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【三姉妹】「豆乳の本当の飲み方を知ってるか?」姉の言葉の十年越しの真実を知った日。

皆さんこんにちは。先日、あまりにも家から出ない自分に危機感を覚え、オンライン伝書鳩に乗せて呟いたところ、外界へと赴け。との指令が多数入ったので、外の空気を吸いに近くの公園へ行きました。すると少し気分が良くなったので、帰り道、コンビニで”豆乳”と言う、女子力回復ドリンクを手に入れました。(因みにチョコラBBは更にグレードの高いものとなります。)

今の私の代名詞は、アラサー、オッサン系、ネオ無職、劇団主宰の中川ミコです。

そんなこんなで、今日はTwitter140文字で呟ける情報を、あえてnoteに記してみようと思います。

しかも今日は、ただただ自分の知っている、割とどうでもいい情報を教えてあげたい。そんな近所のおばさん気分で、同じく女子力回復ドリンク飲んでる皆さんに、届けたい情報です。

この記事が面白いかどうか、為になるかどうかはわかりません。

ですが、この記事を読んでくれたあなたが、「本当だ・・・」となってくれたなら、それは美味しく召し上がっていただけたと言う事で。

素敵な時間を

微かなノスタルジーを添えて

お過ごしください。

では、始めていきましょう。



「ミコ、これの本当の飲み方知ってる?」



そう言われた私は、内心生唾を飲んだ。

一番上の姉が二階から降りてくると、冷蔵庫から冷えた豆乳のパックを取り出し、ダイニングテーブルに座っている私に、おもむろにこう言ったのだ。

「知らない。」

私はポツリと呟いた。

私は基本的に家ではあまりしゃべらない性格で、低燃費モードと言うか、身内にはとことん身内の反応をする、そんな末っ子三女だった。だからこの時も「え、何それ?!気になる~!」と言うような好奇心を感知するアンテナは完全に羽を休めていた。

けど、だからって、全く気にならなかったわけじゃない。

寧ろその一言で私のアンテナは一気に立ち上がり、

もしここで姉が「え~そんな反応するなら教えてあげな~い」とか言ってきたら、「ちょ、待てや。性格悪いぞ。」って即答してるくらい、私の頭はどんどんと興味で埋め尽くされていった。

豆乳の本当の飲み方って何だ?

嘘の飲み方があるってこと?

私は今まで偽りの飲み方をしてきたってことなのか?

この豆乳をもっとおいしく飲む方法があるなんて、私は知らない・・・

あれかな。パンケーキを作る時、牛乳の代わりに豆乳を入れるとか、はたまたスターバックスでSOYMILK的な女子力向上カスタマイズをして何かが劇的に美味しくなるとか?

いや違う!きっとそんなんじゃない。

だってそんな事なら私にだって容易に想像が付くわけだから、そんなわけない。

姉は確かにこう言ったのだ。

「ミコ、これの本当の飲み方知ってる?」

つまり、それは、私が今まで知り得なかった、本当の飲み方があるってことだ。気になる。私の知らない豆乳の本当の飲み方!!

姉よ、それ、私にも教えてくれないか。

そんな気持ちを、わずか30度の角度で示すかのように、私は姉に向き直った。

するとそれを察知した姉が再び口を開き、私にこう聞いたのだ。




ミコは豆乳を注ぐとき、どうやって入れる?





私は質問の糸もわからず、ただただ姉を見つめた。

姉は続けた。


「多分みんなこうやって、注ぎ口が近い方を下にして入れると思うのね。でもそうするとめちゃくちゃはねるでしょ?これの本当の飲み方はね、こうやって、注ぎ口の遠い方を下にして、傾けて入れるの。そうすると絶対にはねない。」


姉は私にそう言うと、その場で実践してくれた。


つまり姉が言っているのはこういう事だった。

通常、注ぎ口が下の場合はこう。


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だけど、本当の飲み方はこう。

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一見、画像だとどちらも同じように見えるので、ここは私のTwitterをジャックして、動画でその違いをお見せしようと思う。140文字で呟けることをあえて文字にせず、動画を貼ると言う奇行。万歳。

コチラが通常のパターンと、続いて本当の飲み方だ。

ご覧いただけただろうか。通常パターンで注いだ豆乳は激しく波打ち、見事私の家の床を汚している。

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そしてあの日、姉はそれだけ言うと、パックを冷蔵庫に戻し、マグカップに入った豆乳と共に二階へと戻っていった。


再びダイニングテーブルに一人になった私は、突然二階から舞い降りた宣教師に、自分の想像とは遥かに違った教えを受け、戸惑った。


ぶっちゃけ一生知っていても知らなくてもいい情報だった。


私は回顧する。そうだ、幼い頃私は、自分よりなんでもできる姉が羨ましくて、何でも姉と同じが良かった。【家族の成長日記】と名付けられた極端に自分の出番が少ないホームビデオには、姉の誕生日が記録されていて、その中には、戸棚の少し高い所にあるお皿が取れず「ミコも―、ミコも―」とギャン泣きしている豆粒のような私の姿が映し出されてた。

でもそんな当たり前の日常を、ビデオの中の家族は誰も気にしない。

恐ろしい程、全く気にしてない。

華麗なるスルースキルでビデオを撮り続け、楽しそうに誕生日会を続行していた。


何故だろう。こんな昔の記憶を思い出すなんて。


ふっと現実に戻ってきた私は、今しがた姉の片した豆乳パックを冷蔵庫から取り出し、いつも通りコップに注いだ。


案の定、めっちゃはねた。


そしてゆっくりとパックを回転させて、再びコップに注ぎこむ。

私はポツリと呟く。



「本当だ。」



姉がこの話を覚えているかわかりません。だけど豆乳パックの側面には正しい注ぎ方なんてハウトゥーは一切書き込まれていませんでした。姉は一体何をもって本当の飲み方と言ったのか、その情報をどこで知ったのか、私には皆目見当もつきません。が、もし独学だとしたら・・・

私、皆に教えちゃったよ。

でもきっと今ならネットで検索すればそんなの簡単に出てくると思います。でも私は調べない。だって、そこに書いてあるって言う、つまらない結果でこの話を終わらせたくないから。

私は今でも豆乳を飲む時、毎回この出来事を思い出します。

一生知っていても知らなくてもいい話。

あれはまだ、中川家の三姉妹が一つ屋根の下で暮らしていた時の話。

おしまい。





そう。本当ならこの話はここで終わっていた。しかし私は昨日、偶然にも出会ってしまったのだ。



昨晩、私は酒のスラム街”カクヤス”から粋のいいレモンサワーの素1.8リットルを召還すべく、店内を歩いていた。すると棚の下の方にそいつはいた。

私はまさに先ほどの部分まで下書きしていたこの記事を思い出し、”そうそう、やっぱり豆乳はキッコウマンだよな”と、そいつも一緒にわが家へ連れ帰ってやろうと慈悲の手を差し伸べた。が、その時だった。私の目に飛び込んできた光景に衝撃が走る。

あわや目ん玉が落ちてしまうのではと思う程の衝撃だ。

なんと、豆乳パックの裏面には私の見落としていた”HOW TO”がしっかりと記載されていたのだ。

しかもその絵はこんな感じ。

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完全に注ぎ口下むいとるやんけ!!


そしてその瞬間、私の脳裏に張り巡らされた無数の糸がはらはらとほどけて行き、残った数本の糸だけがピーンと張った感覚を覚えたのだ。もしかしたらヘレンケラーが「ウォーター」と初めて口にした時もこんな感覚だったのかもしれない。

私は、急いで帰らなくてはと言う、半ば強迫観念に近い焦りで、キッコウマンの豆乳1リットルと1.8リットルのレモンサワーの素、それに1リットルの強炭酸を2本抱え、大急ぎで帰路に立った。

昨日は小雨が降っていた。だけど私の足が止まる事は無い。

腕は引きちぎれそうだった。だけど私は一刻も早く家に帰り確認しなければならない。

バタン。

家に着いた私は、靴を脱ぐとそのまま冷蔵庫の扉を開け、先日買ったmarusanの豆乳を引っ張り出した。

そしてその瞬間。

この小さな八帖一間のワンルームで、セカンドインパクトは起こった。






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ガラガラと音を立てて崩れ落ちていく私の十数年間。



私は今までなぜ見落としてきたのだろうか。

気付かなかった。全く気付かなかった。

私の体にもしっかりと中川家の血が流れていて、いつの間にか華麗なるスルースキルを身に着けていたのかもしれない。


しかも微妙に注ぎ方も違う。


私は注ぎ口を縦方向に上にしてた。でもこの絵が正しいとすれば、横方向に上だ。なるほど合点がいく。

今だから白状する。私は縦方向に注ぎ口を上にした場合、コップとの距離が遠く、逆にこぼしてしまわないか、ずっと不安だった。

だから私は、毎回どちらで注ぐか悩んで、悩んで、

結局、本当の飲み方の教えに背き、豆乳がはねる方の注ぎ方を選択していたのだ。



今、点と点が線でつながる。



私は豆乳をそっと冷蔵庫に戻し、ぱたんと扉を閉じた。

そして、この物語にも、そっと蓋を閉じた。


私は十数年前のあの時、二階から降りて来た宣教師から教えを得た。



何を迷う事がある。


人は、自分の信じたいものを信じればいいのだ。


だけど


次に姉あったら、今度は聞いてみよう。




ねぇ、これの本当の飲み方知ってる?






遅咲会会長 中川ミコ

最後まで読んでいただきありがとうございます。このnoteでは、あまり難しいことを考えず、情報の共有をメインに、主にエンタメビジネスの事だったり、自立したい女子へ向けた情報発信や、コラムっぽいものを週に2本のペースでupしています。ピンと来た方はスキ・noteのフォローをよろしくお願いします。





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