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コミュニティはウェルビーイングなのかもしれない

コミュニティは、人生をより豊かにする居場所となるー。
「偏愛物語」とは、オシロ代表の杉山博一が「偏愛」を紐解く連載企画。
今回は、コミュニティと幸福度の関係について紐解いていく。

OSIROはもともと、クリエイターを応援するためのコミュニティとして始まった。それがいまではブランドのファンが集うコミュニティ、企業の従業員同士が趣味でつながる社内コミュニティと、対象がどんどん広がっている。

ただ、対象は違えど根底にある思いは同じだ。
主宰する人、参加する人の居場所になっているか?
主宰者だけでなく、メンバーも自分らしくいられるか?
主宰者とメンバー、メンバー同士が仲良くなれるか?
これらを常に考えている。

こうしたコミュニティはかけがえのない場所にもなりうるし、幸福度が高いともいえる。

今回は、豊かなコミュニティに所属することはウェルビーングであると考える所以をお届けしたい。

コミュニティに入ると、幸福度が上がる

日本全体の「幸福度」を見ると、2024年の世界幸福度ランキングにおいて143カ国中51位と低く、非常に残念に思っている。

幸福度を上げるには、ぼくはコミュニティを増やすことが大事だとずっと提案してきた。実際に日本では一人がコミュニティに帰属している数は平均2.5個であるのに対して、世界幸福度ランキング上位に並ぶ北欧の国々では4.5個とされており、やはりコミュニティに帰属している数が多く、誰かとつながり、趣味が深まるほど幸せを感じられるのだと思う。

今や、SNSで誰とでも簡単につながれるようになったけど、本当に信頼できる人と出会うことは意外と難しい。地域、会社、SNS含めてだれとでもつながれるはずなのに…つながりは以前より希薄化しているように感じる。

それにみんなが気づき始めたいま、人とのつながりという価値がより求められている。

だからこそ、今後、人とのつながりは有料化していくだろう。
たとえば、雑誌ならお金を払ってでも読みたい情報がつまっている。ではお金を払ってまで帰属したいコミュニティとはなんだろう。

まず、有料であることの利点は安心・安全が担保されていることだ。そして相応の熱量の人だけが集う。そうした環境で自分の偏愛するものについて存分に語り合うことができる場は居心地がよく、サードプレイスになっていく。われわれが手掛ける居場所は「偏愛プレイス」と言ってもいいかもしれない。

そして、有料のコミュニティはお金を払ってまで自分の偏愛性、アイデンティティを表現する手段でもある。無料のコミュニティはたくさんあるが、有料のコミュニティでは同じ感性、熱量の人たちと出会いやすい。そうした場所ではより自分の好きを表現したくなるものだ。自分が偏愛するテーマで人とつながり、語り、アイデンティティを表現できる。

偏愛するテーマで安心安全な環境のコミュニティに入ると、多幸感が高まるはずだ。

従業員の幸福度が高いと、創造性も上がる

「ファンの幸福度」を考えたとき、ファンと同じように従業員もある意味ファンである。むしろファン以上の存在といえるだろう。従業員の幸福度について、すばらしい結果が発表されている。

『ハーバードビジネスレビュー』の「幸福の戦略」(2012年5月号)に発表された研究成果によると、幸福感の高い従業員はそうでない社員と比べて、

・創造性は3倍
・生産性は31%高い
・売上は37%高い

さらに幸福度の高い社員は、

・欠勤率が41%低く
・離職率が59%低く
・業務上の事故も70%少ない

という驚異的な結果がある。

今日、幸福は「ウェルビーイング」とも呼ばれているが、ウェルビーイングを経営に取り入れている企業も増えている。幸福度の高い従業員が増えれば、提供するプロダクトやサービスもよりよいものになっていくと考えられているからだ。

予防医学者の石川善樹さんが論じられる文献には、従業員が職場で孤独を感じると個人や組織のパフォーマンスが低下するだけでなく、心身の健康状態が悪化するという問題が生じる。ウェルビーイングは、個人や組織のパフォーマンス向上と関連するため、高めることで職場の孤独や企業課題を解決できる可能性があるということが記されている。

コミュニティへの参加は、ウェルビーイングにつながる

そもそも「幸せ」はどのように感じられるのだろうか。
ウェルビーイングを研究されている前野隆司教授によれば、幸せを感じるためには4つの因子があるという。

・自己実現と成長の因子
・つながりと感謝の因子
・前向きと楽観の因子
・独立と自分らしさの因子

これらはコミュニティにも共通する。
同じ物事を偏愛する人たちとつながり、自分らしさ、アイデンティティを出しながら、それらが肯定される居場所を持ち、さらに深め、追求したいことを挑戦するーー。
コミュニティへの参加は、ウェルビーイングに直結するのだ。

だからこそ、OSIROが企業の従業員同士が趣味や興味関心ごとでつながる場としてもご利用いただくことは自然の流れだと思っている。仕事だけではなく共通の趣味で知り合うことで、関係性が深まるきっかけになるからだ。

社員を家族のように

会社は、多くの人々が大半の時間を過ごす場所、コミュニティでもある。だからこそ、企業は従業員のウェルビーイングも同時に真剣に考えるべきだと思っている。

実際、非財務情報の開示が昨年(2023)から上場企業に義務化されたこともあり、健康、ウェルビーイング経営や従業員の幸福度を把握したい、上げたいという企業は今後増えるだろう。そもそも開示が義務になっていなくても、日本をつくってきた企業、支えてきた企業はすでに実行されている。

創業から100年以上続く企業の数は、日本が世界で一番多い。すごいことだ。200年以上続く企業数も日本が世界一。TOPPANさん、虎屋さん、任天堂さん、キリンさん、サントリーさん、キューピーさん、資生堂さん…ここには書ききれない。これらの老舗大企業さんは、当然社員を大切にされている。伊藤忠さんは創業時、毎月1と6がつく日に社員みんなですき焼きを食べる文化があったとか。

ぼくたちオシロにも、「社員は家族」という哲学がある。そういう哲学を持つ企業はわれわれだけではなく、こうした老舗大企業もすでにもっていたものであり、だからこそ事業が長きに渡り繁栄していると思っている。

社員を家族のように考え、社員の幸福度を上げることは、企業の成長と個人の幸せの両方に通じる。ウェルビーングなコミュニティづくりは、企業が真剣に取り組むテーマでもあるのだ。

じつはオシロ社にも、社員の幸福度を上げるといっても過言でもないイベントや制度がある。次回は今年新たに始めたとあるイベントについて紹介したいと思う。

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