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"正しい取材の方法"を、新卒2ヶ月の編集者が考えてみる

私はタウン誌を発行する出版社に務めている。メインの業務内容は、取材や原稿の執筆、企画、軽いデザイン。「The 編集者」のお仕事をしている。

今回は、取材をして思ったことをここに残しておくことにした。右も左もわからない状態の私が学んだことだから、駆け出し取材ライターさんの役に立つかもしれない。

結論から言うと、取材について書かれた本は世にたくさん出回っているけれど、"このやり方が絶対" はないのかもしれない、ということ。

ライターになろうと決めたとき、最初に読んだ本にこんなことが書いてあった。

インタビューは、相手の話したいことをより豊かに聞き出すこと。自分の意見をぶつける場でも、言ってほしいことを言わせる場でも、相手の隠していることを暴く場でもない。
新しい文章力の教室

正直、意味がわからなかった。取材したことないんだもん。

でも数ヶ月前に初めて取材をしたとき、この感覚に気づく。

相手の話に対して「最近こんなのありますよね〜、私はこうだと思うんですけどねぇ」って言った瞬間、空気が凍った気がした。本に書いてあったことを思い出して、「こういうことか…!」と身に染みて感じたとともに、すごく反省。あのとき取材させてくれた方々、不快にさせてしまってすみません…。私の学びになりました、ありがとうございます…(泣)。

時は経って2022年5月。別の本を読んだときに書いてあったこと。

インタビューは、どのように話を進めるのがよいのだろう。基本的には、今の話(主題)→過去の話→将来の話、という順番で話を進めるとわかりやすい。
編集者・ライターのための必修基礎知識

よく考えると、ライターをさせていただいているWebメディアの大まかな構成はこの通りだし、そこらじゅうのWeb記事はほとんどがこの順番だった。

ある取材でこれらの学びを実行してみたら、うまくいった気がした。「自分はこう思うんですよね」とディスカッションせずに、「うんうん」と話を聞いて、ちょっと気になったことを尋ねる。今販売している商品のこと、お店が出来たストーリー、そしてこれからどんなふうに盛り上げていきたいのか、を順を追って聞いてみる。

やっと「この方法が正しいんだ!」としっくりくるものに出会った。でも、あるとき取材をしていたら予想外のことが起きて動揺してしまった。

60代のおばあちゃんが経営する古民家カフェでの取材。「いらっしゃい!」とすごく気さくに出迎えてくれて、話しやすそうな人だなぁと安心していると、逆にオープンすぎて想定していた質問も取材の流れもなにもかも崩された。

山の中のカフェで基本1人で切り盛りされているようだから、普段人と会話する機会がないのだろう。とても楽しそうに話す。それを見て、話を遮ることができなかった。困っていると、取材に同行していた上司がうまい具合に私が聞きたかったことを相手から引き出してくれる。神様かと思った。

「自分たちはお仕事で来ているから、ときには話を折ることも大事だよ。難しいけれど。いろんな人がいるからね。」

予想外のことが起きても、空気に呑まれてはいけない。動揺して流されてははいけない。とてもとても学びになった。

すべての人が、私たち取材ライターが想像しているように話してくれるわけがないのだ。私が経験したように、マシンガンのように話す人もいれば、寡黙で質問した内容にしか答えてくれない人もいる。取材に慣れている人もいれば、初めて取材を受ける人もいる。そう、相手に期待しすぎてはいけない。

取材先のことを事前に調べたり、クチコミを見たり、いわゆる"マニュアル"通りに準備をすることや、お仕事としてしっかり業務を成し遂げることは必要だと思う。でも、「取材をするときの流れはこうで、質問はこれをして」って考えすぎるのもよくないのかもしれない。目をギラギラさせて必死になりすぎず、自然体でいるほうが臨機応変に落ち着いて対応できるのかも。

本当に自然体でいる方がいいかどうかはわからいし、本やインターネットで調べれば、"取材はこうしたらいい"が山ほど出てくる。でも、それはその人が体験したからこそ言えること。

きっと世の中に"正しい取材方法"は存在しない。だから私は、本や人から聞いて学んで、落とし込んで実行して、自分だけのオリジナルを見出していきたい。

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