佐藤志敦@推し活翻訳家

翻訳は推し活。はじめまして、佐藤志敦です。外国の児童書が好きすぎて、自分のために訳すと…

佐藤志敦@推し活翻訳家

翻訳は推し活。はじめまして、佐藤志敦です。外国の児童書が好きすぎて、自分のために訳すというディープな趣味にひたっていたら、なんとホントに本になりました。まさに推し活冥利。でも、お気に入りの作品は尽きない…ということで、月に1,2回、ゆるーく未訳の児童書などを紹介していきます。

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【推し活翻訳・番外編】地図と星座の少女、原題 The Girl of Ink & Stars

はじめに:バリー・カニンガム氏から読者へのメッセージ こんにちは。お読みいただきありがとうございます! さて、これまでnoteでは、未訳(と思われる)作品を紹介してきましたが、本作は、たくさんの方々のお力添えで「推し活」が実り、晴れて邦訳が出版されています。世界20か国以上で翻訳出版され、50万部読まれる話題作で、原書出版社のオーナー兼総編集長バリー・カニンガム氏は、あの「ハリー・ポッター」第1作を世に出した児童書の目利きです。 そのカニンガム氏が、出版に際して本に

    • 推し活翻訳8冊目。The Ghost’s Child、勝手に邦題「まぼろしの子」

      原題:The Ghost’s Child 原作者:Sonya Hartnett 勝手に邦題:まぼろしの子 「真っ暗な空を稲妻が切り裂き、天を衝く大波が地滑りのように崩れ落ちた。もうだめだと思った瞬間、マディーは声を限りにフェザーの名を呼んだ。姿を見せてくれてもいいはず。こんなにも、あなたが欲しいのだから」 概要と感想: 一人暮らしの老女マチルダが、冷たい霧の午後、犬の散歩から帰ってくると居間で見知らぬ男の子が待っている。不思議な客人は、訪問の目的も、自分の素性も告げ

      • 推し活翻訳7冊目。The Royal Rabbits of London、勝手に邦題「ロンドン・ロイヤル・ラビット隊1 シャイロの大冒険」

        原題:The Royal Rabbits of London 原作者:Santa Montefiore, Simon Sebag Montefiore 勝手に邦題:ロンドン・ロイヤル・ラビット隊1 シャイロの大冒険 概要と感想 「生きることは冒険だ。この世に不可能なことなどない。やる気と運、新鮮なニンジンと、しめった鼻先と、ほんの少しの度胸があればなんでもできる!」 いなかに暮らすウサギのシャイロは、体が小さく兄姉たちのいじめの的ですが、好奇心がとても強く、群れの

        • 推し活翻訳6冊目。Island、勝手に邦題「キキクタルク — ハーシェル島の精霊たち —」

          原題:Island 原作者:Nicky Singer 勝手に邦題:キキクタルク — ハーシェル島の精霊たち — 概要と感想 カナダ北部、北極圏の海に浮かぶハーシェル島。イヌイットが、キキクタルクと呼ぶその島の夏空に、死を呼ぶといわれるウークピク(シロフクロウ)が舞う。時を同じく、北の海からピスグトゥク(ホッキョクグマ)も島にもどり、島の守り人であるイヌイットの老婆アトカに姿を変える。 ツンドラが緑におおわれた白夜のその夏、大都会で生まれ育った13歳のキャメロンが、

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        【推し活翻訳・番外編】地図と星座の少女、原題 The Girl of Ink & Stars

          白雪姫と眠れる森の美女をフュージョンして、フェミニズムの視点でスパイスを効かせた〈大人の絵本〉。 ニール・ゲイマンらしいストーリーに、豪華で緻密で耽美なクリス・リドルのイラストが最高に素敵! これもいつか紹介しますね💓

          白雪姫と眠れる森の美女をフュージョンして、フェミニズムの視点でスパイスを効かせた〈大人の絵本〉。 ニール・ゲイマンらしいストーリーに、豪華で緻密で耽美なクリス・リドルのイラストが最高に素敵! これもいつか紹介しますね💓

          どちらもいつか紹介したいと思います!

          どちらもいつか紹介したいと思います!

          推し活翻訳5冊目。Under Rose-Tainted Skies、勝手に邦題「あなたと空を見上げたら」

          原題:Under Rose-Tainted Skies 原作者:Louise Gornall 勝手に邦題:あなたと空を見上げたら 概要と感想 ノラは17歳。13歳のときに発症した広場恐怖症と強迫性障害のために、この4年間、自宅を出ることもままならない。今日もそう。ドクター・リーヴィスのカウンセリングを受けるために、母に励まされ、引きずられるようにしてやっとのことで車に乗ったけれど、結局、診察室まで行くことはできなかった。 ある日、ノラの面倒を見ながら生活を支える母が、

          推し活翻訳5冊目。Under Rose-Tainted Skies、勝手に邦題「あなたと空を見上げたら」

          推し活翻訳4冊目。The Ocean at the End of the Lane、勝手に邦題「オーシャン」

          原題:The Ocean at the End of the Lane 原作者:Neil Gaiman 勝手に邦題:オーシャン 概要と感想 父の葬儀のために故郷の町へ戻った私は、式の後、あてもなく車を走らせるうち、引き寄せられるようにヘムストック農場にたどり着く。そこにはかつて、レティという名の少女が、母親や祖母と暮らしていた。私は、母屋の裏手にある池のほとりで、忘れていた記憶を取り戻す。レティは、その池を「大きな海(オーシャン)」と呼んでいた。 記憶は7歳の誕生

          推し活翻訳4冊目。The Ocean at the End of the Lane、勝手に邦題「オーシャン」

          推し活翻訳3冊目。The Girl Who Speaks Bear、勝手に邦題「くまのヤンカと雪の森」

          原題:The Girl Who Speaks Bear 原作者:Sophie Anderson 勝手に邦題:くまのヤンカと雪の森 概要と感想 雪の森のそばの村に暮らすヤンカは、12歳とは思えない大きな体で力も強い。村のみんなは親しみをこめて「くまのヤンカ」と呼ぶけれど、小さなころ、クマのほら穴の前で拾われたことを知っている人はそんなにいない。生まれた場所も、本当の両親もわからず、村には居場所がないと感じるヤンカが心を許すのは、育ての親のマモチュカ、幼なじみのサーシャ、

          推し活翻訳3冊目。The Girl Who Speaks Bear、勝手に邦題「くまのヤンカと雪の森」

          推し活翻訳2冊目。Wildoak、勝手に邦題「雪ヒョウに出会った森」

          原題:Wildoak 原作者:C. C. Harrington 勝手に邦題:雪ヒョウに出会った森 概要と感想 物語の舞台は1963年のイギリス。マギーは小さなペットたちを大切にする心優しい女の子ですが、学校では、吃音のせいでつらい日々を送っています。今日も先生にあてられたとき、みんなの前でうまく話せないのが怖すぎて、手に鉛筆をつきたてて保健室に逃げこんでしまいました。動物や虫と話すときは、すんなり言葉が出てくるのに……。そう、小さなころ、ロンドン動物園でトラにすらすらと話

          推し活翻訳2冊目。Wildoak、勝手に邦題「雪ヒョウに出会った森」

          推し活翻訳1冊目。Rooftoppers、勝手に邦題「屋根の上のソフィー」

          原題:Rooftoppers 原作者:Katherine Rundell 勝手に邦題:屋根の上のソフィー 概略と感想 冒頭は大型客船沈没の場面。チェロのケースに乗ってイギリス海峡を漂っていた赤ん坊は、同じ船の乗客で学者のチャールズに救われ、ソフィーと名づけられてロンドンで成長します。シェイクスピアとクラシック音楽をこよなく愛するチャールズとの暮らしはちょっと風変わりで、児童保護協会のお目付け役ミス・エリオットの評価はすこぶる低いですが、家が片づいていなくたって幸せに暮らせ

          推し活翻訳1冊目。Rooftoppers、勝手に邦題「屋根の上のソフィー」