記事一覧
デザイナーはコストセンターか。 組織とキャリアから考える
デザイナーは、利益を生み出すプロフィットセンターなのか。もしくは、収益に貢献しないコストセンターなのか。
デザイナー個人にとっても、デザイン組織にとっても、重要な問いです。
プロフィットセンターとコストセンターデザイナーが売上や利益に対する責任を持ち、定量的な数字目標を掲げている。自身の評価にも数字が絡んでくる。これは、プロフィットセンターとしてデザイナーが活動しているケースです。
事業会社
「新卒1年目デザイナー」だった20年前の行動と感情
5月。新入社員はいろいろと思いを巡らせる季節です。それに合わせてか、自分の新卒1年目のことを記事にする方もいらっしゃいます。
私も見習って当時のことを書いてみようと思います。昔は良かったとか悪かったとか。そんな目を向けるのではなく、少しでも今の気づきになるように。
最初に言いますと、私が新卒1年目で行ったことの6割は、電話の取次ぎ、画像のスキャンや切り抜き、色調補正などの雑用。4割は雑誌の定型
デザインの言語化と、その落とし穴
会話のテンポが速くなっている。
デザインの現場を20年。自分自身や周りを見わたして、ふと思ったことです。
昔はもっとゆっくりしていました。単純に話すスピードもありますが、会話に「間」が少なくなったことも大きい。そう思います。
例えば15年前。私はアートディレクターでした。その時の会話は10秒くらい黙ったり、ゆっくり考えながら言葉を探し、時には言葉を撤回し、言い直し、なんとかなんとか喋っていま
損益分岐点から眺める デザインの風景
デザイン会社コンセントでは、デザイン業務に対して「生産性」の指標を取り入れています。
「生産性」は、デザインプロジェクトごとの利益率を表す指標。売上に対するコストの比率を指標化したもので、プロジェクトメンバーはその「生産性」を意識しながらデザインワークを進めています。
コンセントは、2019年から「生産性」を全社に取り入れ、業績を改善することができました。以後、安定的な成長を続けています。
デザイナーは自分の学びを設計する
知るべきことが多くて多くて、学べ学べとあせっていても、混乱極まり手につかない。
こんな状況、デザイナーなら誰しも身に覚えがあるのではないかと思います。もしくは若い読者ならこれから訪れる試練なのかもしれません。
技術が、社会が、デザインが。変化しつづけるその先端で、デザイナーは学びを重ね、成果を出し続けなければいけない。変化するのは自分自身も。年齢もポジションも状況も。今後のキャリアを考える中で
デザイナーは「営業」をどう考えるか
「営業」という言葉が好きなデザイナーは少ない。
ひとつは単純な誤解です。「営業さん」はビジネススーツを身にまとい、お客様に頭を下げて何かを売る人。デザイナーは何かをつくり出す一方、「営業さん」は何もつくらない。そんな、古典的かつステレオタイプな「営業さん」像にまどわされて、本質が身に入ってこない。興味がわかない。自分とは関係ないものだと思ってしまう。
デザイナーからは「私は人見知りなので、営業
デザインと、価格と、キャリアの話
「デザイナー35歳定年説」というものがありました。
35歳になったらデザインをやめて別の仕事をするという話です。若い自分は恐ろしげに感じましたし、逆に「一生、手を動かしてものづくりをするんだ」と奮起したものでした。
似た話は今でも続いているらしく、業界の都市伝説としてひたひたと続いているようです。30代になったらライフステージや体力面から難しくなったり、感覚が市場と合わなくなる人が出てくるのは
Xデザイン学校 リーダーコース 講師ふりかえり デザインリーダーの学びと課題
先日、私が講師を担当しているXデザイン学校リーダーコース、2023年度のプログラムが終了しました。今回は、私が受け持った講座を振り返りと、今の時代に必要なデザインリーダーの学びについて書いていこうと思います。
Xデザイン学校リーダーコースとはXデザイン学校は、UXデザイン・サービスデザイン・デザインリサーチ・デザインマネジメント等を対象にした社会人の学校。社会を良くするための広範なデザインの学び
心がけておきたい、デザインの仕事と人格の関係
デザインの仕事で生き抜くためには、人格なんか変えてやる。40代、氷河期世代の私はそう思ってきました。
自信なくボソボソ話すから信頼されない。それを変えてきた若手時代。
冷静だけど淡々としていて面白くない。それを調整してきた中堅時代。
偉そうで皆に物を言わせない。そうならないように踏ん張る今の時代。
今回のテーマは、デザイナーの人格。成果のために人格を見つめてきた記録です。人格と言うとちょっ
デザイナーの「へこまない」話法
へこむ。くやしい。自分が情けない。
「デザイナーは感受性が高いので傷つきやすい」なんて言う人もいる。それが正しいかは脇に置いて、私もへこんだことは何度もあります。
今回は、自分がへこみ続けてきた経験から、デザイナーの自衛の策である「へこまない話法」を考えていきたいと思います。デザインに関わる若い方に届いてほしい。そんな遠い目をしながら。書いてみます。
「一方的に言われる構図」に熟練するまずは
成長のために「デザイン中毒」を手なづける
デザインの作業は楽しい。あっという間に過ぎていく。1時間、1日、1週間、1ヶ月、1年。そして、10年がいつの間にか過ぎている。
私のキャリアの最初の約10年は、ビジュアルコミュニケーションのデザイナーでした。その10年間ずっと、時間を忘れる「フロー状態」にあったように思います。
楽しかったのと同時に、時間の使い方としては後悔もしています。約10年間、目の前のデザインの仕事だけに没頭したので、3
効果的なデザインアウトプットの説明方法
デザイナーが、依頼者にデザインアウトプットの説明をする。毎日のようにある光景です。
ただその際に、アウトプットの質は高いのに説明が上手くいかず、意思決定が良からぬ方向に行ってしまう。依頼者もデザイナーも損をしてしまう。そのようなケースがあります。
これは各所で起こっており、社会全体のデザインの価値を下げているのではないか。説明技術を底上げし、世の中のデザインをもっと魅力的にできないか。そのよう
話半分に聞く、デザイナーのキャリアの話
2024年。私は今年で44歳になるデザインマネージャー・サービスデザイナーです。業界的にはシニアといえる年齢です。
シニアになると、してしまうがキャリアのアドバイス。
年長者のキャリアのアドバイスは話半分に聞いておく。これは、私自身が20代の頃に思っていたことですが、今となれば「話半分」とは言い得て妙。年長者が話すキャリア論は、話の50%は時代を超えて普遍性を持ち、大変参考になったもの。その一
時間を溶かす デザインの右往左往
長時間作業しても、デザインアウトプットが前に進まない。何パターンも試して修正を重ねても、結局最初につくったものが一番ましだ。その一番最初につくったものも、しっくりこない。
デザインのプロセスではこういったことが起こるもの。とくに個人作業が多く、判断基準があいまいなもの、たとえば感性的な価値を求めるビジュアルコミュニケーションデザインの仕事に起こりやすい印象です。
この状況を、創造的な探索行為の
デザインマネジメントの3つのアジェンダ
デザイン思考は終わった、という話を聞く。
イノベーションやDXを推進するビジネスパーソンのデザイン思考の認知率は9割を超えており※、すでに知れ渡った感がある。デザイン思考は、ロジカルシンキングやクリティカルシンキングのように、認知の上では普遍的なものになったともいえる。
一方、社会全体のデザイン思考の「活用」という点では、まだまだ普及は不十分だ。デザイン思考の考え方を理解しプロセスを取り入れた