巡る季節
過ごしやすい気候になった。
近所の公園では
銀杏が道に落ち始めている。
子が臭い臭いと
文句を言いながら避けて歩くが、
じきに避けることすら不可能なほど
道に広がるのが恒例だ。
過ごしやすくとも
ちょっと歩いて体が温まってくると
汗が流れてくる。
花が散り、実がなった木もあるが
夏の盛りからずっと百日紅は咲き続けている。
月が変わり、
また今夜は中秋の名月とのこと。
夏の名残と秋の訪れが
同時に楽しめる季節に月を愛でるのも
風情があっていい。
しかし我が家の窓の外は
春からずっと木々が生い茂り
見上げても空を見ることは困難だ。
やがて落ち葉の季節がやってくる。
季節が巡ることを知っているから
人を切ない気持ちにさせ、
しかしどこか心地よいあの季節を
今か今かと待っている。
いつも次の季節を想っている。
本来はその時を
じっくり味わうべきなのだろうか。
しかし次には必ず
素敵なことが待っていると
憧れてやまない。
思えば成長過程でもそうだった。
小学校では上級生を、
小学校最高学年では中学生を、
中学生では高校生を
そんな風に次のステージに
憧れて成長してきたのだが、
大人になってそうした気持ちも
少し薄れてしまった。
でも私は
季節が巡ることを知っているから
人を奮い立たせ、
がむしゃらに走り出してしまう瞬間を
今か今かと待っている。
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