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新定番!推し活における『お出かけ需要』を徹底解説

■はじめに

推し活総研が発信する、推し活記事第2弾は「推し活層のおでかけ需要」。
コロナウイルスの流行を境に、さらに拡大が進む推し活市場のリアルな様子をお届けします。

推し活についての詳しい記事については以下にて公開しております。
https://note.com/oshikatsusoken/n/n6ba5b4d77e77

では、今回のテーマである、推し活層の「おでかけ需要」についての話題に移りましょう。

■「推しに会うため」から「推しとお出かけ」へ。推し活の変化

コロナ前の主流:"オタ活"


まず、推し活層の主なおでかけ行動は、

①現場参戦・遠征(コンサート・イベント) 
②聖地巡礼 
③推しと一緒にお出かけ

の3パターンに分けられます。

現場参戦・遠征パターンは、推しのコンサートやイベント参加の為のおでかけ行動で、時には、自身の居住区域を離れて遠征をします。②聖地巡礼パターンは、推しを感じることができる空間に行くおでかけ行動で、推しが訪問した場所、推しの作品の基になった場所、推しにまつわる物の展示場所等、様々な場所に足を運びます。

推しと一緒にお出かけパターンは自身の外出に推し(推しのぬいぐるみやトレーディングカード、アクリルスタンド等のグッズが主)を連れていくおでかけ行動のことです。

コロナウイルス流行前は、「推しに会う」をモチベーションとした消費行動である①現場参戦・遠征 聖地巡礼が目立つ印象でした。SNS上でのコミュニケーションが、今ほど盛んではなく、閉鎖的なコミュニティの中で「推し対自分」の時間が推し活のメインを占めていたと考えられます。

第1回記事アンケート回答者中、現在推しがいると答えた方を対象に、①~③について調査しました。

2020年以前と比較し、2023年には推し活として③推しと一緒にお出かけの割合が15.1ポイント高まっていることが分かります。
パーセンテージだと、40%以上の推し活層が自身のお出かけにグッズを持ち歩いているという結果に。

①②と比較しても、③に一番高い変化が出ています。では、コロナウイルスの流行は、具体的に推し活にどのような変化をもたらしたのでしょうか?

コロナ禍:"引きこもり推し活"

コロナウイルスが流行し、コンサートもライブ等のオフラインイベントが軒並み中止に。外出を伴う推し活がほぼ全て不可能になりました。
つまり、前段でお伝えした①~③の全てができなくなったのです。そしてこれが、推し活の大きな分岐点となりました。注目すべきポイントは2つです。

1つ目は「推し活におけるクリエイティブの幅が広がった」ことです。コロナ禍中は、室内でできる推し活がメインに。そして、有り余る時間をできる限り有意義に使うために「推しを飾る」自作行為が盛んになりました。

例えば"硬質トレカケースデコ"(トレーディングカードサイズの硬貨ケースを、ホイップやレジンを使用してデコる行為)や、"本人不在の誕生会"(推しの誕生日や記念日にケーキやバルーン、推しのグッズを用意して部屋を飾ること。)が推し活層の中で流行しました。

そして、TikTokやTwitter、InstagramといったSNSを活用し、自身の「推しを飾る」行為を拡散したことで、とても速いスピードでジャンル問わず推し活層全体に広がっていきました。

2つ目は「推し活インフラが整備された」ことです。
推し活インフラとは主にSNSの発達とIP・版元公式から供給のことです。まずSNSの発達については、1つ目のポイントでお話しした部分に関わってきます。推し活層が今まで以上にSNSを活用して推し活をするようになったことで、SNSを推し活的に利用する人が急増しました。

さらにSNS内で「推し活テンプレ」「推し活フィルター」※と呼ばれるものが登場するほど、推し活的使い方に関する発信も増加。加えて、SNS内アルゴリズムの発達で、レコマンド機能も充実し、推し活層には推し活層の投稿がピンポイントで表示されるようになったのも、重要な変化だといえます。

※主にInstagram・TikTokに投稿するための、ユーザー制作のテンプレやフィルターのこと。推しの写真や動画を組み合わせて簡単に短尺動画の作成が可能

推し活層だけでなく、公式IP側にも変化が見られました。コンサート等のオフライン収益が見込めない中、収益確保はオンライン配信とグッズ販売に傾倒。推し活層の購買意欲を保つために、幅広い形のIP公式グッズを販売しはじめました。
主流の推しグッズとして人気の高いアクリルスタンド等のグッズも"揺れる"仕様や、背景つきの大きめサイズになるなど、進化を遂げています。

コロナ後:オフライン需要の高まり

いよいよ、2023年から本格的に推し活が解禁され始めたことで、推し活層の推し活熱はさらに高まりを見せます。

コロナ前と大きく違う部分は、前段で紹介したデータで見えた③推しと一緒にお出かけに関する推し活が増えているということです。

前段で触れた「推しを飾る」「推し活インフラの整備」によって、①現場参戦・遠征聖地巡礼はもちろん、③の楽しみ方の幅が広がったのです。そして、コロナ禍とコロナ明けの推し活の両者が上手く融合することで、現在の"ハイブリット推し活"が誕生しました。

さらに、ハイブリット推し活の背景には、今まで外出ができなかった反動で、おでかけ需要が高まり、体験を求める感情が、推し活層の中に生まれていることも大きく関係しています。そして現在、推し活は性別・年齢・ジャンルを問わず広がりを見せています。

推しのために行動を起こすだけが推し活ではなく、生活の一部として推し活が根付いているとも言えます。

株式会社Oshicocoが運営している公式Instagramで、推しグッズを普段から身に着けている推し活層の方々の声を聞いてみたところ、

「自分のモチベーションが上がる」
「推しを色んなところに連れて行って写真をSNSに上げたい」
「推しのグッズと撮ると(写真が)より映えるから」
「殺風景の写真より、推しと一緒の方が思い出が鮮明で、推しと出かけられたという満足感も得られる」

といった"推し“を連れて歩くことへのリアルな感情が見えてきました。

次のセクションからは、見えてきた推し活層のインサイトにフォーカスしながら、お出かけ需要が高まった推し活層のハイブリットな推し活について、具体的に見ていきましょう。

■推しと一緒にお出かけへ。グッズの特徴とは?

前段まではコロナ禍を経て変化した、推し活の状況についてお話してきました。次項目からは具体的な推しグッズ・推し活グッズ※の進化を紹介していきます。

※推しグッズ→IP側、版元から発売されているグッズのこと
推し活グッズ→推しグッズを収納したり、持ち歩くための周辺グッズのこと

推し活グッズは「サイズ」が重要(持ち運べるサイズ)

お出かけ需要の高まりに合わせて、推しグッズも持ち歩けるサイズに。
家に飾るという用途だけでなく、常に持ち歩くことができる、日常的に身に着けることができることが推し活層の中で重要視されているのです。
例えば、アクリルスタンドやぬいぐるみは小さなサイズの流通が増加傾向にあります。

また、L版サイズのグッズを多く出していたIPジャンルでも、トレーディングサイズといった小さいサイズのグッズを発売するなどの変化が見られます。
このようなIPグッズの縮小化、軽量化に合わせ、ケースやポーチに当たる周辺グッズも変化する必要があります。さらに周辺グッズで重要なポイントとして「推しを引き立てる」ことができるというのが挙げられます。

推し(のIPグッズ)と組み合わせて可愛い、写真映えするといった観点を意識した推し活層が多く、そのようなインサイトを押さえた成功例としてサンリオのエンジョイアイドルシリーズ等が挙げられます。


配下 @ayuchisama より


ゆうな @senryo_iluvu6a6y


𝘌𝘮𝘪𝘭𝘺 @re__reveserealise

推しを「身に着ける」推し概念・概念推し活が人気

前段では推しグッズとの組み合わせ需要をお話ししましたが、今回は推し自体を概念化する推し活についてご紹介します。

「推し概念」とは、推しを概念として捉え、推しに似ている動物をグッズとして収集したり、推しのカラーを服に取り入れたりすることを指します。
例として、推し概念ネイル、推し概念アクセサリーが挙げられます。
推しを概念化することで、普段のお出かけに「推し」をさりげなく取り込むことが可能になります。

このような行為を行う推し活層の心理として「推しを身近に感じたい」という声の一方で「アクセサリーやモチーフのキーホルダーはオタバレ防止になる」といった声も挙げられています。

総研ではこれらの行為のことを"プチ・コスプレ"だと考えています。コスプレのように、完全に推しになり切った状態でスキを表現するのではなく、さりげなく推しの要素・概念を身に着け、スキを表現しているからです。

概念例)イニシャル、動物、モチーフ(ダイヤ、星、ティアラ)、誕生石、カラーバリエーションがあるキャラクターなど

推しを「撮影できる」が鉄板

3つ目は最重要ポイントといっても過言ではありません。自己表現・自己発信とセットの推し活では「推しが撮影で映える」ことが大事になってきます。

お出かけした場所で、推しを映りこませたい、可愛い・おしゃれな写真を撮りたい、友達同士で写真を撮りたいという推し活層の気持ちがあります。
ではなぜ、推し活層は推しを外出先で撮りたいのでしょうか?
理由としては大きく2つ挙げられます。

1つ目は、「推し活の記録を残したい」という理由です。
推しとのお出かけも立派な推し活。その推し活の様子を逐一記録に残せるように写真を撮ります。さらにそれらの写真をSNSに共有することで、推し活友達と思い出の共有ができ、人同士のつながりを築くツールとして活用ができます。

2つ目は、「自身の身代わりとして記録を残したい」というインサイトです。
お出かけした場所を記録したいけど、自分が写真に映るのはなんだか気恥ずかしい、風景を撮っても手持無沙汰感がある。そんな時に自身の代わりとして推しを登場させるというものです。

では、具体的には撮影したくなる推しグッズ・推し活グッズ・企画とはどのような物なのでしょうか?
いくつか例を挙げてみます。

・写真を撮った時に綺麗に映るカラー
・推しグッズの規格に合わせた商品
(例:ディズニーリゾートで販売中のミニカチューシャは、ジャニーズぬいやおまんじゅうぬいサイズにピッタリ)
・友達同士で並べて撮影する前提で、色違い・種類違いで並べることができる商品
・アレンジ要素・カスタム要素があるグッズ
・推しグッズを引き立てることができるカバー・持ち歩く用のケース
・人間用ではなく、推しグッズ用のフォトスポット

グッズを使った撮影方法の設計・発信まで行うことで、SNSでのUGC創成(口コミ)に繋がり、商品やキャンペーンが拡散されやすくなります。

https://www.instagram.com/p/C5-qpCxPAg0/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==

https://www.instagram.com/reel/C525qepLuIY/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==


梅田スカイビルでの推し活布教神社の様子

まとめ

"推し"を目的としたお出かけだけでなく、生活に溶け込み、普段のお出かけを推しと共にする流れが来ている現代について見てきました。

コロナ禍が盛んだった、本人不在の誕生会、プロジェクターを使った鑑賞会といった消費から、本記事で紹介した、おでかけ・外出のために使う消費へ。推し活層の消費行動が変化しつつあります。そして、推し活総研では、今後はより一層、色々な場所・場面で推しとの外出を楽しむ推し活層が増えるとみています。

今後は、本記事で紹介した内容を、実際に企画に落とし込む方法まで発信していく予定です。
推し活総研へのお問い合わせは下記アドレスにて受け付けております。
お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ先

sara-sone@oshikatsusoken.jp









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