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ミュージアムの中の人がやんわり語る「アンディ・ウォーホル・キョウト」


自己紹介はあらためて行いますが、いろいろな業界を見聞きした経験をもとに、現在関わっているミュージアム業界(そんな言葉ないw)についての(あまり知られていない)ことを中心にご紹介できればと思い、noteをスタートすることにしました。で、今回のネタは「アンディ・ウォーホル・キョウト」。ではどうぞ。



非常に個人的な話でアレ(not 優勝)ですが、社会人になって確実に認識している美術館巡りというのは1996年秋からでした。なぜ覚えているかと言えば、当時お付き合いをさせていただいていた(少しだけ年上の)女性の趣味が美術館巡りだったからで、神戸の兵庫県立近代美術館(当時)や大阪・天保山のサントリーミュージアムなどによく連れて行かれたものでした(結果的に今思えば非常に感謝)。



そして確実に言えることのひとつが、はじめて美術展の図録というものを自分の意思で購入したのが、震災後まもない兵庫県立近代美術館で開催された「アンディ・ウォーホル 1956-1986時代の鏡」の図録でした。 

※東京都現代美術館にはアーカイブがある!すごい!




この図録というもの、一人暮らしの部屋にはインテリアとしてかなりよかったりするのですが、結婚し、こどもが小さい頃は(図録、子どものどちらにとっても)危険なものとして取り扱われることになり、いつしか押入れの中への追いやられてしまうのです。おっと余談でしたね。



ということもあって京都で行われた「アンディ・ウォーホル・キョウト」、かなり期待していたので、あらためて押入れの奥から1996年の展覧会の図録をひっぱり出して眺めてみました。結果的に12月(博物館実習)と1月(完全プライベート)の2度行くことができたので、本当に隅から隅まで堪能させていただきました。




現代アートを扱う展覧会では、あたりまえとなってきている撮影okな点や、そもそも美術館に行く時間帯も予約(これはコロナ対策の要素が強いですが)や、音声ガイドもスマホ対応、などなど1996年の展覧会とは大きく異なる要素をあらためて実感することができました。




が、正直にいうと前回(1996年)の方が展示作品のラインナップは充実していたような気がします。確かに今回の展覧会では「生け花シリーズ」など、日本初公開の作品も多かったそうなのですが、なんなんでしょう、見る側の感性の問題?だとしたら辛いなー。


公式Twitterによれば9月から5ヶ月間の会期で242.438人の来場。おそらく2022年度に開催された展覧会の中では全国的にみてもトップクラスの動員ではないでしょうか。そのわりには2回とも、わりとゆったり見ることができたのは、通常の展覧会よりも会期が2倍、というのが効いていたんでしょうね。まあ、コロナだしね。




ちなみに今回のウォーホル展の価格設定は大人2,200円。「ないと思うなー」という声も聞こえてきそうですが、同業者(美術館運営)の立場として言えるのは、コロナ対応で必要経費がかさむことにより、収益を上げる必要性が高まる一方で、作品移動にかかるコスト(人件費、保険など)が非常に上がっているという状況があり、結果的に価格設定を上げざるを得ない状況にあるということ。ましてやもっとダメージがでかいのが2022年以降の光熱費の異常な高騰。とはいえ、1996年の東京都現代美術館でのウォーホル展が大人1,000円っていうのを考えると、確かに高いよね。。。。





いろいろな雑感がありながらも、堪能させていただきました「アンディ・ウォーホル・キョウト」。でも、そろそろ行ってみたいなアンディ・ウォーホル美術館。