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ミュージアムの中の人がちゃっかり語る「この秋のアート系イベント雑感 大阪編」

自己紹介はあらためて行いますが、いろいろな業界を見聞きした経験をもとに、現在関わっているミュージアム業界(そんな言葉ないw)についての(あまり知られていない)ことを中心にご紹介できればと思い、noteをスタートすることにしました。で、今回のネタは「大阪で行われたこの秋のアート系イベント」。
まあ、秋はやっぱり多いですよね、アート系イベント。たまたま関西方面のアートイベントに参加する機会が多かったのでざっくりですがまとめてみました。

<イケフェス大阪2022>



正式名称が「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪」。大阪市内の近代以降の建築物を中心に、普段公開されていない場所などを一堂に公開する建築系アートイベントの2022年版。個人的に(というか日程的に)北加賀屋地区のアート系建築物のガイドツアーに参加してきましたが、紹介いただいた施設(建築物)の魅力というか濃度が濃いですね。この日ご案内いただいたのは

クリエイティブセンター大阪
super studio kitakagaya
カグー
千鳥文化

の4つの施設。それぞれがアート系施設としての機能を有していて、その集積地としての北加賀屋地区が大阪を代表するアートの拠点となっているのがよく理解できました。



旧名村造船所跡地を利用した「クリエイティブセンター大阪」と「kagoo」については今年の夏に開催されたアートイベント「TIDE-潮流が形になるとき」に参加したので初見ではなかったのですが、あらためて建築物として見るとまた違った魅力がありますね。


「super studio kitakagaya」についてはパッと見の印象と、実際に中に入ってみての印象ががらりと変わる懐の深い建物。もともとトイレだった建屋を利用したレンタルキッチンは過去の経緯を微塵も感じさせないつくり。単語としてはよく聞いていた「千鳥文化」も同様に見た感じと、実際に中に入ってみる感じとが全く異なる施設。この界隈にすんだら楽しいやろな、と思うロケーションであることを十分に感じました。




<OSAKA LAUGH & ART 2022>







大阪のシンボリックな近代建築物である中之島公会堂を会場に行われた、作品展示やトークイベントを主としたアートイベント。タイトルのとおり「お笑い」が含まれているのが大阪ならでは。といって別にお笑いライブがあるわけではなく芸人さんたちの作品も展示されていたり、寄席があったり、黒田征太郎さんによるライブペインティングがあったりと盛りだくさんなコンテンツ。


黒田征太郎さんの作品


あわせてギャラリーによる作品展示やクリエイターさんによる即売会も行われていたので、通常のアートフェアなどと比べると客層もややライトとはいえ、かなりの集客ができていたような。芸人さんの作品も金額設定がめちゃめちゃ高いのでは…と思っていたらそんなことはなく、ファンであれば買えないこともないかもしれない金額感で、逆に驚きでした。
飛び込みだったため有料コンテンツには参加していないのですが、アートイベントとしてはかなり多くの人がいた印象です。



中之島公会堂といえば天井画




<オルタナティブ・ロマン>





天王寺を中心とした上町台地の複数箇所で開催されていた現代美術の展示で、今回ご紹介した中では正統派のアートイベントでした。実際に参加できたのは

・黒田門
・住友家土蔵
・阪口楼

の3箇所だけでしたが、いずれも古くからの建物の内部で展示されていた現代美術作品とのコントラストが非常に新鮮でした。ちなみに黒田門は江戸時代(!)、住友家土蔵は大正、一番新しい阪口楼でも1969年建築と年季の入った建物。


黒田門内部での作品展示


住友家土蔵内での作品展示


阪口楼 正面



阪口楼内での作品展示


「オルタナティブ・ロマン」のキュレーションは上述の「TIDEー潮流が形になるとき」と同様に笹原晃平さん。タイミングよく阪口楼で笹原さんの解説を聞くことができたのは非常にラッキーでした。




コロナ禍もようやく落ち着いて?アート系(に限らず)イベントが増えてきてうれしい限りですが、運営側のご苦労、お察しします…。