暇野鈴(ひまのべる)と申します。以下に略歴を記します。 2021.06 本格的な作歌開始 2022.06 第65回短歌研究新人賞 予選通過 二首掲載 2023.01 「塔」短歌会 入会 2023.04 「西瓜」同人8号にて三秀(三田三郎選) 五首掲載 「西瓜」https://site-4927993-6259-1983.mystrikingly.com 2023.06 第六十六回短歌研究新人賞 佳作入選 五首掲載 2023.08 第52回全国短歌大会 学生短歌
盗まれぬようつながれているペンのそう思ったのは街を出てから 特急が鳴らして入ってくる時にその先を見てしまう感じ たった今最寄りになった感覚があなたと二人きりを強める 犬のステッカーがいっぱい貼ってある家からとても安そうな犬 引っ越しではじめて使う筋肉そういえばボウリングでも痛かった 視界にはならないところから雨はあなたの鼻歌をともなって 通り雨 通り過ぎれば上空にそれなりのうつくしい多様性 道ばたにはぐれた蝶を踏んづけてしまう蝶結びと公園へ おびただしい数の鳩
揺れながら手垢まみれにされていく沿線を眺めていると着く 上体を下手に起こしてつまらない夢の続きもあきらめている 忘れない朝にまばらなホームから繋がった居酒屋のWi-Fiよ ブラウスが風のかたちへ戻される一瞬をともなってあなたに 重力に押しつぶされるようにして建つビルだから信頼できる いたるところ同じ苗字の一帯をすこし外れて市バスは動く 右肩にまどろんでいるあなたから彼方へ工場群ゆるやかに さんずいを含む地名がそうさせるやや錆びついたかもめのオブジェ 窮屈な道を
《テキスト》
ぼくがぼくを数字にかえて応えるとよろこんでくれる女の人が アメリカは大きく、それは直感でわかる 野菜に含まれるコーン(S) MがL然としている日中のパラオ/バングラデシュ/大日本 急な流れが滝や東京を思わせる時間に会うのなら何度でも グレープフルーツ・シックスセンス・ぼくたちのいつまでも始まらない工事
「再生」(第六十六回 短歌研究新人賞 佳作)抜粋18首 ひさかたの都市計画は頓挫して淡い化石のように産まれた ありふれた青年を選ぶあたらしい宗教のひとがいて選ばれる 全員をさん付けで呼ぶことにした教授に送る遅刻のメール トンネルが来ていっせいに断たれてもみんな画面を見たままだった よっ友が殖える殖えれば手話になる よっよっ 用はないのに誰も