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信用創造⑤  ―一体どこに何の貨幣を創造するの?―

「信用創造③  ―「政府の信用創造」は消滅を望まない―」で私はこのように書きました。

“「2.政府の信用創造」というのは、「C.政府」が、「政府の銀行」である「D.中央銀行」に負債を申し込むことで、(最終的に民間市場に)貨幣が発行されることです。 (※ここは大掴みな理解を促すために、簡略化した不正確な説明となります。後日、正確に説明をしますのでご容赦ください。)”

「1.民間の信用創造」を図に表すと

図1 民間の信用創造

となります。

ですので「2.政府の信用創造」は③の説明を素直に考えると


図2-1 政府の信用創造 間違えた考え方

図2の通り「D.中央銀行」が「銀行預金(現金貨幣)」を発行するように聞こえてしまうと思います。

しかし図2にも書き込んでいますが、

これは信用創造ではありません。

(なぜ「信用創造③」で不正確なのに書いたのか、というと「1.民間の信用創造」と「2.政府の信用創造」の「返済に対する意識の差」を示すことが目的のためです。)

今回はこの「信用創造③」で省略した
「簡略化した不正確な説明の部分」
を説明させていただきたいと思います。

実は「信用創造」の「創造」という言葉は、
私たちの生活する「民間市場(マネーストックと言います)への貨幣の創造」
を意味します。

それは
「皆さんの銀行通帳に万年筆マネーとして数字が書き込まれた瞬間」
のことです。

上の図2を再度見てください。「A.国民の通帳」に対して信用創造はされていませんよね。「C.政府」が相手なのです。

更に述べますと

「D.中央銀行」が発行する貨幣は「『当座預金』という貨幣」です。

「銀行預金(現金貨幣)」ではありません。
(日本銀行が発行する当座預金のことを「日銀当座預金」と言います。)

日銀当座預金は「民間市場(マネーストック)」では使えない、国民は使用できない貨幣です。

日銀当座預金という貨幣は「B.民間銀行、C.政府、D.中央銀行(日銀)」の3点間での取引でしか使えない「特別な貨幣」なのです。

中央銀行(日銀)にある政府の持つ口座に書き込まれた「万年筆マネー」ではあるのですが、「民間市場への貨幣の創造」には当てはまらないため「信用創造」には該当しません。

とすると、「では『政府の信用創造』というものは本当は存在しないのか?」と思う人もいるかもしれません。

ですが、それは違います。
私は「最終的に皆さんの銀行通帳に書き込まれるように、政府が負債を増やすこと」を「政府の信用創造」と言っているわけです。

中央銀行の当座預金の発行は「政府の信用創造の一部」として理解していただけば、と考えております。

この話は過去の記事に比べ多少難しい内容になっていますが、何とか分かり易く小分けに説明できれば、と考えております。

よろしくお付き合いください。

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