見出し画像

赤点落ちこぼれ高校生が、首席で大学を卒業した話

テストの学年順位はいつも後半。数学は赤点。授業中は眠り姫。遅刻魔。勉強が大っ嫌い。テスト期間の部活休みは、遊ぶための休み。

そんな高校生活を送ったから、第1志望の大学に入学できるわけがない。センター試験を使ってテキトーに出願した、すべり止めの私立大学に行くことになった。初めてキャンパスに足を踏み入れたのは入学式のときだったし、やる気なんてなかった。

でも、進学校の高校に通っていたこともあって、いわゆる"Fラン"と呼ばれる大学に入学する自分を、心のどこかですごく惨めに感じた。唯一、英語が好きだった私にとって、英語学科に入学できたのは好都合だったのかもしれない。やっぱり変わりたいと思った。

「大学では、絶対1番になってやる。負けない。」

こんなふうに心に決めた大学1年生の私にそっと教えてあげたい。あなたの大学4年間はキラキラしていて、満足気に卒業していくよ、と。


大学1年生。周りに負けたくない精神で、すぐにでも海外留学をしたいと思ったから、説明会にはすべて参加した。授業で分からないことがあったらすぐに質問をしたし、よく発言もした。学校から帰ったら必ず復習をして、余裕があれば予習もしていた。

アルバイトは慎重に選んだ。就活に役立ちそうなのは、ホテルか家庭教師か…。母にも相談して、ホテルの宴会サービスのアルバイトに決めた。今思えば、1人で何にも決められないただの過保護な子ども。

そして、8月から1ヶ月間、ニュージーランドインターンシップに行くことを勢いで決めた。明確な目標はなかったけれど、何かしなければと思って、毎日日記を書いて感情を残した。ホストファミリーや職場の人たちに恵まれて、英語を学ぶモチベーションになった。

大学2年生。メールで、「【至急】支援課へ来てください」の文字。ビビりながら急いでいくと、「おめでとうございます。」と言われた。なんだろう。

「特待生に選ばれたので、学費も施設設備費も、すべて免除されます。」

震えた。1年間の努力が実ったんだ。まともに大学生らしく遊ばず、英語に向き合ってよかった。このとき、英語がとても好きになっていて、高校時代の勉強嫌いな私からは想像もつかないぐらい。

そこから、もっと必死になった。国際イベントには都合がつけば、すべて参加した。英語のスピーチコンテストに出ることが決まってからは、毎日練習をしたり、いろんな先生にアポをとって聞いてもらったりしては改善した。結果、準優勝だったものの、感動して涙した友人がいたし、後日ふらっと受けたTOEICのスコアが100点上がっていたから悔いはない。

そんななか、勉強に対してほどよく手を抜くようになった。大学生だもん、それらしいことしたい。よく遊んでよく失恋をした。友だちに誘われれば合コンにも行って、新しい世界を見た。面白かった。

大学3年生。そこそこ遊んでいたくせに、また特待生の権利を頂いた。嬉しかった。この年から、全国を股に掛ける旅の学生団体に所属する。

大学外の世界を知るようになって、全国には面白い人が多くいることを目の当たりにした。「大学内だけの小さなコミュニティだけでは物足りないな」と思って、外部イベントには興味があれば全部参加した。人との繋がりをいっぱい作った。

フルリモートのインターンに応募したら採用されて、大好きな人たちに巡り会った。そこでの活動が、春からの就職に関係していると言っても過言ではない。

大学4年生。無事に3年連続特待生に選ばれて、また無償で授業を受けることになった。でも、いつまでも幸せ順風満帆ライフを送れるわけがない。

半年以上、就活で苦しんだ。

英語を使って世の中に貢献したいと思っていたけれど、本当にそうなのか?と自問自答をする日々。何をしたいのかわからなくなって、完全に負のループにハマっていた。

悩みまくった結果、新卒フリーランスになると決めたものの、なんやかんやで出版社に就職することになって、今に至る。

ある日、大学から電話がかかってきた。「代表で卒業証書をもらうことになっているので、リハーサルがあります。」

いつか先生が言っていた。「毎年卒業証書をもらう人が、学年で最も優秀な人です。」

当初目標としていたことが、実現した瞬間だった。


高校時代は落ちこぼれの部活バカ。テストはいつも最下位争いだったのに、4年後のりほは、主席で大学を卒業したの、考えられないよね(笑)。

こんなとき、高3の担任の言葉をいつも思い出す。

「鶏口牛後。鶏の頭になるか、牛のお尻になるか。小さな組織の中でも、鶏の頭になって生き生きできるのなら、それがいいかもしれないですね。」

私はね、鶏の頭になる方が向いていると思う。牛のお尻になって一度ふさぎ込んでしまったら、地位も名誉もどうでもよくなって、一瞬にして怠惰になる。リーダーになりたいとは思わないけど、なにか誇れるものを1年ごとに更新するのって、大事だと思うんだ。

これからも謙虚な心を忘れずにこの調子で突き進みたい。絶対に、ステキな未来が、待っているから。  

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?