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原崎ベガルタを振り返る

2022/09/06 衝撃的なニュースが。

原崎監督解任。
伊藤彰監督就任。



仙台といえばテグさん、ナベさんで長期政権のイメージだったが、ここ数年は年度末解任が続いている。しかしなんだかんだでシーズンの結果が出てから動いており、プレーオフに向けての立て直しのような形での解任は意外だった。何が起こったんや…。



外部からみたらなんで?という感じみたいで、ベガルタサポからも一部原崎監督擁護の声はある。順位だけ見たら戦力的に妥当な位置にいるとは思う。

それでも自分は今回のフロントの判断は良かったと思う。ベガルタサポからもそれなりの理解は得られていると思う。しかし、あとに述べるが、ややちぐはぐな印象でもある。

戦術的なことはさっぱり分からないが、一応全ての試合をDAZN観戦している手抜きファンが原崎ベガルタの振り返りをしたい。

まず良かったのはチームの雰囲気が良く、人心把握能力が非常に高い人なんだろうなというところ。長崎から気田、名倉、富樫が来てくれたのもそれを裏付けているし、キャンプの動画を見てもかなり雰囲気は良さそうだった。原崎監督は結構サブにも細かく気配りをしているのか、途中出場でもモチベーションの低い選手は少なかったように思う。

また交代枠もかなり積極的に使う印象で(正直5人交代になってから他の監督を見てないので比較対象がないが)交代選手で不満を持ったことはあまりない。2020、2021と暗黒時代を過ごしたベガルタ仙台としては、まずなにより雰囲気のいいチームを作ってくれたのは大きな功績だった。

しかし、2021からコーチとして現場に関わっていた割には、攻撃の練度はそれほど上がっていないな、というのが見ていた感想ではある。

「おいおい、2022前半戦は2位だろ?」とおもった人もいるかも知れないが、自分の視点では「攻撃がうまく行っていたように見えたのは、単に相手守備がザルだから」と感じている。はっきりいうと、J2中位〜下位相手にしか攻撃がうまく行っていないのだ。攻撃の基本的な部分は2021年シーズンからそこまで大きく変わったとは思えない。見てて楽しいか?と言われると勝てるから楽しいけど、これ勝てなくなるんじゃね?の不安はつきまとって離れなかった。

すごく細かいところで動きながらボールを受けてつないで攻撃するのだが、いかんせん攻撃のゾーンが狭すぎてかなりピーキーなパスを要求する戦術に見えた。実際に原崎監督がなにを要求してたのかは知らんが、ピッチで表現されていたのはそういうサッカーだった。

精度を要求するリスクの高いパスをいくつも選択しなきゃいけない割に見返りは低い…。そんな感じなので、いつカウンター食らって失点してもおかしくないなぁ、、、と思っていた。それでもうまく行っていたのは「中島+気田+遠藤で優位が取れていたから」「相手の守備がひどかったから」これに尽きる。前半戦のゴールの半分ぐらいは「なんでこのパス、カットされないの?」と思われるようなグランダーのボテボテパスが繋がってゴールに繋がっていた印象だった。そして、J1だったからこのゴール入ってないだろうな…とも。

それでも前半戦2位は2位である。ただし、例年よりJ2は泥仕合気味で、勝ち点としてはなんで2位にいるのか不思議な勝ち点数ではあったことを付け加えておく。さらにライバルになるであろう徳島、横浜FC、大分相手には勝てなかったのも不安要素ではあった。徐々に原崎監督の指導から、もっとワクワクするような攻撃が浸透するのだろう、と勝手に期待していた。

しかし、怪しげながら爆発していた攻撃が後半戦鳴りを潜めていく。

後半戦、特に攻撃のスタイルは変わらず、にもかかわらず得点力だけは低下していく。とくに厳しいなぁ、と感じたのは


①ホーム横浜FC戦
②アウェー琉球戦
③ホーム大宮戦
の3つである。

①は昇格を目指すなら絶対に負けは許されない試合だった。横浜FCは勝つために守りを固めてカウンターをしっかり実行してきた。ベガルタはいつも通りのサッカーを展開。最低でも引き分けが必須だった試合、2−3で敗北。数字以上の差があった。やや格上とはいえ、もうちょっと戦い方の幅が欲しかった。長いシーズン、ここだけは負けられない、という戦いを想定しているのかな?と疑問に思った試合だった。


②加藤千尋がPKを外し、勝ち点2を逃した試合。問題なのは加藤千尋がその後外からわかるぐらい気落ちして、チームの足を引っ張ってしまった。選手の性格もあるので、それ自体は仕方ないが、問題なのはそういう選手に「蹴ってよし」という指示を与えた原崎監督にある。

ベガルタは今季PK結構外す(大体皆川)イメージがある。なので、勝負が厳しくなるシーズン中盤ぐらいにはキッカーを決めるのかな?と思ったら最後まで決めなかった。

例えば現在京都の曺貴裁監督はPKキッカーをキッチリ決めるタイプだが、決定率よりも「外してもチームに影響を与えない選手」を条件にしている。


もちろん得点を決めてノるタイプの選手もいるので、一概にはいえない。教育者であれば問題ない。しかし加藤の性格を把握して、PKを外したときのことを想定して指示出ししてほしかった。勝負の細部を徹底できないのは、監督として物足りない。そう思った試合だった。

③ホームの大宮戦
首位の横浜FCがコケて、勝ち点を詰める大チャンス。対する大宮はゴタゴタ後で相馬監督によって急速にチームが復活してきていた。自動昇格圏を目指すなら、超重要な試合でいきなりの連続失点。コロナの影響あったとはいえ、試合の入り方が最悪だった。重要な試合はことごとく後手に回る。選手の振る舞いもこの試合の重要性を理解していないかのようだった。

個人的にはここで解任して良かったと思う。


まとめると

-原崎監督は物腰柔らかくて、人格者なのでサポにも選手にも人気あり
-ユース上がりらしく、教育者として優秀。
-詰めが甘い。冷徹な判断が求められる監督としては一味足りない。
-続けて監督をしていてもおそらくこれ以上の引き出しはなかった
という感じだった。

ちなみに木山監督はどちらかと言うとサポや選手からの人気は微妙だったが、勝負に拘るところはすごかった。二人の間ぐらいでやや原崎監督よりの人がいいんだろうな。

だからフロントが「結果は問わず、長く腰を据えて育成型クラブとして」運営するのなら原崎監督のままでいいかなぁ、という感じ。そして個人的には一年でJ1、にフロントの熱量をそれほど感じていなかったので、解任は驚きだった。

だって本気で昇格目指すなら中断期間の補強少なすぎる。離脱したCB若狭の補充に佐藤取ってきただけ。横浜FCは「そんなに入れて機能するの?」ってぐらい外国人補強してるし、岡山もあわや乾獲得か?って所まで来て他にもエグい補強してるし。しっかり攻撃陣補強してれば原崎監督でまだまだ勝ち点を取れてた可能性はある。

それでプレーオフ怪しくなったところで慌てて解任も、プレーオフまで8試合しかない中、チームの構築が遅いタイプの伊藤監督を連れてくる…と。

だから今回の解任劇にはややちぐはぐなものを感じるのだが、おそらく「伊藤彰監督には前から目をつけて」いて、でもシーズンオフの争奪戦に入ってしまうと人気ありすぎて取れない、ってところに「ジュビロ解任でフリー」+「原崎監督低迷」って条件が揃って獲得に至ったのだと思われ。多分。


となると伊藤監督は複数年で腰を据えてのチーム構築を期待されていると思われるのだが、


マジでこれ心配。

まーそうなると、ナベさんにスムーズに繋げるかなぁと呑気なことを考えて今回は筆を置くことにする。


追記

2022/09/26の河北新報

 「(リーグ)前半戦にいい流れでなんか勝っていて、自分たちのサッカーを確立できなかった」と真瀬。言い訳の利かない敗戦で、言葉に力がない。


「なんか勝っていて」

2022シーズンのベガルタ仙台はこのセリフで締めたいと思います。

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