大﨑 優|CONCENT

デザインマネージャー・サービスデザイナー。株式会社コンセント取締役。デザインマネジメン…

大﨑 優|CONCENT

デザインマネージャー・サービスデザイナー。株式会社コンセント取締役。デザインマネジメント・事業開発・ブランディング等の支援に従事。HCD-Net評議委員。Xデザイン学校講師。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒。名古屋市出身。https://www.concentinc.jp/

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固定された記事

デザイナーはコストセンターか。 組織とキャリアから考える

デザイナーは、利益を生み出すプロフィットセンターなのか。もしくは、収益に貢献しないコストセンターなのか。 デザイナー個人にとっても、デザイン組織にとっても、重要…

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「新卒1年目デザイナー」だった20年前の行動と感情

5月。新入社員はいろいろと思いを巡らせる季節です。それに合わせてか、自分の新卒1年目のことを記事にする方もいらっしゃいます。 私も見習って当時のことを書いてみよ…

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デザインの言語化と、その落とし穴

会話のテンポが速くなっている。 デザインの現場を20年。自分自身や周りを見わたして、ふと思ったことです。 昔はもっとゆっくりしていました。単純に話すスピードもあり…

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損益分岐点から眺める デザインの風景

デザイン会社コンセントでは、デザイン業務に対して「生産性」の指標を取り入れています。 「生産性」は、デザインプロジェクトごとの利益率を表す指標。売上に対するコス…

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デザイナーは自分の学びを設計する

知るべきことが多くて多くて、学べ学べとあせっていても、混乱極まり手につかない。 こんな状況、デザイナーなら誰しも身に覚えがあるのではないかと思います。もしくは若…

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デザイナーは「営業」をどう考えるか

「営業」という言葉が好きなデザイナーは少ない。 ひとつは単純な誤解です。「営業さん」はビジネススーツを身にまとい、お客様に頭を下げて何かを売る人。デザイナーは何…

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デザインと、価格と、キャリアの話

「デザイナー35歳定年説」というものがありました。 35歳になったらデザインをやめて別の仕事をするという話です。若い自分は恐ろしげに感じましたし、逆に「一生、手を動…

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Xデザイン学校 リーダーコース 講師ふりかえり デザインリーダーの学びと課題

先日、私が講師を担当しているXデザイン学校リーダーコース、2023年度のプログラムが終了しました。今回は、私が受け持った講座を振り返りと、今の時代に必要なデザインリ…

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心がけておきたい、デザインの仕事と人格の関係

デザインの仕事で生き抜くためには、人格なんか変えてやる。40代、氷河期世代の私はそう思ってきました。 自信なくボソボソ話すから信頼されない。それを変えてきた若手時…

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デザイナーの「へこまない」話法

へこむ。くやしい。自分が情けない。 「デザイナーは感受性が高いので傷つきやすい」なんて言う人もいる。それが正しいかは脇に置いて、私もへこんだことは何度もあります…

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成長のために「デザイン中毒」を手なづける

デザインの作業は楽しい。あっという間に過ぎていく。1時間、1日、1週間、1ヶ月、1年。そして、10年がいつの間にか過ぎている。 私のキャリアの最初の約10年は、ビジ…

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効果的なデザインアウトプットの説明方法

デザイナーが、依頼者にデザインアウトプットの説明をする。毎日のようにある光景です。 ただその際に、アウトプットの質は高いのに説明が上手くいかず、意思決定が良から…

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話半分に聞く、デザイナーのキャリアの話

2024年。私は今年で44歳になるデザインマネージャー・サービスデザイナーです。業界的にはシニアといえる年齢です。 シニアになると、してしまうがキャリアのアドバイス。…

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経営リソースとしての好奇心

企業経営のリソースを、ヒト・モノ・カネ・情報・好奇心とおいてみる。 組織の好奇心の量は、経営の活動によって増えたり減ったりする。多少の変化はあれど、勝手に増えた…

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時間を溶かす デザインの右往左往

長時間作業しても、デザインアウトプットが前に進まない。何パターンも試して修正を重ねても、結局最初につくったものが一番ましだ。その一番最初につくったものも、しっく…

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デザインマネジメントの3つのアジェンダ

デザイン思考は終わった、という話を聞く。 イノベーションやDXを推進するビジネスパーソンのデザイン思考の認知率は9割を超えており※、すでに知れ渡った感がある。デザ…

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デザイナーはコストセンターか。 組織とキャリアから考える

デザイナーはコストセンターか。 組織とキャリアから考える

デザイナーは、利益を生み出すプロフィットセンターなのか。もしくは、収益に貢献しないコストセンターなのか。

デザイナー個人にとっても、デザイン組織にとっても、重要な問いです。

プロフィットセンターとコストセンターデザイナーが売上や利益に対する責任を持ち、定量的な数字目標を掲げている。自身の評価にも数字が絡んでくる。これは、プロフィットセンターとしてデザイナーが活動しているケースです。

事業会社

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「新卒1年目デザイナー」だった20年前の行動と感情

「新卒1年目デザイナー」だった20年前の行動と感情

5月。新入社員はいろいろと思いを巡らせる季節です。それに合わせてか、自分の新卒1年目のことを記事にする方もいらっしゃいます。

私も見習って当時のことを書いてみようと思います。昔は良かったとか悪かったとか。そんな目を向けるのではなく、少しでも今の気づきになるように。

最初に言いますと、私が新卒1年目で行ったことの6割は、電話の取次ぎ、画像のスキャンや切り抜き、色調補正などの雑用。4割は雑誌の定型

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デザインの言語化と、その落とし穴

デザインの言語化と、その落とし穴

会話のテンポが速くなっている。

デザインの現場を20年。自分自身や周りを見わたして、ふと思ったことです。

昔はもっとゆっくりしていました。単純に話すスピードもありますが、会話に「間」が少なくなったことも大きい。そう思います。

例えば15年前。私はアートディレクターでした。その時の会話は10秒くらい黙ったり、ゆっくり考えながら言葉を探し、時には言葉を撤回し、言い直し、なんとかなんとか喋っていま

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損益分岐点から眺める デザインの風景

損益分岐点から眺める デザインの風景

デザイン会社コンセントでは、デザイン業務に対して「生産性」の指標を取り入れています。

「生産性」は、デザインプロジェクトごとの利益率を表す指標。売上に対するコストの比率を指標化したもので、プロジェクトメンバーはその「生産性」を意識しながらデザインワークを進めています。

コンセントは、2019年から「生産性」を全社に取り入れ、業績を改善することができました。以後、安定的な成長を続けています。

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デザイナーは自分の学びを設計する

デザイナーは自分の学びを設計する

知るべきことが多くて多くて、学べ学べとあせっていても、混乱極まり手につかない。

こんな状況、デザイナーなら誰しも身に覚えがあるのではないかと思います。もしくは若い読者ならこれから訪れる試練なのかもしれません。

技術が、社会が、デザインが。変化しつづけるその先端で、デザイナーは学びを重ね、成果を出し続けなければいけない。変化するのは自分自身も。年齢もポジションも状況も。今後のキャリアを考える中で

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デザイナーは「営業」をどう考えるか

デザイナーは「営業」をどう考えるか

「営業」という言葉が好きなデザイナーは少ない。

ひとつは単純な誤解です。「営業さん」はビジネススーツを身にまとい、お客様に頭を下げて何かを売る人。デザイナーは何かをつくり出す一方、「営業さん」は何もつくらない。そんな、古典的かつステレオタイプな「営業さん」像にまどわされて、本質が身に入ってこない。興味がわかない。自分とは関係ないものだと思ってしまう。

デザイナーからは「私は人見知りなので、営業

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デザインと、価格と、キャリアの話

デザインと、価格と、キャリアの話

「デザイナー35歳定年説」というものがありました。

35歳になったらデザインをやめて別の仕事をするという話です。若い自分は恐ろしげに感じましたし、逆に「一生、手を動かしてものづくりをするんだ」と奮起したものでした。

似た話は今でも続いているらしく、業界の都市伝説としてひたひたと続いているようです。30代になったらライフステージや体力面から難しくなったり、感覚が市場と合わなくなる人が出てくるのは

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Xデザイン学校 リーダーコース 講師ふりかえり デザインリーダーの学びと課題

Xデザイン学校 リーダーコース 講師ふりかえり デザインリーダーの学びと課題

先日、私が講師を担当しているXデザイン学校リーダーコース、2023年度のプログラムが終了しました。今回は、私が受け持った講座を振り返りと、今の時代に必要なデザインリーダーの学びについて書いていこうと思います。

Xデザイン学校リーダーコースとはXデザイン学校は、UXデザイン・サービスデザイン・デザインリサーチ・デザインマネジメント等を対象にした社会人の学校。社会を良くするための広範なデザインの学び

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心がけておきたい、デザインの仕事と人格の関係

心がけておきたい、デザインの仕事と人格の関係

デザインの仕事で生き抜くためには、人格なんか変えてやる。40代、氷河期世代の私はそう思ってきました。

自信なくボソボソ話すから信頼されない。それを変えてきた若手時代。

冷静だけど淡々としていて面白くない。それを調整してきた中堅時代。

偉そうで皆に物を言わせない。そうならないように踏ん張る今の時代。

今回のテーマは、デザイナーの人格。成果のために人格を見つめてきた記録です。人格と言うとちょっ

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デザイナーの「へこまない」話法

デザイナーの「へこまない」話法

へこむ。くやしい。自分が情けない。

「デザイナーは感受性が高いので傷つきやすい」なんて言う人もいる。それが正しいかは脇に置いて、私もへこんだことは何度もあります。

今回は、自分がへこみ続けてきた経験から、デザイナーの自衛の策である「へこまない話法」を考えていきたいと思います。デザインに関わる若い方に届いてほしい。そんな遠い目をしながら。書いてみます。

「一方的に言われる構図」に熟練するまずは

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成長のために「デザイン中毒」を手なづける

成長のために「デザイン中毒」を手なづける

デザインの作業は楽しい。あっという間に過ぎていく。1時間、1日、1週間、1ヶ月、1年。そして、10年がいつの間にか過ぎている。

私のキャリアの最初の約10年は、ビジュアルコミュニケーションのデザイナーでした。その10年間ずっと、時間を忘れる「フロー状態」にあったように思います。

楽しかったのと同時に、時間の使い方としては後悔もしています。約10年間、目の前のデザインの仕事だけに没頭したので、3

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効果的なデザインアウトプットの説明方法

効果的なデザインアウトプットの説明方法

デザイナーが、依頼者にデザインアウトプットの説明をする。毎日のようにある光景です。

ただその際に、アウトプットの質は高いのに説明が上手くいかず、意思決定が良からぬ方向に行ってしまう。依頼者もデザイナーも損をしてしまう。そのようなケースがあります。

これは各所で起こっており、社会全体のデザインの価値を下げているのではないか。説明技術を底上げし、世の中のデザインをもっと魅力的にできないか。そのよう

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話半分に聞く、デザイナーのキャリアの話

話半分に聞く、デザイナーのキャリアの話

2024年。私は今年で44歳になるデザインマネージャー・サービスデザイナーです。業界的にはシニアといえる年齢です。

シニアになると、してしまうがキャリアのアドバイス。

年長者のキャリアのアドバイスは話半分に聞いておく。これは、私自身が20代の頃に思っていたことですが、今となれば「話半分」とは言い得て妙。年長者が話すキャリア論は、話の50%は時代を超えて普遍性を持ち、大変参考になったもの。その一

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経営リソースとしての好奇心

経営リソースとしての好奇心

企業経営のリソースを、ヒト・モノ・カネ・情報・好奇心とおいてみる。

組織の好奇心の量は、経営の活動によって増えたり減ったりする。多少の変化はあれど、勝手に増えたりはしません。好奇心は、費用や時間を投じて増やしていく資源です。

組織の好奇心を正確に定量化することはできませんが、現場に身をおけば好奇心の「総量」はなんとなく実感できる。メンバーの発話、出てくるアイデア、主体性の度合いなど、企業に属す

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時間を溶かす デザインの右往左往

時間を溶かす デザインの右往左往

長時間作業しても、デザインアウトプットが前に進まない。何パターンも試して修正を重ねても、結局最初につくったものが一番ましだ。その一番最初につくったものも、しっくりこない。

デザインのプロセスではこういったことが起こるもの。とくに個人作業が多く、判断基準があいまいなもの、たとえば感性的な価値を求めるビジュアルコミュニケーションデザインの仕事に起こりやすい印象です。

この状況を、創造的な探索行為の

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デザインマネジメントの3つのアジェンダ

デザインマネジメントの3つのアジェンダ

デザイン思考は終わった、という話を聞く。

イノベーションやDXを推進するビジネスパーソンのデザイン思考の認知率は9割を超えており※、すでに知れ渡った感がある。デザイン思考は、ロジカルシンキングやクリティカルシンキングのように、認知の上では普遍的なものになったともいえる。

一方、社会全体のデザイン思考の「活用」という点では、まだまだ普及は不十分だ。デザイン思考の考え方を理解しプロセスを取り入れた

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