旅館まで2時間歩く"不便"が最大の魅力だった「奥鬼怒温泉郷 手白澤温泉」
日本全国を旅してるまさゆきです。
これまで登録者1300人や2万人の旅系YouTubeを運営したり、気づいたらGoogleマップに2000個以上のピンが立ってました。
今回は「価値観が180度変わる旅館 奥鬼怒温泉郷 手白澤温泉」を紹介します。
東京駅から電車で2時間30分、鬼怒川温泉駅からバスで1時間30分、下車して山道を歩いて2時間。
合計6時間かけてたどり着く、電波も微かな絶海の孤島です。
でも、その不便さこそが最大の魅力でした。
緑豊かな森林を歩きながら同行者とお互いの深い話をしたり、くたくたに歩き疲れた体で極上の温泉につかったり、地元の幸をふんだんにつかった夕食とお酒を飲んだり…
私自身、新しい旅の体験だったので、noteに残しておきたいと思います。
旅の道のり
始まりの東京駅
東京駅からJRで北千住駅へ向かい、東武鉄道の特急「リバティきぬ」に乗り換えて鬼怒川温泉駅へ。行き方や乗り換え駅は無数にあるので、時間にあった行き方を選べる。
約2時間半の乗車で、3500円ほどだった。
鬼怒川温泉駅から女夫淵温泉バス停へ
駅に着いたらすぐさま駅前のバス停へ。土曜の午前中でも座れないことはなかったが、そこそこ人が乗るので早く並ぶに越したことはない。
バスに1時間30分ほど揺られ、女夫淵温泉バス停に到着。途中でトイレ休憩があるのでリフレッシュできるが、それにしても山道を右へ左へ上がっていくのは少し疲れる。
バス停から2時間30分歩き、手白澤温泉に到着
奥鬼怒遊歩道には山道と車道の2つの道がある。山道は自然の中の遊歩道を歩くのでトレッキング感覚を味わえる。車道は砂利道に整備されているので疲れは少ない。冒険心の強い方、マイナスイオンは全身に浴びたい方は山道がおすすめだ。
山道は高低差があり、ちょっとした山登りをした感覚になる。5回ほど休憩を挟みつつ歩くこと2時間半、ついに目的地へ。
外装は旅館というより山小屋。森の中にこぢんまり佇む控えめな姿が素晴らしい。
疲れを癒しに、白い湯の華舞う天然温泉へ
もう我慢の限界だ。
東京駅から6時間乗って歩いた疲れを癒やしたくて、体が勝手に温泉へと向かっている。久々の運動で乳酸がわんさか溜まった身体で熱々の温泉に入ってしまうと、自分の体はどうなってしまうのか高鳴りが止まらない。
すみません、最高でした、、、
白い湯の華がこれでもかと舞うお湯で温まり、少しのぼせてきたら裸で自然と向き合う。山風が素肌をそっと撫でていくこの感覚は都会では味わえない。
疲れれば疲れるほど温泉が気持ちよくなる法則はやはり合っていた。
部屋でゴロゴロ
風呂上がりにいつもの癖でスマホに手を伸ばすが、、、電波が繋がらない、、、
宿のWi-Fiは用意されているが、せっかくだから社会から離れて隠居してみることにした。持ってきた本をひたすら読み耽る。時間の流れがゆっくりだけど濃密だった。
山奥でこんな絶品料理を食べれるなんて
夜ご飯は和風モダンな食事処でいただける。
正直、山奥なのにこんなに贅沢な料理をいただけるなんて思っていなかった。
サーモンが乗っかったサラダは野菜の新鮮さにびっくり。
川魚の塩焼きは直前に焼き上げた香ばしさと塩味が絶妙だった。
極め付けは豚の角煮。じっくり煮込まれていて脂身がコラーゲンに変貌していた。ただ脂分が多いので完食できない方もいるだろう。
おいしいものでお腹いっぱいになるのがここまで幸せなことだとは。
夕食後もう一回温泉に入り、早めに就寝した。
旅館の朝食はこれでいい、これがいい
たいていの旅館の朝食は量が多くて食べきれない。だが、今回はちょうどよい量だった。
また、たいていの旅館は鮭が出るが、甘く煮付けた川魚は新鮮でよかった。
帰り道はガクくんの道案内付き
チェックアウトが最後だったからか、ガクくんが八丁の湯あたりまで道案内をしてくれた。ガクくんも宿の仕事をちゃんとしてるんだと感激。
途中の八丁の湯にも犬が飼われていて、その犬に会った時のガクくんは嬉しそうだった。
他の旅館にはない手白澤温泉の魅力
自然の豊かさを全身で感じる
2時間も山道を歩くと自然の魅力にたくさん気づける。力強く生きる木々の生命力や鳥たちのざわめき、小川から流れていった水が大きな川に流れていく大地の理など。
地球って素晴らしい星で、自分はほんの一部にすぎないことをひしひしと感じた。心が満たされていくと共に、不思議と勇気も湧いてくる。
もし送迎バスがあったら、スマホをいじり気づいたら旅館に到着して他だろう。自然の豊かさには気づけず終わっていた。
送迎バスがなく自分で歩くしかない不便が、奥鬼怒の豊かさを教えてくれる。他の宿と違った手白澤温泉の魅力だろう。
濃縮された渇望が解放される
電車とバスで4時間、徒歩で2時間も移動していると、疲れと期待がジワジワ高まっていく。とにかく温泉に入りたくなるし、食べ物を食べたくなるし、部屋でゴロゴロしたくなるのだ。
この自分の欲望が高まっていく感覚、本能が表れる感覚がおもしろい。都会で生活していると欲望はすぐに満たせるので、こういった感覚を意識することは少ない。お腹が空いたらコンビニに行けばいいし、休日はベッドで無意識にゴロゴロしてしまう。
その濃縮しきった渇望を、旅館でこれでもかと解放する。
白い湯の花舞う温泉につかった時の全身が喜んでる感覚。川魚の塩焼きや炊き立てホクホクのお米、そして風呂上がりのキンキンに冷えたビール。
我慢した分、全ての喜びが倍増しているのが分かる。不便さがなかったら、ここまで突出した喜びにはならないだろう。
人とのつながりを深められる
今回私は友達と手白澤温泉に行ったが、2時間歩く中で色んな話をした。仕事や将来の話など、普段話さないことまでじっくり話せた。
言葉だけじゃない。山道を歩く中で相手がどんな表情をするのか、どんな感情を抱いているのかを感じた。
1人で行くのも楽しいだろうが、大切な誰かと歩くのも素晴らしい体験になると思う。人とのつながりが希薄になりがちな現代だからこそ、少数の深いつながりは大切だ。そのつながりを育む機会は、システム化された都会では少ないと思う。
大切な人と自然の中を歩く。その貴重な時間を手白澤温泉は与えてくれた。
終わりに
最後まで読んでいただきありがとうございました!
「不便さ」に価値があるのが私の中で衝撃だったので、今回取り上げさせていただきました。
システム化された社会をテクノロジーが後押して、私たちは高度な「安全・便利・快適」な世界を生きています。
ウーバーイーツを頼めば、20分後にうまいビッグマックが届いている世界です。
そんな世界では「危険・不便・不快」は削除すべきもの。ビジネスでもプライベートでも、効率的に生きることがよしとされてます。
でも本当の豊かさは削除すべき「余白」にあるんだなと気づかされました。
いかに余白を作れるか、許容できるかが大事ですね。
また競合の宿泊施設と差別化するという意味でも、あえて不便さを残しておく、作り出すことが1つの解になるかもしれません。
宿泊者に不便を感じさせないように全てを便利にしがちですが、都会に住んでいる人ほど自然の中の不便さを実は求めていると思います。
そして、その不便を体験してもらい感動を生むことができたら、ファンや応援者になるでしょう。
自分の感情とじっくり対話できる一人旅でも
生まれた感情を分かち合える二人旅でも
極上のひと時を過ごせる場所ばかりですので参考になれば幸いです!
なおこの記事は案件ではございません。
また前回の「死ぬまでに一度は行くべき温泉旅館 15選」もあわせてご覧ください!
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