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連載第14回『発明事業列伝』”からくり儀右衛門”こと田中久重-その3<空前絶後の大成功・天下一のロボットショー公演>🌟江戸時代の科学技術とエンタメ、🌟「からくり・オートマタ」の世界史、🌟エンタメ・バブル期『化政文化』について、🌟江戸のメカニック史、🌟江戸時代の旅について他

🌟末尾に冒頭3ページ無料掲載中📖🌟

1.日本の科学技術とエンタメ

 江戸時代から明治にかけて活躍した、”からくりギエモン”こと田中久重の生涯を深く学ぶ、それは、近代科学事業史(ハード面)を理解し、同時にそれを受容する、「日本を形作るもの(文化・ソフト面)」という器の方も、併せて理解できるような構成にしています。
 かなり、詰め込んだので、「江戸時代のエンタメ事情」にも、皆さん強くなられる内容になっています。

 今回、”からくりギエモン”との異名が付くに至った<空前絶後の大成功・天下一のロボットショー公演>とは?を取り上げます。
 ここで、ギエモンが大成功を収めるまでの「凄さ」というのは、「当時の常識」「時代のながれ」を理解してはじめて、より身近にリアリティを増して分かってくるのです。
 そこで、「当時の日本および世界の背景」を読み解きながら、”ひとりの生身の意欲と才に溢れた人”である、ギエモンの発明事業スピリットを鮮明に伝えられようにしています。

2.「からくり・オートマタ」の世界史

 まず、そもそも「からくり」ですが、「人類史的にどういった流れで、世界、そして日本ではどのような発展を遂げてきた」ものなのでしょうか?
 数学者&エンジニアのヘロン(古代エジプト)、クテシビオス(ヘロンの師匠)、蘇頌(中国北宗)、天文学者のドンディ(古代イタリア)、アル・ジャザリ―(古代オリエント)、レオナルド・ダ・ヴィンチの騎士ロボット、ヴォ―カンソンやジャケ・ドローのオートマタ、についてご紹介しています!

連載第14回『世紀の発明事業列伝』より
連載第14回『世紀の発明事業列伝』より

3.江戸時代のエンタメ・バブル期『化政文化』について

 ギエモンが独立開業のスタートに選んだ事業。『からくり興行』ですが、アートと技術と知的創意工夫に富んだギエモンにとってピッタリだっただけでなく、時代背景から見た「読み」としても最高だったのです。
 私たちが漠然とイメージする、後世に作られたマンガやドラマから彷彿される世界は、庶民は圧政に苦しめられ、辛く貧しく暗い生活を送っている、というものですが、そうしたイメージだけには留まらない、長く続く平和の時代を謳歌して、知恵と工夫により、様々な娯楽で盛り上がり、楽しもう、充実したライフスタイルを送ろう、としている、逞しく貪欲な姿も見えてくるのです。
 『化政文化』を彩る、『文学』、『美術』、『芸能』、『学術』代表的な作品、話題の大ヒット作をご紹介しています。まさに庶民エンタメ文化の円熟期なのです。
 そして、『日本のからくり興行史』について、その盛衰とその後の継承についてもご紹介しています。とりわけ、その『芸術面』と『技術面』それぞれの観点から、『歌舞伎』、『人形浄瑠璃/文楽』、『山車からくり』に継承されていったこと、また、『からくり街道』と呼ばれる地域が、ノーベル賞受賞の研究施設・住居に連なる『ノーベル街道』と重なり合う、という視点においても展開しています。

連載第14回『世紀の発明事業列伝』より

4.江戸のメカニック史

 驚くべきことに、この時代、からくり装置を作ることのできる、メカニック工作本が出版されています。作りたくなる感が満載!
その名は、「機巧図彙(からくりずい)」。図彙とは、「図を集めること」を意味するもので、全体図、正面図、平面図、部分図が掲載され、現代にも通用する合理的で科学的な構成となっています。
 私は初めて「機巧図彙」を見た時、これほど素晴らしい本が江戸時代に出版されていたのか、と感動で身震いしました。
 同書籍と類書の紹介、そして著者の細川半蔵の素晴らしさについて、お伝えします。細川半蔵の発明スピリッツがギエモンに伝えられたと思われるのです。

連載第14回『世紀の発明事業列伝』より

5.ようこそギエモンの一大ロボット・ショーへ!

 そして、待ちに待った、我らがギエモンの、空前絶後の大成功を収めたショーとは、どのようなものだったのでしょうか?
 ギエモン直筆の「からくりショー考案絵図(素敵!)」、ショーを構成する、「大変な数のからくり作品」たちをご紹介します。
 そして中でも大人気なのは『茶酌娘』、そして『弓曳童子』と『文字書き人形』はギエモンの傑作品と名高い素晴らしい「からくり人形」です。

連載第14回『世紀の発明事業列伝』より

6.江戸時代の旅について

🌟一般庶民の旅:一生に一度のお伊勢参り
🌟芸人の旅:興行はいかにして行ったのか?
🌟ギエモンの旅:『興行の旅』・『諸国見聞修行』


連載第14回『世紀の発明事業列伝』より

 さて、ギエモンは、自慢の「からくり」で、各地に興行に向かうわけですが、この時代、旅はどういうものだったのでしょうか。さらに大変なのは、上記に挙げたような、大事な「からくり装置群」を持って移動しなくてはならないことです。
いったいどうやって成し遂げたのだろう、と気になります。
 そこで、当時の江戸の旅事情や、興行者はどうしていたのか、などをみていきましょう!驚きの事情がありました!

7.からくり人形以外の発明について

 ギエモンの風砲発明製作の顛末記と、そして、発明家・国友一貫斉のことを取り上げます。

連載第14回『世紀の発明事業列伝』より
連載第14回『世紀の発明事業列伝』より

8.むすび

 ギエモンの16歳から35歳まで、独立し、結婚し、発明製作し、からくり興行で研究開発費を稼ぎ、絶頂とどん底を味わいながら、波乱万丈の人生を、自分の才覚で切り拓いていく姿を、単なる時系列の説明ではなくて、「生きた学び」「現代にも生きる姿」としてお伝えするものです。
 この次ですが、時代は、「化政文化バブル」がはじけ、エンタメの禁止、緊縮財政へと向かい、からくり興行の事業継続は難しくなります。そしてギエモンは、商業の盛んな大阪の地に、家族で移住することになります。
その地で、ギエモンはいよいよ、「からくり人形興行」を通して、鍛え続けてきた発明技術力を駆使して、新たな事業を展開することになります。

 次回は、「ギエモン大阪編」に入る前に、ギエモンの着目した新事業を、より理解できるための補足講座として、「特別編第2回」を設けたいと思っています。
 毎回、すごい方々を追うために、その重みを理解できるべく、毎回資料集めと調査と壮大となる構成をまとめるのが大変なのですが、科学技術も芸術や文化芸能も、真摯に向上を続け、素晴らしいものを提供しようとして下さっている人々を知ること、その素晴らしいものを評価できる目をもつこと、
「よいものがある」「よいものは実によいのだ」
そうしたものが育まれる世界の創出を、読者の方々と拡げていけること、それが今を共に生きている喜びでもあると感じます。
「面白さ」とは、役に立つ、いまの自分のどこかに繋がっている、と発見するときに、感じられるものではないでしょうか。願わくば面白いものを創れますように。
次回もお楽しみに!

大樹七海 拝

🌟以下・冒頭3ページ無料掲載📖🌟


続きは「知財ぷりずむ」2024年3月号にてお楽しみください☺


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