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2024年の介護報酬改定:ケアマネの報酬と業務の変化、そしてケアマネ不足と冷遇・便利屋状態の問題

2024年の介護報酬改定は、居宅ケアマネジャーにとって重要な転換点となりそうです。最近の介護給付費分科会で示された新しい処遇改善加算の考え方によると、算定対象事業の拡大方針は示されていません。これにより、居宅ケアマネは引き続き処遇改善の恩恵から外れる可能性が高いです。実際にこれまでも処遇改善については介護職員を中心にして行われてきておりケアマネージャーは対象外でした。

おそらく、厚生労働省の統計によると勤続2年以上の労働者の平均年収としてケアマネの給与が介護職員に比べると高くなっているということが影響してきたのではないかと思います。

引用:2021年 介護の職種別 平均年収ランキング 介護職・ケアマネ・相談員・看護・リハビリ

しかし、この状況は、居宅ケアマネの給与レベルが介護事業における最下層になる恐れがあることを意味します。さらに、これによって新たな居宅ケアマネの成り手が現れないことも懸念されています。

2024年の介護報酬改定に向けた介護給付費分科会の資料では、ケアマネジャーの人材不足が非常に厳しい状況にあることが明記されており、ケアマネジャーが魅力ある職種であり続けるためには、全国的にケアマネジャーの育成確保、処遇改善、経営の安定の両立が求められています。

しかしながら、提案されている逓減性の更なる緩和は、実際にはケアマネの待遇改善にほとんど効果がないと言えます。逓減制の再緩和により、ケアマネはより多くのケースを担当する必要がありますが、これは業務負担の増加という形でしか待遇改善がなされない可能性が高いです。さらに、ICTを活用しても業務軽減に結びつかないという意見や、ケアマネジメントの質の維持が難しいという理由で、担当件数を増やすことができないケアマネが多いとされています。

このような状況を踏まえると、居宅ケアマネの成り手を確保するためには、処遇改善加算の配分事業所を拡大するか、居宅介護支援費の基本サービス費の大幅な引き上げが必要とされています。
2024年の介護報酬改定は、ケアマネの報酬や業務の変化、そしてケアマネ不足の問題に大きな影響を与えることが予想されます。

さらにそれだけでなくケアマネージャーの仕事は運営基準で定められている範囲を超え、民生委員の仕事に近いぐらいの柔軟性と社会奉仕を求められています。

社会資源の活用や地域のつなぎ役のような役割まで全てケアマネージャーに押し付けようとしています。

またケアマネージャー自身の権利がままならない状態で利用者の尊厳や権利を守り、利用者本位を優先に動くことも求められています。

この介護報酬改定では、改めてケアマネに求める内容をあれもこれもと詰め込まないで最低限やらなくちゃいけないことをはっきりとさせること、さらにケアマネが今までボランティアでやってきたことを他の職種にもケアマネの仕事ではないということを示すことが重要だと思います。

業務負担軽減などを掲げながら理想ばかりを追い、余計な仕事を国や自治体、他の介護保険事業者も暗黙の了解のようにケアマネージャーに押し付けていく今の風潮は良くないので何とか変えていきたいと思うところです。
またそのような便利に利用できるような人が必要な状況であることが徐々に明確になってきているので便利屋さんや有料の付き添い相談サポートなど民間の事業を発展させることも必要だと感じます。

ケアマネが便利屋をやってもいいかもしれないですね。無料で奉仕していたものも便利屋として提供すれば有償ですし、そういう介護保険と自費サービスを組み合わせることでケアマネージャーの価値も高まりますし、議論が最近止まってしまった混合介護(介護保険サービスと保険外サービス)のこともはっきりと明確にやってよいとグレーゾーンなく示してほしいですね。


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