見出し画像

力戦奮闘記⑨引継ぎ

たくさんの反省と、そこから見つけた多くの目標ややりたいことに向かうため、僕は新しい環境に身を置くことに決めた。
誰かに雇われて働く、ということは仕事やオーナーに対して自分の仕事にケジメをつけて、最後まで責任を持ってやることが必要不可欠だと思う。
「ケジメ」という言葉を用いたのは、最近ヤクザ系の漫画を読んでいる影響かもしれない。

自分が今までにやってきたこと、それに対する売上変動や客数変動など、そういうことも業務報告書として毎月まとめていたものをさらにまとめて、データとして保管した。
1番手間がかかったのは調理マニュアル。
いつも目分量と味見の感覚だけで作っていたんだけど、とりあえずなんとなくで書いてみたんだ。

すると、他の人がそれを読んで作った時に全然違う味になった。
そう、最初に作った僕のマニュアルには「適量」と言う言葉を入れすぎていたのだ。
だってね、そりゃ香草やスパイス、塩胡椒なんて適量以外書きようなくないか?とか思ってたよね。
ちゃんと書こうとしたら0.〜g単位で書かないといけないし、野菜やら麺やら、油分・水分量によって変化するもんだからこれは適量って書くしかないよね。
そこは美味しいと思うように作ってくれ。って意味を込めて「適量」で最後まで通したんだっけ。

せっかく作るならっていうので、完成写真と材料の使用量、原価、調理工程も含め全商品エクセルでまとめ上げ、ファイルとして保管した。

そういうのをしっかり残すことが引き継ぎ業務だと思うし、ちゃんとやると凄い時間かかる。
そんなことになるとは思っていなかったけど、時間を縫って毎月1人反省会をしてデータをまとめていてよかったと思った。

ただ、僕が残した資料やデータを誰がどのように使うんだろうかって考えたんだけど、きっと誰も見ないんだろうなとしか思わなかった。
なのに、なんであんなに必死になって引き継ぎ作業をしたのだろうと考えると、あれはきっとただの自己満だったのだろう。
お世話になったオーナーに対する後ろめたさもあったのかもしれない。
今思うと、それに対する自己肯定行動だったと思う。
次へ進むための清算といえば気持ち良く聞こえるが、僕としてはそんな軽い言葉じゃ片付けられないような出来事だった。

なので次からは、雇われる前から期限を決めてその期限まではちゃんと働き続けようと決めた。
そして、そこに向けて細かくデータを整理することを欠かさないようにしよう。と、そのとき自分の心に決めた。

何かをやれば何かで失敗し、
多くの反省をして多くの発見をし、
その発見をすぐ試してみる。
というこの一連のフローをハイテンポで繰り返す必要性を身体に染み込ませたのはこの時だった。

ビジネスは人生と一緒だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?