は入内は女子を決して幸せにしないと信じている」と呟く。
恐らく、道長の脳裏には、仲の良い姉詮子あきこ(吉田羊)の事があるのだろう。
「しけた話ばかりしても、忯子は浮かばれぬ。気晴らしに打毬だきゅうでもやるか!」

道長、もしかしてフラれた?

帰り道。
道長は馬上にある。付き従う従者の百舌鳥彦もずひこ(本多力)。
「ずいぶん前の事ですけど、あのう、まひろ様にお届けした文、
あれは要するにダメだったんでございますか?」

そっかー。
まひろは、道長からの文を受け取った時に抱きしめていたけれど、
まだ返事を書いていなかったのか。
まさか、道長フラれたのだろうか?
仮に思いが叶ったとしても、まひろの立場では「北の方」つまり正妻の座は叶うまい。良くて側室の一人とか。
いやはや。
「もうよい、振られた!」

道長の傍を、東三条殿の武者(この場合は警護担当者か)達が駆けて行く。
足元は草鞋わらじではなく、素足。
道長が邸に戻ると、武者達は東三条殿の批判が過ぎる散楽を取り締まる為に出て行ったと判明。
「何故止めないのだ!」家司けいしに雷を落とす道長。
大変だ、直秀達散楽の団員やまひろの身が危ない…!

「やめろ! 道長である!」

都のどこかの辻。
散楽(風刺劇)を観て笑っている町の人々。
とそこへ、東三条殿の武者達が駆けこんでくる。
乱闘。
更には検非違使けびいし達がなだれ込んできて、まひろの従者乙丸おとまる(矢部太郎)がまひろを庇って殴られ、大の字に倒れてしまう。
乙丸自身は乱闘騒ぎは得意じゃなさそうだ。
そこへ、馬に乗った道長が颯爽と登場するけれど、そこは江戸時代の時代劇じゃないのでそのままケンカとチャンバラにはならない。
道長はまひろを見付け、彼女の手を引いてどこかのあばら家へ。

「私は、皆にただ笑って欲しかったの」

まひろは悔しそうだ。
だって、ただ純粋に、貧しく日々の暮らしに悩む町の人々に、自分が作った風刺劇を観てもらって笑って欲しかっただけなのだろう。
「俺も観たかったな」
道長にそう言われてハッとするまひろ。
見つめあう二人。。。だが、邪魔が入る。

「邪魔しちゃった」

乙丸と直秀だった。
乙丸の手には、貴族の女性が被る市女笠。
「帰りましょう」
直秀は、道長の従者(百舌鳥彦のことだろう)が無事であることを伝え、
東三条殿の警護担当が乱暴を働いたことを詫びる。
直秀「お前の一族は下の下だな」
道長「全くだ」

何となくだが、道長と直秀の間には、身分を超えた友情らしき感情が、
少しずつ見え隠れしている。
この二人の関係、このまま続くと良いなあ。

為時パパ、右大臣家から距離を置く

東三条殿の庭。
ニワトリに餌をやる兼家に対し、花山帝の様子を報告する為時。
(緑色の衣装なので勤務の帰り道か)
「申し訳ございません、帝のご様子を申し上げることが、苦しくなりました」
「これ以上、帝を偽り続けることは、どうか、お許し下さいませ」
「もうよい。これまでと致そう」

帰宅後。
宣孝が為時の家に来ている。まひろもいる。
「喜べ、父は兼家様の間者を辞めるぞ」
宣孝「分からぬな…右大臣様は一度掴んだ手をそうあっさりと手放すとは思えぬ」
まひろ「私も、右大臣様から離れられて良かったと思います」
「黙れ! 次の帝は右大臣様の御孫君だぞ」
前から思っていたけれど、為時まひろ父娘おやこは学問は得意であるものの、どうやら世渡りと言うか社内政治は苦手らしい。
そうなんだよね。兼家の元を離れる=無職になっても構わないという事なのだよ。

打毬への招待

ある日の、土御門殿。倫子姫のサロン。
若君sからの、打毬の試合への招待状が届いている。
まひろは行く気にはなれないが、他のメンバーがその気になっており、
先生役の赤染衛門あかぞめえもん(凰稀かなめ)やまひろも誘われる。
ちらっと登場する猫の小麻呂くんが今日も可愛らしい。

試合当日。
若君達の控室。
メンバーだったはずの藤原行成ふじわらのゆきなり(渡辺大知)が急な腹痛で欠席してしまう。
会場で、続々と席に座る貴族達や人々。
倫子姫の傍らには小麻呂くん。
倫子姫のとなりにはききょう(ファーストサマーウイカ)が!
衛門もききょうも会えたのが嬉しそう。

そして、百舌鳥彦に呼ばれた直秀が、ピンチヒッターとして参加することに。名目上、道長の腹違いの弟という設定。
観に来るつもりがなかったまひろも、遅れて観戦席にやって来る。
メンバーに道長と直秀がいるのに気づき、下を向くまひろ。
ちょっと気まずいのか。

馬に乗り簡単そうに試合をする若君達だけど、これは本当に練習が大変そうだ。
そして、ちらちらと道長にめをやる倫子様・・・まさかの、一目惚れ?!

「雨夜の品定め」再び

試合終了後、雨が降り出す。
雷の音に驚いた猫の小麻呂が逃げ出し、まひろは小麻呂を追いかけて若君達の控室のそばへ。
若君達の台詞に愕然とするまひろ。
「あれは地味だ」「為時の娘みたいに、邪魔にならないのがいいんだぞ」
「俺たちにとって大事なのは愛とか恋とかじゃないんだ。良い所の姫の婿に入って女子を作って入内させて家の繁栄を守り次の代に繋ぐ」
ショックの余り、大雨の中走り去るまひろ。
直秀は汗を拭きながら、その様子に気付く。
あーあ。やってはいけないことを、口にしてしまった。
そして、道長は、直秀の左腕の傷跡に気付く。
まさか。まさかの、まさか。
(そう言えば、逃げた小麻呂はどこへ行った?)

一目散に帰宅したまひろは、自宅で道長から届いた文を焼き捨てる。
その眼には涙が光っている。

道長は、最後の最後で言ってはいけないことを口にした。
いくら恋文をもらっても、それではまひろからの信用は崩れてしまうに相違ない。

そして、次回は何と兼家が倒れてしまう。
猫の小麻呂くんが猫風邪引いていなきゃいいけど。
4700字ほど書いてしまいましたが、今回も初回視聴時は体感秒でした。
次回も楽しみです。

(第八回に続く)












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