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犬と♀

人から犬を預かることになった
名前はまろん、10歳♀だ

初めて会った時から懐いた
犬に好かれるタイプでは無いので驚いたし、こいつも人をかなり選んでいるらしい


家で飼っていた私のリスは死んだ
癌。2年というあまりにも足りない時間を生きた
まだ私の中では欠けたままでいる
闘病中はどうしたって何もできない自分の無力さを嫌った
死んだ後の綺麗事は生きてる時を無理やり肯定するみたいで本当に厭
虹の橋を渡っただの待っててくれるだの、私はそんな事どうでもいい。ただあの子に何かしらの形で"ありがとう"と言いたかっただけなのだから。

昔から生き物の命について思う事はあったけど
今はまたずいぶん違うなぁと思う

まろんは賢い犬だ

おやつをくれる奴(人間)を知ってる
どいつが下なのかも
トイレをするとこも
怒ったことも
許されたことも
通ってきた道も
リードから逃れても意味がないことも
大好きな奴のことも大体知ってる
奴が何歳で性別も


私と撮った写真を見せた

ほら、まろんだよ。


見向きもしないし、ふーん。楽しそうで良いね
みたいな顔して
こいつは自分の外側のことなど興味がない
かゆいなー。
あついなぁー。ここは毛むくじゃらだ…
くらいで認識しているのだろう

それをみて
こいつらは自分が作り出すことよりも相手が生み出した感情(ソレ)を受け取って自分の外側にする
そんな生き物なんじゃないかって

自分がどんな容姿でどんなふうにみられてどんな影響を与えるのかは人だけが知ってる
鏡と写真の中と写真自体と人の認識の自分は全て一緒かと言われたらあなたはどう思うんだろうか

だから私は自分を撮って確かめたいんだ

つくづくいらない思いつきだなぁと床を寝そべって考えていた。
犬と私は時計の針のような関係で半日を過ごした
ある程度考えたのち撮ってみることにした

メスという生き物に備わる業
彼女はそれを自らの意志でなく終えている

知らなければそのまま死ぬだけ

文字に起こすとあまりにも悲しいもの。
ここに女とメスが居て他には何もない

今の世の中、犬にだけでも人臭さを感じ取ってもらいたいものだ


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