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鉄道車両の記号って何??①国鉄/JR電車編(新性能・在来線)

JRの電車の側面に、モハE531-18…などと、カナ文字と数字が書かれているのをご覧になられてことがある方は多いと思います。
いったい何の数字や文字だ??思われた方もおられるかと思いますが、さわりだけ簡単に解説してみたいと思います。

今回は、国鉄/JR電車の概ね昭和30年代以降に製造された、いわゆる「新性能電車」の形式の付け方を解説していきます。

※JR四国に関しては、今ある電車は、数字のみ4ケタにまとめる付番体系になっているので、除外とします。

また、JR東日本とJR九州にいる、「蓄電池式電車」については、今回は説明を省略させていただきます。
(説明がややこしくなるため)

新性能電車があるなら、「旧性能電車」ってあるんかい!?って、思われる方もおられるでしょうけど、これについてはまた別の機会に紹介しようかと思います。


車種を表すカナ文字での車種を表す記号が組み合わさって、タイトル画像のような文字+数字の車両個体を表す形式番号となりますが、先ずはカナ文字の方を見ていきます。

〇最初の文字

「クモ」 運転台があり、かつ、モーターを装備している車両(制御電動車)
「モ」  運転台はなく、モーターを装備している車両(中間電動車)
「ク」  運転台はあるが、モーターを装備していない車両(制御車)
「サ」  運転台がなく、かつ、モーターを装備していない車両(付随車)

「モ」はモーターのモ(あるいは「モーターカー」のモ)が由来…というのが、一般的な解釈のようで、「ク」は制御の英語、「コントロール」の頭が訛ったもの…というのがよく言われています。

「サ」は英語の「付属する」や「下位の」という意味の英語の単語、「subordinate」(サボーディネイト)の頭文字からきているようです。


〇これらに続く文字は、設備を表す

「ロ」 特別車(グリーン車)旧2等車。1960年の旧1等廃止で、一等車となったのち1969年の運賃等級単一化で、特別車に。

「ハ」 普通車 旧3等車。旧1等廃止で2等になり、運賃単一化で普通車に。

余談ですが、旧一等車を示す「イ」は、全て機関車に牽かれる「客車」で、電車や気動車にはありませんでした。

鉄道創成期は、1等を「上等」、2等を「中等」、3等を「並等」(それぞれで運賃や料金が異なる)としていて、それに順番にいろは順で割り振った名残りでもあったりします。


「ロネ」 A寝台車
「ハネ」 B寝台車

「ネ」が寝台車を表す記号ですが、「モネ」とか「クネ」という使い方はせず、必ず「ロネ」や「ハネ」となります。
ただし、1両にA寝台とB寝台の両方の設備がある車両は、「サロハネ」といった表記になって、「サロネハネ」といった表記はしません。

「ネ」の由来は、「寝る」からきている…というのが、一般的なようです。

「シ」 食堂車(半室ビュッフェ車等を含む)

在来線でもほぼ絶滅したに等しい食堂車ですが、JR東日本のE261系「サフィール踊り子」に久々に新車で食堂車が登場したことや、JR九州などで観光列車などで食事サービスを提供する車両の中に「シ」記号が付いた車両が登場(元々は「サハシ」でした)いうこともあり、まだしばらくは生き残りそうな記号です。

私鉄では現在、食事を提供する特別な列車などあったりしますが、この記号が使われる車両は残念ながらなく、かつて伊豆急行がサントリーから寄贈を受けた食堂車「サシ191」が、最後だったかと。
(のちに普通車「サハ191」に改造されたのち、現在は廃車済み。)

由来は、食堂、もしくは食事の「シ」。


「ニ」 荷物車

今どきの若い愛好者の中には、「荷物」と「貨物」がごっちゃになっている方も見受けられますが、駅で預けて、駅で受け取る配送システムが国鉄末期までありました。

簡単に言えば、嵩張らず、少量のものや旅客が預けたものが「荷物」で、専用に貨車が必要なものが「貨物」ということになります。
もっとも、国鉄の主要幹線では「荷物専用列車」というものがあったりしましたし、私鉄では系列のデパートで購入したものを「荷物」として、最寄り駅まで送ってくれるところもありました。

いまでも、専用車両は用いていませんが新聞を鉄道で荷物として送っている鉄道事業者は、JRや私鉄で複数あります。

由来は、言うまでもなく荷物の「ニ」


「ユ」 郵便車 今は行われていませんが、国鉄の末期まで鉄道による郵便の輸送が行われていました。

車内で郵便の仕分けを行うことができる車両と、郵便袋を荷物車と同じように輸送する車両どちらもあって、後者はほとんど荷物車と同じ外観をしていました、(郵便のマークがあった)

国鉄の1両そっくり郵便専用の車両は、実は当時の郵政省の保有で、車両の籍は国鉄にあって、運行や検査等は国鉄が行うものの、車両資産としては国鉄の管轄外でした。
(それが故か、郵便車の現存保存車はあまり多くないです。)

由来は、郵便の「ユ」。


「ヤ」職用車(けん引車や検測車、試験車など)

国鉄やJR各社で、営業行為(旅客・貨物)に供さない試験車や線路や架線など状況をチェックする検測車、編成をバラシた状態の車両を車両基地から工場、あるいはその逆のために連結されるけん引車などに付けられる記号です。

かつては、「救援車」に「エ」の記号を付けた車両が存在しましたが、そのほとんどが旧型の旅客車を改造したもので、けん引車に救援機器を搭載して、「救援車代用」としているケースもあります。もっともこれも今では、自動車による機動性が優れるため、自走もしくはほかの車両に牽引されて救援現場に救援車が行く…ということ自体、安全性の大幅な向上などもあって事故そのものが大幅に減ったということもあり、その機会はほとんど失われてはきています。

他にも「ル」など、かつてはあった記号は幾つかありますが、今回は省略します。


 
〇前3ケタの数字は、系列と用途を表す

国鉄/JRの電車の前3ケタは、その数字の組み合わせで用途が分かるようになっていて、1ケタ目は

1~3 直流電車
4~6 直流・交流どちらも走れる交直流電車
7・8 交流電車
9   試作的要素の高い試験車など

となっています。

2ケタ目は用途を表していますが、現在はJR各社で独自の付け方になってきています。

0   通勤型電車
1~3 近郊型電車
4   荷物・郵便車、試験車、けん引車など
5~7 急行型電車
8   特急型電車
9   試験車など


で、3ケタ目は設計順(基幹となる形式が奇数のため、系列を表すときは必ず奇数)となります。

なお、国鉄でこのカテゴライズを制定した時は、5~8が長距離用電車となっていて、国鉄最初の特急型電車は「151系」でした。
(のちに改造されて181系になります)

JR東日本では現在0~3を一般型電車、5~を長距離用(特急用)電車として、カテゴライズしています。
また、1994(平成6)年度以降の新規開発系列については、数字の前に「E」が付きます。

JR東海は、かつて特急「あさぎり」用として製造された形式を「371系」(廃車により消滅、一部車両は富士急行(現・富士山麓電気鉄道)へ譲渡して、「富士山ビュー特急」として運行中)、
特急「ふじかわ」、「伊那路」(かつては快速「ムーンライトながら」にも使用)に使われている車両は「373系」としています。

JR西日本は、直流特急型電車を「281系」から付けていましたが、「289系」まで行ってしまったため、2ケタ目の「8」が使えなくなり、関空アクセス特急「はるか」用新系列電車を「271系」、令和6年春から運用開始した「やくも」用新系列電車を「273系」としています。
また、207系の後継の通勤型電車は「321系」となり、大阪環状線用に通勤型電車ながら1両3ドアとなった新型車は、「323系」となっています。


国鉄で最初の新性能通勤型電車は101系で、先述した通り、151系は最初の特急型電車に充てられたため、最初の急行(準急)型電車は153系でした。

交直両用の急行型電車は451/471系(当時は交流50㎐と60㎐で、交流から直流に変換する整流器が異なったため形式が分かれていた)ですが、なぜか交直両用の近郊型電車は401/421系となりました。

交流専用の電車の最初の量産形式は北海道専用の711系ですが、この形式がそのまま急行にも使われたため、交流専用の急行型電車は作られることはありませんでした。


ハイフンの後ろが製造番号を示してしますが、モデルチェンジや設備の相違などで、101~や、1001~などと番号を分ける(番代区分といいます)するケースもあります。

以上ざっくりとではありますが、国鉄/JRの電車の形式や記号について、まとめてみました。
抜けや、私の認識不足などあるかと思いますが、ご指摘などいただければ幸いす。

今回はここまでです。

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