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『node 作品解説集』 デジタル版

以下、『node』の作品解説集の内容を丸ごとデジタル化したものです。
大変申し訳ない案件ですが、現在オンラインストアでは完売中なのでnoteに内容をそのままそっくり置いておくことにしました。
ご興味のある物珍しい方はぜひ。

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0 | はじめに

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お久しぶりです。オリタケイです。
Oritism vol.4以来の画集なので、半年以上ぶりかもしれません。

今回の画集は『Oritism』でも『原画集』でもなく、『node』というタイトルにしました。nodeというのは節や結び目という意味で、画集のコンセプトとしては竹の節をイメージしています。

存じている人もいるかもしれませんが、今後の作品作りを見据えて2020年からアクリル絵具での作品制作を始めました。
今後の描き方を縛るわけではないのですが、せっかく節目の機会なので作品づくりについて考えていることや普段大事にしている感覚などを形にしておこうと思い、記録的な意味も込めて『node』を制作しました。

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さて、この一冊はおそらく11冊目の画集になります。実は、いつもシリーズ的に出している『Oritism』の続編にするかも迷ったのですが、『Oritism』は超短篇的な小言集のような立ち位置で制作しているので、今回のように作品についてややしっかりめに話すのはちょっと違うかな、と悩んだ結果、思い切って新しいラベルにしてみました。
(画集『node』には、作品解説集といつもの原画集があるんですが、今回は作品解説集のみの掲載です。)

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加えて、ご時世的な都合で久しぶりの新刊ですから、『node』はやや気合を入れて文字本・画集と2冊1組になっています。コミティアに向けて制作しているので、落としてなければそのはずです。

しばらく画集をつくっていなかったせいなのか、11冊目の画集を作るにあたって画集制作の手順を若干忘れかけていたり、引越しイベントが被ったりでスケジュール面がやや心配だったのですが、執筆を終えた未来ではきっと無事脱稿していることでしょう。
締め切りに追われつつもデザインフェスタやコミティアなど長らくイベントが自粛続きで発散どころに困っていたところだったので、今回はいつも以上に理想重視でつくりました。

この本は文字が多めなので、活字が苦手な人にはちょっと読み進めにくいかもしれませんが、普段とはまた一味違った画集を是非、お楽しみいただければ幸いです。願わくばこの一冊が、未来の展示で訪れる際の、よき手引きとなりますよう。

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1 | 絵の好みについて

(1)配色

2018年の冬から製図インク・コピックでの原画制作を始めて以降、徐々に色数を増やしたり塗り方を変えるなど紆余曲折あり、2020年の夏頃からアクリル絵の具と木製パネルを中心とした作品に移行し始めました。
それまでは、アクリル絵具だけでなく透明水彩などもさっぱりで、特に色を作ったり筆での力加減が難しくてむしろ苦手な画材だったのですが、最近は始めたばかりの頃に比べると少しずつ絵の具の使い方にも慣れてきたような気がしています(気のせいかもしれません)。

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そんな感じの大雑把な変遷ですが、特にSNSや年に数回ある個展・即売会にて、コピックの作品と絵の具どちらにおいても、色について尋ねていただく機会も少なくありません。実際、配色の話を抜きにして作品についての触れるのはなかなかのハードモードです。せっかくのタイミングなので、普段配色に関していつも考えている規則性や習慣についてお話してみようかなと思います。

絵を描き始める際、まず初めに考えることが構図と色です。それぞれ並行して進めることもあれば、構図に合わせて合う色を探す時、色に合わせて構図を決めていく時など様々です。
色の組み合わせに関して具体的な何かを参考にしているというのはないのですが、街中や本屋さん、服屋さん、公園など歩いている先で魅力的に映った色合いを記憶してそれを作品に落とし込む、ということは多々あります。例えば黄色と青を使ったビビッドなお店を見かけたら、その2色を主役にして、主役を引き立たせる4〜5色を考える、といったイメージです。

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